この記事ではナウマンゾウとマンモスの違いについてみていきます。2つとも「絶滅したゾウの仲間」というイメージがあるよな。じつはマンモスでは、ナウマンゾウよりも研究が進んでいる。そして現存のアジアゾウの親戚であるマンモスは、クローン技術で復活するかもしれなのです。今回はそんな古生物の違いを、ライター2scと一緒に解説していきます。

ライター/2sc

理系の大学院に通うかたわら、ライターとして活動。技術から生活までさまざまな知識を、科学の視点で解説する。この記事では絶滅したゾウ科動物である、ナウマンゾウとマンモスの違いについてわかりやすく解説していく。

ナウマンゾウとマンモスを大まかに比較

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ナウマンゾウもマンモスも、遠い昔に絶滅したゾウの仲間。どちらも化石の状態で出土しています。以下では、そんなゾウの仲間の大まかな特徴について紹介。彼らがどのような生き物だったか、みていきましょう!

現存のゾウとは少し違う「ナウマンゾウ」

ナウマンゾウの分類は独特。彼らはアフリカゾウやアジアゾウの祖先ではありません。ゾウ科はパレオロクソドン属という、現存しないグループに分類されます。そんなナウマンゾウの化石は、明治時代の神奈川県・横須賀市で初めて出土しました。種名の由来は、その化石を初めて研究したエドムント・ナウマン氏。じつはかつて、日本にもゾウがいたのです。

これまで日本全国で、ナウマンゾウの化石が出土しています。もっとも多く出土する部位は臼歯。生涯に5回も生え変わるゾウ科動物の歯は、化石として残りやすい部位なのです。ほかにも北海道は幕別町忠類で、全身の骨格が出土。出土する化石の量からも、日本には多くのナウマンゾウが生息していたと示唆されています。

毛皮や肉も残っているマンモス

ゾウ科マンモス属の動物の総称が「マンモス」です。じつはマンモス属は、現存するアジアゾウ属に極めて近縁。両者の間にある差は、一見似ているアジアゾウとアフリカゾウの差よりも小さいのです。舌骨の形やDNAなど、これを裏付けする複数の証拠が集められています。なぜ遠い昔に絶滅したマンモスの事実が、ここまで明らかになっているのでしょうか。

じつはシベリアのツンドラ地帯では、「氷漬けのマンモス」が出土しています。マンモスの死体は、なんと一万年もの間その毛皮や肉が腐ることなく、氷の中で保存されていたのです。そのため研究だけでなく、彼らを復活させる試みも進んでいます。この記事ではまず、ナウマンゾウとマンモスの違いについて徹底解説。マンモスの復活についてもみていきましょう。

ナウマンゾウとマンモスの具体的な違い

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以下では、ナウマンゾウとマンモスの具体的な違いを3つ紹介します。その中でも「見た目の違い」は必見。じつは両者は骨格レベルで異なるのです。まずは彼らが辿ってきた歴史の違いから、みていきましょう!

\次のページで「違い1.生きていた時代」を解説!/

違い1.生きていた時代

ナウマンゾウは30万年前に出現した新しいゾウ。対してマンモス属が現れたのは、なんと400万年以上も前。マンモスのほうがはるかに長い歴史をもった動物なのです。マンモスは長い歴史のなかで、様々な地域に拡散。各地で異なる姿形に進化しました。

違い2.住んでいた地域

ナウマンゾウは、日本全国に生息していました。北海道や長野県、岡山県など南北問わずその化石が出土しています。近縁のパレオロクソドン属の化石が出土する地域は、インドや中国などアジア一帯。よってナウマンゾウの生息地は、広く見積もっても東アジアだけにとどまります。

一方マンモス属は世界中に分布。ユーラシア大陸の永久凍土以外にも生息していました。最古の化石はなんと、アフリカ大陸南端・南アフリカ共和国から出土。ほかにも北米大陸の南方・メキシコでも、マンモスの化石が出土しています。彼らマンモス属は長い歴史の中で、アフリカ大陸からユーラシア大陸、北米大陸へ広がっていったのです。

違い3.見た目

骨格から想像されている、ナウマンゾウの頭の形はユニーク。「ベレー帽」を被ったかのように、頭の頂点が平たく盛り上がります。対してマンモスの頭では、頂点が丸いコブ状に突出。両者の見た目で大きく違うのは、この1点だけです。ともに体毛の濃さについては、様々な議論がなされています。とくにマンモス属では、一般的なイメージとかけ離れた種が多く存在するのです。

マンモスと聞いて、「毛深いゾウ」を思い浮かべる人は多いはず。これは氷漬けの死体が出土している、「ケナガマンモス」の特徴です。ひとくちにマンモスといえど、姿形は千差万別。例えばアメリカで出土した「コロンビアマンモス」は、薄毛だったと考えられています。マンモスは体が大きい、というのも真実ではありません。なんと体高1メートル程度の種、「コビトマンモス」が存在したのです。

マンモスは復活できるの?

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ナウマンゾウと違い、肉や毛皮が残っているマンモス。生物学の先端技術によって、絶滅した彼らは現在に蘇ろうとしています。マンモスを復活させることに、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下その試みについて、詳しくみていきましょう!

