今回は「マルウェア」と「ウイルス」の違いについてです。

ウイルスが何かと言われると説明できる者も多いでしょう。しかし、マルウェアとの違いを説明しろと言われると難しいはずです。「マルウェア」は悪意を持ったソフトウェアの総称で、「ウイルス」はあくまでマルウェアの一種です。この記事を読み、マルウェアとウイルスについて正しい知識を身につけることができれば、情報強者になれる。

今回は、セキュリティの基礎とも言える「マルウェア」と「ウイルス」の違いをデータ分析を専門とする学部に在籍している現役大学生のショーと一緒に解説していきます。

ライター/ショー

データ分析を専門に学ぶ学部に在籍している大学生。小説投稿の経験を活かし、分かりやすく、簡単に理解できる記事を届ける。

マルウェアとウイルスの違いとは?

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マルウェアとウイルス、どちらもコンピュータに害をなすものを指す言葉ですが、まったく同じものではありません。それぞれの定義について見ていきましょう。

マルウェア:悪意を持ったソフトウェアの総称

マルウェアは悪意を持ったソフトウェアの総称です。皆さんは、マルウェアよりウイルスの方が聞き覚えがあるでしょう。しかし、「ウイルス」はマルウェアの一種であって、「マルウェア」がコンピュータに害をなすソフトウェアすべての総称なのです。

マルウェアとは、不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェアや悪質なコードの総称で、「malicious software(悪意のあるソフトウェア)」の略語です。

マルウェア(コンピュータ・ウイルス等)/千葉県警察

千葉県警察の定義からも、マルウェアは悪意を持ったソフトウェア・コードの総称で、英語の略語であるとわかります。マルウェアは悪意のあるソフトウェア・コードの総称、これだけは絶対に抑えておきましょう。

ウイルス:マルウェアの一種

マルウェアの定義でも触れましたが、ウイルスはマルウェアの一種です。ウイルスは次に示す3つの機能のうち、どれかを持つと定義されています。

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(1)自己伝染機能
自らの機能によって他のプログラムに自らをコピーし又はシステム機能を利用して自らを他のシステムにコピーすることにより、 他のシステムに伝染する機能
(2)潜伏機能
発病するための特定時刻、一定時間、処理回数等の条件を記憶させて、発病するまで症状を出さない機能
(3)発病機能
プログラム、データ等のファイルの破壊を行ったり、設計者の意図しない動作をする等の機能

コンピュータウイルス対策基準/IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

IPAとは、経済産業省が管轄している独立行政法人です。コンピュータウイルス(ウイルス)は他のシステムに伝染・潜伏・発病させる3つのフェーズがあります。そして、どれか1つでも有していればウイルスです。

マルウェアの種類は?

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マルウェアは、ウイルス以外にも多くの種類が存在します。代表的なマルウェアをいくつか紹介しましょう。

ウイルス:攻撃実行部分

ウイルスは攻撃を行うためのマルウェアです。さきほどの定義でも触れましたが、ウイルスはコンピュータの中に入ってから動き出し、伝染させたり潜伏したり発病させたりとコンピュータに直接害を与えるマルウェアに該当します。ウイルスというのは体に感染する意味のウイルスとしても意味が知られているため、皆さんも理解しやすいでしょう。

ランサムウェア:身代金要求型

ランサムウェアという言葉を聞いたことがないという方も多くいるのではないでしょうか。しかし、ランサムウェアはマルウェアのなかでも使用されることが多いソフトウェアです。今回を機に覚えておくとよいでしょう。

ランサムウェアを一言で表すならば、身代金要求型のマルウェアです。企業や病院、国など機密情報を持つ組織に対して使われるマルウェアになります。個人情報などのファイルを人(物)質とし、ファイルを返して欲しければお金を用意しろと組織を脅迫。入金された段階でファイルのロックを解除する手口です。組織はファイルを閲覧・編集できない状態では通常業務が行えないため、身代金を払ってしまい、被害は拡大しています。

