世界にはたくさんの君主制国家があるな。
そんな君主たちの一族について、「王室」と「皇室」という言葉を聞いたことがあるんじゃないか。
今回は「王室」と「皇室」の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

王室と皇室の違い

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世界にはさまざまな君主制国家が存在しています。日本やイギリスなど君主の権力が憲法によって規制されている立憲君主制の国もあれば、国王や首長が主権を持つ絶対君主制の国までさまざま。政治体制に違いがあるように、実は君主の種類にも違いがあるんです。ここでは「王室」と「皇室」という言葉の違いを解説していきます。

王室:その時代に権力のある一族の世襲

「王室」は国王の一族という意味です。国王は内紛や反乱、外国の干渉などにより度々変わります。その場合に元の国王の一族とは別の一族の者が国王になることも。つまり「王室」はその時代に権力のある一族の世襲なのです。国王の一族を「王族」と呼びますが、意味としては「王室」に近いと言えます。

皇室:特定の血族による完全な世襲

「皇室」は天皇の一族という意味です。天皇は内紛や反乱、外国の干渉などがあっても変わることはありません。なぜなら天皇は国王のように役職・立場というわけではなく、天皇家の血統の者が代々継ぐ名称だから。つまり「皇室」は特定の血族による完全な世襲なのです。天皇の一族を「皇族」と呼びますが、意味としては「皇室」に近いと言えます。

王室と皇室のある国

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「王室」と「皇室」の違いがわかったところで、気になるのは具体的にどのような国に「王室」と「皇室」があるかですよね。ここでは現代でも「王室」と「皇室」が存在する代表的な国家たちを紹介していきます。

\次のページで「王室のある国」を解説!/

王室のある国

「王室」のある国としてはヨーロッパではイギリス、オランダ、スペイン、ベルギー、スウェーデンなどです。アジアではタイ、ブータン、ブルネイ、マレーシアなど。

なおアラブ諸国では君主は国王ではなく首長と呼ばれます。首長が治める国を首長国と言い、代表的な国はカタールやクウェートなど。アラブ首長国連邦はドバイなどの首長国による連邦です。

皇室のある国

「皇室」のある国は日本のみです。「皇室」とは初代天皇である神武天皇からの直系の子孫にあたり、その神武天皇は日本神話の主神である天照大御神(アマテラスオオミカミ)の子孫であるとされています。

神話の時代からの血統が完全に保たれているのかどうかを今となっては確かめる術はありませんが、少なくとも日本の政治体制が「皇室」を中心に運営されていたのは間違いのない事実です。日本は天皇が公家や武家に政治の主権を奪われていたとしても「皇室」そのものを排除されなかったため、現代まで「皇室」が続いています。時の為政者が常に「皇室」を尊重してきた大変珍しい国家と言えるでしょう。

王室と皇室の関連用語

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「王室」と「皇室」は君主のあり方や国家体制によりさまざまだということが分かっていただけたと思います。しかし世界にはもっと多くの君主にまつわる用語があるんです。ここでは関連用語として「皇帝」と「法王」について解説していきます。

皇帝:帝国の君主

「皇帝」とは帝国の君主を指します。帝国とはさまざまな国や地域、部族や民族などをまとめた国のこと。非常に広い範囲に権力の及ぶ君主とも言い換えられるでしょう。現在「皇帝」は存在しません。

「皇帝」が君主だった国として代表的なものは中国でしょう。かつて広大な中国大陸では多くの国々が勢力争いをくり広げていました。その勢力争いを勝ち抜いた秦(シン)という国の国王が、他の国王たちよりも上位の概念として「皇帝」という言葉を生み出しました。

またヨーロッパにおいても、古代に西ローマ帝国・東ローマ帝国に「皇帝」が存在し、中世以降はフランスやドイツ、オーストリア、ロシアなどに「皇帝」が誕生しました。

法王:宗教上の最高権力者

「法王」とは宗教上の最高権力者のことで、国家の君主ではありません。キリスト教カトリックの総本山であるバチカン市国のトップは「法王」ですが主権を持っているわけではありません。また「法王」は公選制で非世襲のため、「王室」や「皇室」たりえません。

なお日本政府はカトリック教会のトップを「法王」ではなく「教皇」という呼称に統一しています。

王室は時代により変わる、皇室は完全な世襲

ここまでの解説で歴史や政治体制、文化により君主や君主制のありようは異なることをおわかりいただけたのではないでしょうか。

「天皇」と「皇帝」は英語で「Emperor(エンペラー)」と同じ訳語があてられています。これは「国王の上位概念」という意味で訳されたものであり、「天皇=皇帝」ではありません。私たち日本人は世界で唯一残された「Emperor」を誇ると同時に、歴史上唯一存在する概念である「天皇」を誇ることができます。

「天皇」が日本民族の象徴と呼ばれるのは、「天皇制」及び「皇室」そのものが歴史・政治体制・神話・文化など日本国のアイデンティティに密接に結びついているからに他なりません。

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文化・歴史雑学

3分で簡単にわかる王室と皇室の違い!日本以外に皇室はあるの?世界の王室も雑学好きライターがわかりやすく解説

世界にはたくさんの君主制国家があるな。
そんな君主たちの一族について、「王室」と「皇室」という言葉を聞いたことがあるんじゃないか。
今回は「王室」と「皇室」の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

王室と皇室の違い

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世界にはさまざまな君主制国家が存在しています。日本やイギリスなど君主の権力が憲法によって規制されている立憲君主制の国もあれば、国王や首長が主権を持つ絶対君主制の国までさまざま。政治体制に違いがあるように、実は君主の種類にも違いがあるんです。ここでは「王室」と「皇室」という言葉の違いを解説していきます。

王室:その時代に権力のある一族の世襲

「王室」は国王の一族という意味です。国王は内紛や反乱、外国の干渉などにより度々変わります。その場合に元の国王の一族とは別の一族の者が国王になることも。つまり「王室」はその時代に権力のある一族の世襲なのです。国王の一族を「王族」と呼びますが、意味としては「王室」に近いと言えます。

皇室:特定の血族による完全な世襲

「皇室」は天皇の一族という意味です。天皇は内紛や反乱、外国の干渉などがあっても変わることはありません。なぜなら天皇は国王のように役職・立場というわけではなく、天皇家の血統の者が代々継ぐ名称だから。つまり「皇室」は特定の血族による完全な世襲なのです。天皇の一族を「皇族」と呼びますが、意味としては「皇室」に近いと言えます。

王室と皇室のある国

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「王室」と「皇室」の違いがわかったところで、気になるのは具体的にどのような国に「王室」と「皇室」があるかですよね。ここでは現代でも「王室」と「皇室」が存在する代表的な国家たちを紹介していきます。

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