マンモスを復活させる手段

マンモスはクローン技術により、蘇るかもしれない絶滅動物です。近縁のアジアゾウから受精卵と子宮を借りることで、彼らを復活させる試みがなされています。まずクローンの作成には、完全な状態の遺伝子が必要。幸いマンモス属のケナガマンモスでは、肉や皮の残った「氷漬けの死体」が出土しています。そのため完全な遺伝子を入手できる可能性があるのです。

じつはすでに、絶滅動物をクローン技術で復活させること自体には成功しています。2003年には一瞬だけ、絶滅したピレネーアイベックスが蘇ったのです。遺伝情報をヤギの受精卵に注入、現存のアイベックスを代理母とすることで復活が実現しました。復活したピレネーアイベックスは、誕生後すぐに死亡。このように絶滅動物の復活は発展途上ですが、思いのほか近い未来かもしれません。

\次のページで「マンモスを蘇らせるメリット」を解説!/

マンモスを蘇らせるメリット

復活したマンモスは、地球温暖化を食い止めてくれるかもしれません。地球温暖化によりツンドラ地帯では凍土が融解。地中から出てきた温室効果ガスが温暖化を加速させています。そこに復活したマンモスと牧草を導入すれば、凍土の融解を食い止められるかもしれないのです。まず生い茂った牧草は、凍土を保護します。そしてマンモスが糞を通して、牧草の繁栄を補助。マンモスを使って、凍土全体を牧草でカバーするという計画です。

ほかにもマンモスを研究する副産物として、様々な知見が得られます。その中には、人類が生存するためのヒントが隠れているかもしれません。たとえばマンモスのヘモグロビンを研究すれば、その適応の歴史がわかります。彼らが大災害や疫病に対してとった解決策を、人類の生存に役立てられるかもしれないのです。

マンモス復活の問題点

うかつにマンモスを復活させるべきではない、という意見もあります。まず現在の自然界に、彼らが生きられる場所は残っていません。さらにマンモスの詳しい生態は不明。そして異種のアジアゾウが代理母であることなど、倫理的な問題が山積みなのです。

マンモスは復活するかもしれない

ナウマンゾウと違ってマンモスは、よみがえるしれない動物。一万年前に滅んだ彼らを、クローン技術によって復活させる計画が進んでいます。まずマンモスは分類上、現存のアジアゾウに近いのが特徴。さらに化石しか残っていないナウマンゾウとは異なり、マンモスでは毛皮や肉も出土しています。そのためアジアゾウを代理母に、体細胞クローンが作られようとしているのです。

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簡単でわかりやすい!ナウマンゾウとマンモスの違いとは?生きていた時代や地域の違いについて生物学専攻ライターが詳しく解説

この記事ではナウマンゾウとマンモスの違いについてみていきます。2つとも「絶滅したゾウの仲間」というイメージがあるよな。じつはマンモスでは、ナウマンゾウよりも研究が進んでいる。そして現存のアジアゾウの親戚であるマンモスは、クローン技術で復活するかもしれなのです。今回はそんな古生物の違いを、ライター2scと一緒に解説していきます。

ライター/2sc

理系の大学院に通うかたわら、ライターとして活動。技術から生活までさまざまな知識を、科学の視点で解説する。この記事では絶滅したゾウ科動物である、ナウマンゾウとマンモスの違いについてわかりやすく解説していく。

ナウマンゾウとマンモスを大まかに比較

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ナウマンゾウもマンモスも、遠い昔に絶滅したゾウの仲間。どちらも化石の状態で出土しています。以下では、そんなゾウの仲間の大まかな特徴について紹介。彼らがどのような生き物だったか、みていきましょう!

現存のゾウとは少し違う「ナウマンゾウ」

ナウマンゾウの分類は独特。彼らはアフリカゾウやアジアゾウの祖先ではありません。ゾウ科はパレオロクソドン属という、現存しないグループに分類されます。そんなナウマンゾウの化石は、明治時代の神奈川県・横須賀市で初めて出土しました。種名の由来は、その化石を初めて研究したエドムント・ナウマン氏。じつはかつて、日本にもゾウがいたのです。

これまで日本全国で、ナウマンゾウの化石が出土しています。もっとも多く出土する部位は臼歯。生涯に5回も生え変わるゾウ科動物の歯は、化石として残りやすい部位なのです。ほかにも北海道は幕別町忠類で、全身の骨格が出土。出土する化石の量からも、日本には多くのナウマンゾウが生息していたと示唆されています。

毛皮や肉も残っているマンモス

ゾウ科マンモス属の動物の総称が「マンモス」です。じつはマンモス属は、現存するアジアゾウ属に極めて近縁。両者の間にある差は、一見似ているアジアゾウとアフリカゾウの差よりも小さいのです。舌骨の形やDNAなど、これを裏付けする複数の証拠が集められています。なぜ遠い昔に絶滅したマンモスの事実が、ここまで明らかになっているのでしょうか。

じつはシベリアのツンドラ地帯では、「氷漬けのマンモス」が出土しています。マンモスの死体は、なんと一万年もの間その毛皮や肉が腐ることなく、氷の中で保存されていたのです。そのため研究だけでなく、彼らを復活させる試みも進んでいます。この記事ではまず、ナウマンゾウとマンモスの違いについて徹底解説。マンモスの復活についてもみていきましょう。

ナウマンゾウとマンモスの具体的な違い

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以下では、ナウマンゾウとマンモスの具体的な違いを3つ紹介します。その中でも「見た目の違い」は必見。じつは両者は骨格レベルで異なるのです。まずは彼らが辿ってきた歴史の違いから、みていきましょう!

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