ランサムウェアのパワーアップ版である二重脅迫型のダブルエクストーションというマルウェアも厄介です。ランサムウェアはファイルの閲覧・編集権を組織から奪えます。そのため、ファイルにアクセスし情報を抜き取り、さらにお金を払わなければ情報を公開するぞと脅せるのです。病院はカルテなどの個人情報が多数保管されていることから、標的とされています。

スパイウェア:情報抜き取り

スパイは皆さんもご存知でしょう。スパイという言葉のとおり、スパイウェアはコンピュータの情報を抜き取ることが目的のマルウェアです。ネットショッピングが買い物の主流となり、クレジットカードの情報をスマホやコンピュータで打ち込むことが増えましたよね。スパイウェアはカード情報などを抜き取り、別のコンピュータに送信するだけのマルウェアですが、ネットの普及により被害が拡大したのです。主に、クレジットカードの不正利用などに利用されます。

パスワードを使い回していた場合も危険です。仮にログイン情報などを抜き取られていれば他のサイトにもパスワードを転用して侵入されます。SNSのアカウント乗っ取りもこのような手口で行われているのです。

\次のページで「ワーム:増殖」を解説!/

ワーム:増殖

本来のワームは、ミミズなどの細長い虫の総称です。マルウェアとしてのワームは、増殖することから名前が付けられました。ワームの特徴は宿主を持たずに増殖できる点です。マルウェアは本来ファイルなどに寄生して感染を広げますが、ワームは宿主を必要としないため短期間で増殖できます。

ただ増殖するのに何の意味があるのか?と思う方も多いでしょう。ワームは増殖することでコンピュータのネットワークや記憶容量を占有しコンピュータを使用不能にできます。また、ランサムウェアと組み合わせることで、より多くのコンピュータに攻撃し身代金を要求できるのです。

トロイの木馬:侵入援助

トロイの木馬はある神話の一つに出てくるもので、城内に侵入するために贈り物の木馬の中に兵士が隠れたという話が基です。トロイの木馬は、メールの添付ファイルや有用なアプリ、ソフトウェアを装い、コンピュータに侵入します。そして、他のマルウェアが侵入するための入口(バックドア)を作ったり、スパイウェアを仕込むことで情報を抜き取ったりできるのが特徴です。

マルウェアの感染はどう防ぐ?

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マルウェアについての正しい知識を身につけただけでは意味がありません。実際にどうすれば防げるのかについて解説していきます。

1.ウイルス対策ソフトを入れる

マルウェアの感染を防ぐのにもっとも効果的なのはウイルス対策ソフトを入れることです。ウイルス対策ソフトとは、セキュリティを専門に扱う企業が提供しているソフトウェアのことを指します。既に知られているマルウェアの特徴を記したパターンファイルを参照することで、マルウェアの侵入を防ぐのです。

ウイルス対策ソフトは多くの企業が販売していますが、それぞれに特徴がありますので、特徴を考えた上で入れるようにしましょう。

2.メールの添付ファイルは開かない

マルウェアの感染経路の1つとしてメールの添付ファイルが挙げられます。企業からのメールや緊急性の高いメールを装ってファイルを添付することで、受信者に添付ファイルを無意識にクリックさせる手口です。

そのため、メールの添付ファイルは開かないようにしましょう。たとえ、企業からメールが届いたとしても添付ファイルは開かず、開かなければならないとしてもマクロなどのプログラムを有効にしないようにしてください。そうすれば感染を防げます。

3.パスワードは使い回さない

皆さん、パスワードは使い回していませんか?実は危険です。たとえば、すべてのサイトのパスワードを同じにしていると仮定しましょう。ある日、1つのサイトがサイバー攻撃の被害を受け、パスワードを含む個人情報が流出しました。どうなると思いますか?

パスワードをすべて同じにしていると、すべてのサイトに侵入され、あなたのコンピュータにも侵入されます。このように、あなた自身はマルウェア対策していても、別のルートから侵入されることがあるのです。パスワードは使い回さないようにしましょう。

もしマルウェアに感染したらどうする?

