みんな、「空海」に「弘法大師」、どちらも歴史の授業で聞いたことがあるでしょう。しかし歴史の授業では何をやった人物なのか簡単にしか紹介されていないはずです。名前の呼び方の違いや功績について歴史大好き元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「空海」と「弘法大師」の違い

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「空海」と「弘法大師」、皆さんも歴史の教科書で目にしたことがある人物ですよね?歴史の教科書には「空海(弘法大師)」と書かれていますが、その違いは何なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

「空海」:生前の名前

「空海」は「くうかい」と読みます。歴史で学んだ通り平安時代のお坊さんで真言宗の開祖で和歌山県の高野山に金剛峯寺(こんごうぶじ)を開いた人物です。しかし、この「空海」は本名ではありません。お坊さんとして名乗った法名なのです。ちなみに戦国武将の武田信玄の「信玄」もお坊さんとしての法名を名乗っていたのをご存じでしたか。

空海も初めは「教海(きょうかい)」を名乗り、その後「如空(にょくう)」という法名を使っており、22歳の時に「空海」と名前を改めています。

「弘法大師」:死後の名前

「弘法大師」は「こうぼうだいし」と読みます。実はこの名前は空海の死後につけられた諡(おくりな)です。「空海」と「弘法大師」は同一人物で、空海は自分自身を「弘法大師」と名乗っていません。この名前は空海の功績をたたえて送られたものだったのです。同じ時期に活躍した天台宗の開祖で最澄(さいちょう)も伝教大師(でんぎょうだいし)という諡が与えれています。

なお、弘法大師という名前は921年(死後約90年)に醍醐天皇から与えられた諡(おくりな)です。

何をやった人?

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歴史の教科書ではあまり詳しい記載がない空海ですが、何をやった人物なのか詳しく見ていきましょう。

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真言宗の開祖

「空海」の本名は佐伯眞魚(さえきのまお)で、出家して「空海」を名乗りました。この空海、真言宗という仏教の教えを広めた人物です。仏教は釈迦が広めた教えですが解釈などの違いから複数の宗派があります。その一つが真言宗と呼ばれる教えです。

大日如来(だいにちにょらい)を本尊とし、身体、言葉、心の修業を行うことで仏になれるという教え。当時の最先端であった唐(現在の中国)で真言密教を学び、帰国後に真言宗と呼ばれる宗派を開き日本に広めました。

また、空海は宗教を広めるだけではなく、庶民に教育の機会を与えるために綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)という学校を作ります。ここでは仏教以外にも法律、天文学、工学・音楽などさまざまなことを教えていました。

三筆のひとり

皆さん、「三筆(さんぴつ)」という言葉を聞いたことがありますか。日本の書道史上、特に優れた平安時代初期の三人を書家を指した言葉で、当時の中国の書風を広めました。空海は三筆のひとりに名を連ねており、新しい宗派を広めただけでなく、優れた書家として日本の書道の基礎を築いた人物として伝えれらています。嵯峨天皇(さがてんのう)、橘逸勢(たちばなのはやなり)が残りのふたりです。

なお、三筆に似た言葉で「三跡(さんせき)」がありますが、こちらは国風文化が盛んな時代の書家で仮名を含む和様書道の大家で、小野道風(おののみちかぜ)・藤原佐理(ふじわらのすけまさ)・藤原行成(ふじわらのゆきなり)の三名を指します。

逸話いろいろ

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「弘法大師」の名前ですが、実はことわざにも使われているのはご存じですか。「弘法にも筆の誤り」ということわざを聞いたことがある人も多いと思います。弘法大師のような立派な人物でも失敗することがある、という意味ですね。これは平安京の入り口にある応天門の看板を書いたときに「応」の字の点を書き忘れたことに由来するそうです。

他にも「弘法筆を選ばず」ということわざがあります。三筆のひとりである空海(弘法大師)のような達人は道具を選んだりせず、どんな道具を使っても一定の結果を残すという意味ですね。

「空海」と「弘法大師」は同一人物!

「空海」と「弘法大師」は同一人物で、呼び方の違いは生前に使った法名か死後に送られた諡(おくりな)の違いです。ですから空海は自分自身を「弘法大師」と名乗ったことはありません。空海は新しい仏教の教えと説いただけでなく、書家としての顔もあり、弘法大師の名前はことわざにも使われるほどだったのです。

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雑学

簡単で分かりやすい「空海」と「弘法大師」の違い!呼び方や功績も元塾講師が詳しく解説!

みんな、「空海」に「弘法大師」、どちらも歴史の授業で聞いたことがあるでしょう。しかし歴史の授業では何をやった人物なのか簡単にしか紹介されていないはずです。名前の呼び方の違いや功績について歴史大好き元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「空海」と「弘法大師」の違い

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「空海」と「弘法大師」、皆さんも歴史の教科書で目にしたことがある人物ですよね?歴史の教科書には「空海(弘法大師)」と書かれていますが、その違いは何なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

「空海」:生前の名前

「空海」は「くうかい」と読みます。歴史で学んだ通り平安時代のお坊さんで真言宗の開祖で和歌山県の高野山に金剛峯寺(こんごうぶじ)を開いた人物です。しかし、この「空海」は本名ではありません。お坊さんとして名乗った法名なのです。ちなみに戦国武将の武田信玄の「信玄」もお坊さんとしての法名を名乗っていたのをご存じでしたか。

空海も初めは「教海(きょうかい)」を名乗り、その後「如空(にょくう)」という法名を使っており、22歳の時に「空海」と名前を改めています。

「弘法大師」:死後の名前

「弘法大師」は「こうぼうだいし」と読みます。実はこの名前は空海の死後につけられた諡(おくりな)です。「空海」と「弘法大師」は同一人物で、空海は自分自身を「弘法大師」と名乗っていません。この名前は空海の功績をたたえて送られたものだったのです。同じ時期に活躍した天台宗の開祖で最澄(さいちょう)も伝教大師(でんぎょうだいし)という諡が与えれています。

なお、弘法大師という名前は921年(死後約90年)に醍醐天皇から与えられた諡(おくりな)です。

何をやった人?

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歴史の教科書ではあまり詳しい記載がない空海ですが、何をやった人物なのか詳しく見ていきましょう。

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