今回は「キンキ」と「キンメダイ」の違いを見ていきます。名前や見た目は似ているが、この2つはまったく別の魚です。だから違いも多岐にわたり、大きく分けて7つの点で異なっているんです。この違いを知れば、キンキとキンメダイの見分けがつくようになり、さらには自分の好みに合わせて選べるようになる。この先はグルメ好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

キンキとキンメダイはまったく別の魚!

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キンキとキンメダイは、鮮やかな赤色の見た目や名前の響きが似ていることから混同されやすい魚ですが、実はまったくの別物です。キンキの正式名称は「キチジ」で、漢字では「喜知次」と書きます。一方のキンメダイは漢字で「金目鯛」と書き、名前ひとつとっても別の魚であることがお分かりいただけるでしょう。

キンキとキンメダイの違いは7つ!

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まったく別の魚であるキンキとキンメダイには、当然ながら異なる点が多数存在します。生物学的な分類から見た目の特徴、生息域、食品としての価格に至るまで、その違いはさまざまです。ここでは代表的な7つの違いについて解説します

違い1.生物学上の分類

1つ目の違いは生物学上の分類です。キンキが「カサゴ目カサゴ亜目フサカサゴ科(あるいはメバル科)キチジ属」で、カサゴやメバルの仲間。キンメダイは「キンメダイ目キンメダイ亜目キンメダイ科キンメダイ属」で、キンキとはまったく別の分類です。

違い2.目の色

2つ目の違いは目の色。キンキとキンメダイはどちらも大きな目をしていますが、色に明確な違いがあります。キンキの目は透明で、瞳孔の黒色がはっきりと見える状態。一方のキンメダイは目が金色で、見る角度を変えるとキラキラと光る目をしています。

違い3.目の下のスジ

3つ目の違いは目の下のスジです。キンキには目の下に横向きのスジが浮き出ており、エラの近くまで走っています。一方のキンメダイにはこのスジがなく、なめらかな質感をしています。目の色が分かりにくい調理後でも、この違いは一目瞭然です。

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違い4.ヒレの形

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4つ目の違いはヒレの形。背ビレ・胸ビレ・尾ビレにそれぞれ違いがあります

キンキの背ビレはトゲトゲした形で黒い斑紋があるのに対し、キンメダイの背ビレには刺がなく模様もありません。キンキの胸ビレは大きく開いた形状で切れ込みがあり、体と水平に付いているのに対し、キンメダイの胸ビレは幅が狭く、ななめ上に向かって付いています。キンキの尾ビレは浅い切れ込みが入った半開きの扇状であるのに対し、キンメダイの尾ビレは二股に分かれた直線的な形状です。

違い5.生息域

5つ目の違いは生息域です。日本近海での生息域を確認すると、キンキは北海道から東北にかけての太平洋沿岸で多く見られ、水深150~1,500mほどの大陸棚、特に水深200~600mの範囲でもっとも多く生息しているといわれています。キンメダイは太平洋側では北海道の釧路以南、日本海側では新潟県以南に生息し、水深200~400mの岩礁域が棲みかです。

違い6.脂質の量

6つ目の違いは脂質の量です。日本食品標準成分表2020年度版によると、100gあたりの脂質量はキンキが21.7g、キンメダイが9.0gで、キンキはキンメダイの2.4倍以上の脂質量を誇ります。季節や個体によって差があるものの、キンキの方が圧倒的に脂質の多い魚です。

ただし、キンメダイも一般的な魚と比較して脂のりがいい種類。キンキとキンメダイはどちらもジューシーで味わい深い魚です。

違い7.価格

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7つ目の違いは価格です。2021年7月時点のとある販売店では、1尾3,500円のキンキに対し、同じサイズのキンメダイは1尾1,200円で販売されていました。3倍に迫る価格差でキンキの方が高価です。

これほどまでにキンキが高価な理由は漁獲量の少なさにあります。かつては大量に捕れたごく一般的な魚でしたが、乱獲によって数が激減したり、漁の担い手が減ったりして希少価値の高い魚になり、価格の高騰につながりました。

\次のページで「キンキ・キンメダイに含まれる成分」を解説!/

キンキ・キンメダイに含まれる成分

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キンキとキンメダイには、私たち人間に有用な成分が多く含まれています。特筆すべきは、鮮やかな赤色の色素に含まれるアスタキサンチンと、脂質に含まれるDHA・EPAです。それぞれの成分が人間にどのような効果をもたらすか確認していきましょう。

