今回は「厄除け」と「厄払い」の違いについてです。よく聞く「厄年」に行くものかと思いきや、そうでもないらしいのです。実は自分が思い立ったらいつでも行っていいものなんです。どういうことか、学芸員ライターkuroakaと一緒に解説していきます。

ライター/kuroaka

博物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。好奇心旺盛で、雑学好き。たくさん仕入れた雑学をわかりやすく伝えられるよう日々鍛錬している。

「厄除け」「厄払い」「厄落とし」の違いは?

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厄年が近づくと「厄除けに行かなきゃいけないのかな。でもお寺と神社どっちに行けばいいんだろう…」と、そわそわする人もいるのではないでしょうか?今回はそんな疑問を解決する「厄除け」「厄払い」「厄落とし」について解説していきます。これを読めばどういう時に厄除けに行けばいいか分かってきますよ。

厄除け:これから起きる厄災を予防する

厄除けは「厄災が自分に寄ってこないように、あらかじめ祈祷をして防いでもらう」ものです。特徴は悪いことや災いが近寄ってこないように行う予防的な意味を持っていること。祈祷を受ける場所は主にお寺です。しかし、神社で受けることもあります。祈祷の内容は、護摩木という薪を使って煩悩を焼きつくす「護摩祈祷」が中心です。

厄払い:すでに身についてしまった厄災を取り除く

厄払いは、「すでに自分の身についてしまった厄を祈祷によって取り払うもの」です。祈祷の後、吉に転じ次の段階に進むための通過儀礼の面もあります。悪いことや不幸なことが連続している時に受ける他、新車を購入した時に安全祈願で受けることも。また、子どもの初詣や七五三も厄払いの一種です。祈祷を受ける場所は神社となります。

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厄落とし:自ら厄災を作り出して払う

厄落としは、「自ら厄災を作り出すことで、それ以上悪いことが起こらないようにするもの」です。大切にしてきた物やいつも身につけている物を、故意に落とすことで「厄を落とす」と考えられてきました。厄落としはお寺で祈祷をしてもらうことが多く、厄年に行うことが多い儀式です。

また、お寺に行かなくても自宅で厄落としをする方法がいくつかあります。代表的なひとつは断捨離。何か嫌なことが続いた時は、気分転換がてら不用品整理をしてみるのも手です。また、人に食事を振る舞うことでも厄を落とせると考えられています。

「厄除け」「厄払い」をするにあたって

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厄除けと厄払い、祈祷を受ける意味合いは少し違うものの、どちらを受けても問題はありません。特に厄除けと厄払いを区別していない寺社もあります。なので、普段から自分と馴染みのある寺社で受けるのがいいでしょう。では、他に厄除け・厄払いを受けるにあたっての注意点をみていきましょう。

いつ行くのがいい?

厄除け・厄払いは厄年に受けなければいけない、というものではありません。個人的な節目や良くないことが続くような時、いつ受けてもいいものです。

時期として立春(2月4日〜2月18日頃)までが習わしとされています。なので、元旦から旧暦の正月である節分(2月3日頃)までに行うのが最適です。しかし多くの寺社は一年中いつでも受け付けているため、温かい季節や日柄の良い日に合わせたりと、ご自身のタイミングで決めても問題ありません。一度祈祷を受けると効果は一年間続きます。

服装は過度な露出を避ける

厄除け・厄払いを受けるのに、決まった服装はありません。ただし神様や仏様に失礼がないよう過度な露出や派手めな服装は避けましょう。色は紺や黒などの落ち着いた物を選びます。男性ならスーツかジャケットに、襟付きシャツを。女性は膝が隠れる丈のワンピースや、スーツがよいでしょう。祈祷の祭、靴を脱ぐことが多いため、素足ではなく靴下やストッキングを必ず履いて行きます。

料金はどのくらいかかる?

厄払い・厄除けの金額は寺社によって3千円から数万円まで様々ですが、平均5千円ほどが相場と言われています。「お気持ちで結構です」と言われたときは、5千円を目安とし自分の財布と相談して金額を決めるといいでしょう。

注意点として、一般的に縁起の悪いと言われる「4(死)」や「9(苦)」を避ける金額にしてください。お金は白い無地の封筒か熨斗袋に入れ、表面に神社は「御初穂料」、お寺は「御祈祷料」もしくは「御布施」と書きます。

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「厄年」とは?