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どれだけ対策していても、マルウェアに感染する可能性はなくなりません。感染した場合の対処も頭に入れておきましょう。

\次のページで「1.無線LANとLANケーブルを抜く」を解説!/

1.無線LANとLANケーブルを抜く

無線LANとLANケーブルを抜くのは、あなたが加害者にならないためです。LANとはネットワークで、ネットワークと繋がっているとあなたに感染したマルウェアが外部に漏れます。他のコンピュータに感染すると、あなたのコンピュータが感染経路になるということです。まずは感染経路とならないためにもネットワークから遮断する必要があります。

2.ウイルス対策ソフトで駆除

ネットワークから切り離したら、マルウェアの駆除に取り掛かりましょう。マルウェアに感染してしまったらもうダメだと思っている方も多くいますが、ウイルス対策ソフトで駆除できるマルウェアもあります。ダメだと諦めずに一度はウイルス対策ソフトを動かすようにしましょう。

3.システムを復元

マルウェアにはウイルス対策ソフトで駆除しきれないものも多くあります。そこで、とれる最後の手段がシステムの復元です。システムの復元のためには定期的にバックアップを取る必要があります。定期的にバックアップを取れば、マルウェアに感染したとしてもマルウェア感染前の状態に戻せるのです。バックアップを取りましょう。

「マルウェア」は悪意のあるソフトウェアの総称、「ウイルス」はマルウェアの一種

マルウェアの定義から感染したときの対策方法まで解説してきました。マルウェアは悪意のあるソフトウェアの総称で、ウイルスはマルウェアの一種です。世の中ではマルウェアとウイルスを同一に扱っている方も多くいるため、基本的には同じものと考えてもよいでしょう。覚えるべきは、色々な種類のマルウェアが存在し、どのように予防すればよいかです。正しい知識を身につけ、正しくコンピュータを利用しましょう。

" /> 3分で簡単にわかる!マルウェアとウイルスの違いとは?定義から感染経路、対策までIT系大学生が詳しく解説 – Study-Z
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3分で簡単にわかる!マルウェアとウイルスの違いとは?定義から感染経路、対策までIT系大学生が詳しく解説

今回は「マルウェア」と「ウイルス」の違いについてです。

ウイルスが何かと言われると説明できる者も多いでしょう。しかし、マルウェアとの違いを説明しろと言われると難しいはずです。「マルウェア」は悪意を持ったソフトウェアの総称で、「ウイルス」はあくまでマルウェアの一種です。この記事を読み、マルウェアとウイルスについて正しい知識を身につけることができれば、情報強者になれる。

今回は、セキュリティの基礎とも言える「マルウェア」と「ウイルス」の違いをデータ分析を専門とする学部に在籍している現役大学生のショーと一緒に解説していきます。

ライター/ショー

データ分析を専門に学ぶ学部に在籍している大学生。小説投稿の経験を活かし、分かりやすく、簡単に理解できる記事を届ける。

マルウェアとウイルスの違いとは?

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マルウェアとウイルス、どちらもコンピュータに害をなすものを指す言葉ですが、まったく同じものではありません。それぞれの定義について見ていきましょう。

マルウェア:悪意を持ったソフトウェアの総称

マルウェアは悪意を持ったソフトウェアの総称です。皆さんは、マルウェアよりウイルスの方が聞き覚えがあるでしょう。しかし、「ウイルス」はマルウェアの一種であって、「マルウェア」がコンピュータに害をなすソフトウェアすべての総称なのです。

マルウェアとは、不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェアや悪質なコードの総称で、「malicious software(悪意のあるソフトウェア)」の略語です。

マルウェア(コンピュータ・ウイルス等)/千葉県警察

千葉県警察の定義からも、マルウェアは悪意を持ったソフトウェア・コードの総称で、英語の略語であるとわかります。マルウェアは悪意のあるソフトウェア・コードの総称、これだけは絶対に抑えておきましょう。

ウイルス:マルウェアの一種

マルウェアの定義でも触れましたが、ウイルスはマルウェアの一種です。ウイルスは次に示す3つの機能のうち、どれかを持つと定義されています。

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