この記事では軽油とガソリンの違いについてみていきます。どちらも乗り物の燃料として使うイメージがあるよな。違いはずばり「沸点」にありますが、燃焼する温度やエンジンの燃料として使ったときの特徴にいろいろ違いがあるみたいです。
今回はそんな生活を支える燃料の違いを、成分の違いから確認しつつ、雑学好きな理系ライターの斉藤佳人を一緒に解説していきます。

ライター/斉藤佳人

お米農家、メカエンジニア、ロボット教室講師、スポーツトレーナーと複数の仕事をこなすマルチワーカー。豊富な知識と経験をもとにライター業にも取り組んでいる。

軽油とガソリンの違いは成分!

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乗り物の燃料として欠かせない軽油とガソリン。どちらも原油から精製される液体燃料です。原油は炭素と水素の化合物である炭化水素と硫黄など複数の物質の混合物。この原油を常温常圧装置という高さが50mほどもある塔のような装置で加熱して「沸点の違い」を利用して成分ごとに分離濃縮します。その後、硫黄分を取り除くなどの処理を経て得られるのが軽油とガソリン。

軽油とガソリンの違いは、主な構成成分である炭化水素の沸点の違いにあります。次からは成分の違いを詳しく確認し、燃焼温度の違いも見ていきましょう。

違いその1:成分

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軽油の主成分は炭素数が10から20個の炭化水素。精製直後は無色ですが出荷時に着色され、その色はメーカーにより異なります。ガソリンの主成分は炭素数が4から10個の炭化水素。常温では無色透明の液体ですが安全性の観点から着色されています。揮発性が高いため揮発油と呼ばれ、強いにおいを放ちますね。

炭化水素は一般的に炭素の結合数が多いほど沸点が高くなる特徴があり、炭素数の少ないガソリンのほうが軽油よりも沸点が低く、分離精製できるのです。

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違いその2:引火点

軽油の引火点は45℃です。比較的安全とされていますが、猛暑や炎天下では液温が上昇し引火する恐れがあることに変わりはないので注意が必要ですね。ガソリンの引火点は-40℃ととても低く、常温でも火を近づけると燃焼してしまうのです。揮発性が高く、静電気のような小さな火種でも爆発を起こす可能性があるため扱いには特に注意が必要ですね。

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの特徴を知ろう!

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軽油を燃料とするエンジンをディーゼルエンジン。引火点の異なる軽油とガソリンは燃料として使用した時に、それぞれ特徴があります。順番に確認していきましょう。

ディーゼルエンジンの特徴

軽油は蒸発しにくいのですが、圧縮すると自己着火するという特徴があります。エンジン内部で軽油を圧縮し自己着火させて駆動するのがディーゼルエンジン。このため軽油には着火しにくさが求められ、その指標をセタン価と呼ぶのです。

軽油を使うディーゼルエンジンは燃焼効率が良いため低回転域でも力強く回転するということが最大の特徴。ガソリンと比べて燃費が良いという特徴も。大きな力を継続的に必要とするバスや大型トラック、作業用重機、農業用トラクター、船舶などのエンジンとして使われることが多いのです。

ディーゼルエンジンは燃料の高圧縮に耐えるためエンジン自体が大型になってしまう傾向があります。また、PMと呼ばれる粒子状物質や窒素酸化物などを排出するため大気汚染の原因になるとされていました。現在は触媒を用いて排ガスをクリーンにする技術が進み、排ガス規制をクリアするディーゼルエンジン車が開発されています。

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ガソリンエンジンの特徴

ガソリンエンジンは、霧状にしたガソリンを噴霧してスパークプラグと呼ばれる着火装置で火花を起こして着火し燃焼させて回転を生み出します。ディーゼルエンジンと比べ小型で高回転で回転し、静粛性が高いことがメリット。このメリットのため軽自動車から幅広い排気量の自動車に採用されています。

ディーゼルエンジンでは軽油の自己着火のしやすさが求められることを確認しましたね。対照的にガソリンエンジンでは自己着火しにくいことが求められ、オクタン価という指標で表されます。ハイオクという言葉はハイオク単価の略称。スポーツカーや高排気量の自動車でエンジンの異常燃焼を抑える目的で使われているのです。

軽油とガソリンの特徴を理解して覚えよう!

軽油とガソリンは原油から精製して作られる液体燃料でした。主成分である炭化水素の炭素数によって沸点が異なることを利用して分離精製されるのです。圧縮で自己着火するディーゼルエンジンは高トルクで力強いことがメリット。スパークプラグで着火するガソリンエンジンでは小型で高回転域が得意ということを確認しました。軽油とガソリンはそれぞれの特徴を利用したエンジンで活用されているのです。

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雑学

3分で簡単にわかる軽油とガソリンの違い!燃料としての違いと特徴についても理系ライターがわかりやすく解説

違いその2:引火点

軽油の引火点は45℃です。比較的安全とされていますが、猛暑や炎天下では液温が上昇し引火する恐れがあることに変わりはないので注意が必要ですね。ガソリンの引火点は-40℃ととても低く、常温でも火を近づけると燃焼してしまうのです。揮発性が高く、静電気のような小さな火種でも爆発を起こす可能性があるため扱いには特に注意が必要ですね。

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの特徴を知ろう!

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軽油を燃料とするエンジンをディーゼルエンジン。引火点の異なる軽油とガソリンは燃料として使用した時に、それぞれ特徴があります。順番に確認していきましょう。

ディーゼルエンジンの特徴

軽油は蒸発しにくいのですが、圧縮すると自己着火するという特徴があります。エンジン内部で軽油を圧縮し自己着火させて駆動するのがディーゼルエンジン。このため軽油には着火しにくさが求められ、その指標をセタン価と呼ぶのです。

軽油を使うディーゼルエンジンは燃焼効率が良いため低回転域でも力強く回転するということが最大の特徴。ガソリンと比べて燃費が良いという特徴も。大きな力を継続的に必要とするバスや大型トラック、作業用重機、農業用トラクター、船舶などのエンジンとして使われることが多いのです。

ディーゼルエンジンは燃料の高圧縮に耐えるためエンジン自体が大型になってしまう傾向があります。また、PMと呼ばれる粒子状物質や窒素酸化物などを排出するため大気汚染の原因になるとされていました。現在は触媒を用いて排ガスをクリーンにする技術が進み、排ガス規制をクリアするディーゼルエンジン車が開発されています。

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