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厄払い・厄除けはいつ受けてもいいものだと分かりましたが、どうせなら厄年に祈祷を受けたいと考える人もいるのではないでしょうか。厄年は「満年齢」ではなく「数え年」を基準としています。現在公的な書類など一般的に使われているのは満年齢のため、数え年に対して馴染みのない人が多いでしょう。厄年の考え方について詳しくみていきましょう。

厄災が降りかかる年齢

厄年は、日本において「厄災」が降りかかるとされる年齢のことです。災いや不幸を避けるために普段より慎ましく過ごすようにされています。科学的根拠はありませんが、体の不調や変化が表れやすい年齢のようです。

厄年は紫式部の源氏物語にも記述があるなど、平安時代から千年以上続いてきました。本来は仏教や神道などの宗教とは関係なく、中国由来の「陰陽道」に起源があると言われています。昔貴族の間で広まった習慣ですが、江戸時代では庶民の間に広まるようになりました。

厄年は数え年で見る

「満年齢」と「数え年」の考え方は以下の通りです。

満年齢:生まれた日を0歳とし、次の誕生日が来ると歳をとる
数え年:生まれた日を1歳とし、正月(1月1日)が来ると歳をとる

【数え年の計算方法】
・誕生日前:満年齢+2歳
・誕生日後:満年齢+1歳

数え年で見る厄年は以下の通りです。各年齢の前年を前厄、後年を後厄と言い、合わせて3年間は厄災を避けるため厄を払います。

・男性:25歳、42歳、61歳
・女性:19歳、33歳、37歳、(61歳/入れずに3回の場合もあります)

「厄除け」と「厄払い」区別していない寺社もあり境界線は曖昧

「厄除け」は厄災を予防する意味があり、主にお寺で祈祷を受けます。「厄払い」はすでに憑いてしまった厄を払う意味があり、神社で祈祷を受けるのが一般的です。しかし厄除けと厄払いを区別していない寺社もあるのでその境界線は曖昧となっています。どちらも厄年に受ける必要はなく、不調が続いたり節目の時などいつ受けても問題ありません。

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雑学

3分で簡単にわかる!「厄除け」と「厄払い」の違いとは?「厄落とし」「厄年」の意味も学芸員ライターがわかりやすく解説

厄落とし:自ら厄災を作り出して払う

厄落としは、「自ら厄災を作り出すことで、それ以上悪いことが起こらないようにするもの」です。大切にしてきた物やいつも身につけている物を、故意に落とすことで「厄を落とす」と考えられてきました。厄落としはお寺で祈祷をしてもらうことが多く、厄年に行うことが多い儀式です。

また、お寺に行かなくても自宅で厄落としをする方法がいくつかあります。代表的なひとつは断捨離。何か嫌なことが続いた時は、気分転換がてら不用品整理をしてみるのも手です。また、人に食事を振る舞うことでも厄を落とせると考えられています。

「厄除け」「厄払い」をするにあたって

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厄除けと厄払い、祈祷を受ける意味合いは少し違うものの、どちらを受けても問題はありません。特に厄除けと厄払いを区別していない寺社もあります。なので、普段から自分と馴染みのある寺社で受けるのがいいでしょう。では、他に厄除け・厄払いを受けるにあたっての注意点をみていきましょう。

いつ行くのがいい?

厄除け・厄払いは厄年に受けなければいけない、というものではありません。個人的な節目や良くないことが続くような時、いつ受けてもいいものです。

時期として立春(2月4日〜2月18日頃)までが習わしとされています。なので、元旦から旧暦の正月である節分(2月3日頃)までに行うのが最適です。しかし多くの寺社は一年中いつでも受け付けているため、温かい季節や日柄の良い日に合わせたりと、ご自身のタイミングで決めても問題ありません。一度祈祷を受けると効果は一年間続きます。

服装は過度な露出を避ける

厄除け・厄払いを受けるのに、決まった服装はありません。ただし神様や仏様に失礼がないよう過度な露出や派手めな服装は避けましょう。色は紺や黒などの落ち着いた物を選びます。男性ならスーツかジャケットに、襟付きシャツを。女性は膝が隠れる丈のワンピースや、スーツがよいでしょう。祈祷の祭、靴を脱ぐことが多いため、素足ではなく靴下やストッキングを必ず履いて行きます。

料金はどのくらいかかる?

厄払い・厄除けの金額は寺社によって3千円から数万円まで様々ですが、平均5千円ほどが相場と言われています。「お気持ちで結構です」と言われたときは、5千円を目安とし自分の財布と相談して金額を決めるといいでしょう。

注意点として、一般的に縁起の悪いと言われる「4(死)」や「9(苦)」を避ける金額にしてください。お金は白い無地の封筒か熨斗袋に入れ、表面に神社は「御初穂料」、お寺は「御祈祷料」もしくは「御布施」と書きます。

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