この記事では「青い目」と「碧眼」の違いについてみていきます。どちらも目の色をあらわす言葉ですが、とくに「碧眼」は字が難しいこともあって、読み方すらわからない人もいて当然でしょう。今回はその読み方から「青い目」と「碧眼」の違いまで、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

「碧眼」は「へきがん」と読む!

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まず、「青い目」と「碧眼」の意味について説明する前に、「碧眼」の読み方はご存じでしょうか?「碧眼」「へきがん」と読みます。「碧」の字は訓読みでは「あお」「みどり」と読みますが、音読みでは「へき」と読むのです。

青い目と碧眼のざっくりした意味

つぎに「青い目」と「碧眼」のおおまかな意味を説明したいと思います。「青い目」は、その読みのとおり青い色をした目のことです。そして、さきほど説明したように「碧」の訓読みに「あお」がありましたね。ですので、「碧眼」青い色をした目のことを指し、「青い目」「碧眼」基本的に大きな意味の違いはなく、同じ意味で使われることが多い言葉です。

青い目と碧眼のそれぞれの漢字について説明

「青」「碧」はどちらも「あお」という読みを持ち、「目」「眼」はどちらも「め」と読むことができますね。しかし、これらの漢字にはどのような違いがあるのでしょうか?それぞれの漢字について、成り立ちやパーツの構成などから説明したいと思います。

「青」は鉱物や井戸から生えた草の色?

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まずは「青」から説明しましょう。漢字というのは大昔に作られたものなので、その成り立ちには諸説ありますが、「青」の下にある「月」はもともと井戸、あるいは鉱物などを表していた形がやがて変化して「月」になったのではないかと考えられています。

上の「龶」は、もともとは「生」の字だったのが変化したもので、土の中から生えてくる草を表しているのです。ですから、「青」とはこの草の青さ、あるいは下の「月」を井戸と考えるなら、その井戸の中にある清水の青さを表してるのではないかなどと考えられています。

「碧」は鉱石の「あお」

つぎに「碧」の字について説明しましょう。左上の「王」は三つの宝石の玉をひもでつないだものを表しています。右側の「白」は白く輝くものを表していて、下の「石」はそのまま、石のことです。そこから、「碧」宝石のように光り輝く石のことを意味するようになりました。

大昔に使われていた装飾品に勾玉というものがありますが、その材料に使われた石に「碧玉(へきぎょく)」と呼ばれるものがあります。勾玉をイメージしていただくと、青というかかなり緑色に近い色が思い浮かびますよね?「碧」「あお」とは、青の中でもこのように緑に近い青を意味し、「みどり」という訓読みもあるのです。

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「目」は顔のパーツで「眼」は眼球

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今度は「目」と「眼」の違いについて説明しましょう。まず「目」という字は、目の形をそのまま文字化したものです。以前は横に90度倒した形をしていて、今よりも目の形に近い字でした。「眼」という字については、左の「目へん」はそのまま「目」をあらわし、右側の「艮」については「目」を強調したものではないかといった説などがあります。

両者の使い分けとしては「目」が目玉だけでなく、まぶたやまつ毛、下まぶたや下まつげなど含めた、顔のパーツの一つとしての「目」を意味するのに対し、「眼」は、主に眼球をあらわすので医学や医療の用語で多く使わるのです。

「青い」に「眼」で「青眼」という言葉はあるの?

「碧眼」は、いわば「碧(あお)い目」のことですが、それでは逆に、「青眼(せいがん)」という言葉はあると思いますか?実は「青眼」という言葉も存在するのです。ただし、「青い色の目」を指す言葉ではありません。中国の歴史書である「三国志」の中に「阮籍 (げんせき)」 という人が出てくるのですが、この人は自分が好感を持った人を迎えるときは青い目で、気に入らない人に対しては白い目をして迎えたと言います。

このことから、好きな人や親しみのある人を迎えるときの喜びあふれる目のことを「青眼」と言うのです。ただし、マンガやアニメが人気の「遊戯王」では、「ブルーアイズホワイトドラゴン」というモンスター名に、「青い色の目」という意味で「青眼の白龍」という日本語読みが使われています。このように「青眼」「青い色の目」という意味で使うことがもっと一般化すれば、辞書などにも掲載される日が来るかもしれません。

青い目も碧眼も大きな意味の違いはない!

さきほど、「碧」という字が単なる青ではなく、緑色に近い青だという話も説明しましたね。ですので、「碧眼」というと、人によってはそのような緑色に近い青をした目のことだと感じる人もいるかもしれません。

しかし、ネットで画像検索などをしてみるとそのような緑寄りではない、いわゆるブルーの目をした人物の画像やイラストがたくさんヒットします。このことからも、多くの人が「青い目」と「碧眼」は同じ意味で使っていると考えてよさそうです。

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簡単でわかりやすい!青い目と碧眼の違いとは?読み方から漢字の由来まで現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「青い目」と「碧眼」の違いについてみていきます。どちらも目の色をあらわす言葉ですが、とくに「碧眼」は字が難しいこともあって、読み方すらわからない人もいて当然でしょう。今回はその読み方から「青い目」と「碧眼」の違いまで、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

「碧眼」は「へきがん」と読む!

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まず、「青い目」と「碧眼」の意味について説明する前に、「碧眼」の読み方はご存じでしょうか?「碧眼」「へきがん」と読みます。「碧」の字は訓読みでは「あお」「みどり」と読みますが、音読みでは「へき」と読むのです。

青い目と碧眼のざっくりした意味

つぎに「青い目」と「碧眼」のおおまかな意味を説明したいと思います。「青い目」は、その読みのとおり青い色をした目のことです。そして、さきほど説明したように「碧」の訓読みに「あお」がありましたね。ですので、「碧眼」青い色をした目のことを指し、「青い目」「碧眼」基本的に大きな意味の違いはなく、同じ意味で使われることが多い言葉です。

青い目と碧眼のそれぞれの漢字について説明

「青」「碧」はどちらも「あお」という読みを持ち、「目」「眼」はどちらも「め」と読むことができますね。しかし、これらの漢字にはどのような違いがあるのでしょうか?それぞれの漢字について、成り立ちやパーツの構成などから説明したいと思います。

「青」は鉱物や井戸から生えた草の色?

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まずは「青」から説明しましょう。漢字というのは大昔に作られたものなので、その成り立ちには諸説ありますが、「青」の下にある「月」はもともと井戸、あるいは鉱物などを表していた形がやがて変化して「月」になったのではないかと考えられています。

上の「龶」は、もともとは「生」の字だったのが変化したもので、土の中から生えてくる草を表しているのです。ですから、「青」とはこの草の青さ、あるいは下の「月」を井戸と考えるなら、その井戸の中にある清水の青さを表してるのではないかなどと考えられています。

「碧」は鉱石の「あお」

つぎに「碧」の字について説明しましょう。左上の「王」は三つの宝石の玉をひもでつないだものを表しています。右側の「白」は白く輝くものを表していて、下の「石」はそのまま、石のことです。そこから、「碧」宝石のように光り輝く石のことを意味するようになりました。

大昔に使われていた装飾品に勾玉というものがありますが、その材料に使われた石に「碧玉(へきぎょく)」と呼ばれるものがあります。勾玉をイメージしていただくと、青というかかなり緑色に近い色が思い浮かびますよね?「碧」「あお」とは、青の中でもこのように緑に近い青を意味し、「みどり」という訓読みもあるのです。

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