簡単でわかりやすいプラトンとアリストテレスの違い!物事の本質はどこ?イデア論や四原因説も哲学修士ライターが詳しく解説
1.イデア論
プラトンが活躍していたアテナイでは当初、物事のとらえ方は人によって違うという相対主義が主流でした。そこに真っ向から対立して主張されたのがイデア論です。
たとえばいくつかの机をがあるというとき、机にはさまざまな形や色があります。しかし、形や色がばらばらにも関わらず、私たちはそれらを机と呼ぶことができるのです。なぜでしょうか。プラトンによれば、すべての机はすべての机に共通するような「原型」を持っているからだとしました。この「原型」こそが「イデア」です。
そこからプラトンは現実にさまざまな形を持って現れるものの中ではなく、物事の本質は外部のイデアにあると考えました。
2.形相質料論
アリストテレスはプラトンの弟子でありながらイデア論と対立し、物事の本質は形相と質料として内在していると主張しました。たとえば木の机があるといった時には、その机は机という形相と木という質料を持っていることになります。言い換えれば、形相とはものの形のことであり、質料とはものが何でできているのかという材料を意味しているのです。
アリストテレスは物事の本質はこの形相とは質料の二つがあって成り立っていると考えました。これはプラトンが物事の本質はイデアだけであるとしたイデア論と対立する考えです。
3.四原因説
アリストテレスは先ほどの形相質料論から発展して、物事はすべて四つの原因から成り立っているという四原因説を主張しました。それぞれ「形相因(どんな形か)」「質料因(何でできているのか)」「目的因(何の目的なのか)」「作用因(なぜ存在しているのか)」によって成り立ってるのです。
これを机の例で考えてみると次のようになります。天板に足がついているという机の形が「形相因」、木を材料にしているという「質料因」、勉強をするためという「目的因」、実際に誰かがその机を作ったという「作用因」の四つによって成り立っているのです。
アリストテレスは現実の個々のものがどのように成り立っているのかについて考えた哲学者ということができるでしょう。
アリストテレスのプラトン批判
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アリストテレスは師弟関係にあったプラトンと対立する考えを主張していました。その過程でイデア論に批判を行ったのです。それは第三の人間論として知られています。詳しく見ていきましょう。
第三の人間論
イデア論によれば、人間は人間のイデアを持っているから、人間だとわかるのです。これをわかりやすくするために類似ということで考えてみます。すべての人間は人間のイデアとの類似点を持っているということです。
すると一つの問題が起きます。ある人間Aさんが人間とわかるのなぜでしょうか。イデア論によれば、人間のイデアとAさんが類似しているからです。しかし、それはイデアとAさんを比較する土台、つまり「第三の人間」を必要とします。さらに、その第三の人間と比較する第四の人間が必要とされ、無限後退が起こってしまうのです。
しかし、現実にはAさんは人間であるとわかっているため、イデア論は間違っているのではないかという批判がありました。
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