水銀温度計の歴史
水銀を使った体温計が開発されたのは1866年。時間はかかるものの、正確に体温が測れると活用されていました。しかし水銀は猛毒であり、その蒸気を吸うことは人体に大変危険です。そのため、やがてアルコールや灯油を使った体温計が使われるようになりました。そして現在では、デジタルタイプの体温計が主流となっています。
熱膨張と温度計
物質は温められると熱膨張し、体積が変わります。これは粒子の熱運動が激しくなるためです。この性質を利用して作られたのが体温計、温度計です
多くの物質は温めると大きくなりますが、なかには小さくなるものもあります。例えば水の体積が最も小さくなるのは約4℃の時。それよりも低い温度に水を冷やすと、体積は大きくなります。水と体積の関係についてはこちらの記事でどうぞ。
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温度計の仕組み
先ほど解説したように、温まった物質は熱膨張によって体積が増加します。温度計や体温計にはその膨張率に合わせて目盛りが振ってあるのです。体温計は脇に挟むと、その体温で温められて水銀が膨張します。温度によって膨張する体積は決まっているため、目盛りを読めば何度かわかるのです。
なぜ水銀を使っていたの?
なぜ体温計に水銀が使われていたのでしょうか。水銀は熱膨張率が安定していて、温度と体積が比例関係にあります。さらに金属である水銀は熱伝導率が良い為、正確に熱を測ることができるのです。
水銀と同じ原理のアルコールを使った体温計もあります。しかし膨張率が水銀よりも10倍以上あるため、体温計が大きくなり精度も下がってしまうのです。また、こちらは透明なため着色する必要があります。
実は薬だった過去も?体温計でおなじみの水銀
水俣病のイメージが強い水銀。実際毒物に指定されていて、その扱いは注意が必要です。そんな水銀ですが過去には薬として使われていました。日本でもつい数年前まで水銀の化合物が消毒薬として使われていたのです。
今では考えられませんが、不老不死の薬とも考えられていた時代もありました。水銀は唯一常温で液体の金属です。銀色に輝くその不思議な性質によって、そのようなイメージをもあれていたのかもしれませんね。