アスタキサンチン

アスタキサンチンは天然の赤い色素。高い抗酸化作用をもつ成分で、私たちの体内の活性酸素を消去する効果があるといわれています

活性酸素とは、呼吸によって体内に取り入れた酸素から生まれ、体にダメージを与える有害物質です。活性酸素が体に与えるダメージは老化や病気の原因になります。アスタキサンチンは高い抗酸化作用によってこの活性酸素を消去し、私たちの体を健康に導くと期待されている成分です。

DHA・EPA

DHAとEPAは必須脂肪酸と呼ばれる脂肪酸の一種で、血液をサラサラにしたり、神経を保護して認知機能を維持したりする効果があるといわれています。必須脂肪酸は人間の健康に不可欠なものでありながら、体内では作り出すことができない脂肪酸。そのため、私たちは必須脂肪酸を食事から積極的に摂取する必要があります。

キンキ・キンメダイのおすすめの調理法

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キンキとキンメダイは、どちらも脂のりがよく旨味の強い魚。その特徴を生かす調理法で、可能な限りおいしくいただきたいものです。ここでは、特におすすめといわれる2つの調理法をご紹介します。キンキとキンメダイを食べる機会があれば、これらの調理法をチョイスしてみてください。

1.焼き魚

1つ目の調理法は焼き魚です。シンプルに塩で焼くことで、他の味に邪魔されることなく、身と脂の旨味が堪能できます。焼き魚は姿が崩れにくいという点もメリットの1つ。味だけでなく、キンキとキンメダイの美しい姿も楽しむことができます。

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2.煮つけ

2つ目の調理法は煮つけ。甘辛いタレで煮ることで、キンキやキンメダイの身と脂の旨味が最大限に引き出されます。タレには脂が溶け込んでいますので、身をタレにからめて食べるといっそう深い味わいに。煮つけ自体がおいしいのはもちろんのこと、ごはんと一緒に食べても絶品です。1尾丸ごと煮つけにすれば、豪華で特別な雰囲気を楽しむことができます。

キンキとキンメダイを見分けて食べてみよう

見た目も名前もよく似たキンキとキンメダイには、大きく7つの違いがあることが分かりました。違いを知れば簡単に見分けることができ、好みや予算に合わせて選ぶことができます。どちらも脂がのったおいしい魚。レストランで注文したり、家庭で調理したりするときには、ご紹介したおすすめの調理法をぜひ参考にしてみてくださいね。

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簡単でわかりやすい!「キンキ」と「キンメダイ」の違いは7つ?成分やおすすめの調理法もグルメ好きライターが詳しく解説

今回は「キンキ」と「キンメダイ」の違いを見ていきます。名前や見た目は似ているが、この2つはまったく別の魚です。だから違いも多岐にわたり、大きく分けて7つの点で異なっているんです。この違いを知れば、キンキとキンメダイの見分けがつくようになり、さらには自分の好みに合わせて選べるようになる。この先はグルメ好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

キンキとキンメダイはまったく別の魚!

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キンキとキンメダイは、鮮やかな赤色の見た目や名前の響きが似ていることから混同されやすい魚ですが、実はまったくの別物です。キンキの正式名称は「キチジ」で、漢字では「喜知次」と書きます。一方のキンメダイは漢字で「金目鯛」と書き、名前ひとつとっても別の魚であることがお分かりいただけるでしょう。

キンキとキンメダイの違いは7つ!

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まったく別の魚であるキンキとキンメダイには、当然ながら異なる点が多数存在します。生物学的な分類から見た目の特徴、生息域、食品としての価格に至るまで、その違いはさまざまです。ここでは代表的な7つの違いについて解説します

違い1.生物学上の分類

1つ目の違いは生物学上の分類です。キンキが「カサゴ目カサゴ亜目フサカサゴ科(あるいはメバル科)キチジ属」で、カサゴやメバルの仲間。キンメダイは「キンメダイ目キンメダイ亜目キンメダイ科キンメダイ属」で、キンキとはまったく別の分類です。

違い2.目の色

2つ目の違いは目の色。キンキとキンメダイはどちらも大きな目をしていますが、色に明確な違いがあります。キンキの目は透明で、瞳孔の黒色がはっきりと見える状態。一方のキンメダイは目が金色で、見る角度を変えるとキラキラと光る目をしています。

違い3.目の下のスジ

3つ目の違いは目の下のスジです。キンキには目の下に横向きのスジが浮き出ており、エラの近くまで走っています。一方のキンメダイにはこのスジがなく、なめらかな質感をしています。目の色が分かりにくい調理後でも、この違いは一目瞭然です。

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