この記事ではオオバコとサイリウムの違いについてみていきます。じつは2つとも、同じオオバコ属の植物。ですが健康食品の「サイリウム」は、日本のオオバコとは別種なんです。全草が薬用となるオオバコと違って、サイリウムでは種子のほんの一部だけを利用する。今回はそんなオオバコ属の薬草の違いを、効能も含めて、大学で農学を専攻したライター2scと一緒に解説していきます。

ライター/2sc

理系の大学院に通うかたわら、ライターとして活動。技術から生活までさまざまな知識を、科学の視点で解説する。この記事ではオオバコ属の薬草、オオバコとサイリウムの違いについてわかりやすく解説していく。

オオバコとサイリウムを大まかに比較

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じつはオオバコはかなり身近な雑草。空き地や公園に必ず自生している、といっても過言ではありません。一方その仲間のサイリウムは、なじみが薄いはず。以下では健康食品「サイリウム」が、どんな植物に由来するのかみていきましょう。

「オオバコ」は食べられるアジアの雑草

「オオバコ」は日本全国に自生する、オオバコ科オオバコ属の植物。踏みつけに強く、公園など人の生活圏で繁栄する「雑草」です。日本以外でも、朝鮮半島から中国まで、東アジアに広く分布します。そんなオオバコは、古くから国内外で利用されてきた生薬。とくに古代中国の漢方薬で、重要な薬草のひとつなのです。

「サイリウム」は一部のオオバコ属をさす

「サイリウム」はオオバコ属のうち、種子を利用するものを指します。具体的には海外原産の、インドオオバコ(プランタゴ・オバタ)を「ブロンドサイリウム」、エダウチオオバコを「ブラックサイリウム」と呼称。これらの種子の外皮(ハスク)を薬用とします。あくまでも雑草であるオオバコと違って、サイリウムは本格的に栽培されている農作物です。

以下この記事では、オオバコとサイリウムの具体的な違いを解説。とくに日本ではなじみの薄い、サイリウムについて掘り下げていきます!健康食品としての効果やレシピについてもみていきましょう。

オオバコとサイリウムの具体的な違い

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市販のサイリウムは「オオバコ」として売られていることがあります。ですが日本の雑草・オオバコとは、出自や見た目が大きく異なるのです。以下では、そんなオオバコとサイリウムの違いを3つ紹介していきます。

違い1.植物の出自

オオバコとサイリウムでは、原産地など出自が違います。オオバコはアジア原産の植物で、日本全国に分布。あぜ道から荒地まで、あらゆる環境に適応できる雑草です。対して各種サイリウムは海外出身。インドオオバコは中東・地中海・南アジアの荒地に自生しています。そしてエダウチオオバコはヨーロッパ原産です。

2種のサイリウムは、水路のある農地で育つ栽培植物。ヨーロッパ・インドで栽培が盛んです。雑草のオオバコと違って、人の手を借りなければ育ちません。たとえばサイリウムは、ほかの雑草との競争に弱いのです。

\次のページで「違い2.植物の見た目」を解説!/

違い2.植物の見た目

オオバコとサイリウムとで、見た目が違うのは葉の周り。日本のオオバコでは、葉が地面に着いています。タンポポと同じ「ロゼット」なのです。そして個々の葉は、スプーンのように先が広がっています。

サイリウムの一種、インドオオバコの葉もロゼットです。しかし葉の形がオオバコと違います。こちらは分厚く細長い、アロエのような葉をもっているのです。一方でエダウチオオバコは、葉のつき方から違います。ロゼットではなく、高い位置についているのです。立ち上がった茎の節目から、複数の葉を出します。さらに個々の葉は細長い形状。在来のオオバコとは簡単に見分けられるでしょう。

違い3.用いる部位

利用する部位も、オオバコとサイリウムとで異なります。オオバコでは全草を利用。とくに葉が可食部です。おひたしや天ぷら、和え物、油炒めなど幅広い料理に使えます。加えてオオバコは、全草が「車前草」、種子が「車前子」の名をもつ生薬。ともに咳止め・たん切りの効果があるため、のど飴に用いられます。

一方「サイリウム」の利用部位は、種子外皮の粉末。食物繊維を90%も含むため、古くから便秘薬として用いられてきました。またサイリウムは、水を吸うとゲル化するので、少量でも満腹感を得られます。そのためダイエット食品での利用も盛ん。グルテンや糖質を含まないため、小麦粉や片栗粉の代替品として優秀なのです。後述するように、生活習慣病への効果も示唆されています。

オオバコ/サイリウム粉末の使い方

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以下ではダイエットの味方・サイリウムについて、より詳しく掘り下げていきます。各国の機関が認めた効き目から、摂取時の注意点まで徹底解説。さらにレシピについてもみていきましょう!

オオバコ/サイリウムのメリットや効果

サイリウムは「トクホ」こと、特定保健用食品に含まれる素材のひとつ。便秘だけでなく、高コレステロール血症に対する効果も実証済みです。具体的にサイリウムは、コレステロールの吸収を抑えます。腸内でサイリウムのゲルが、コレステロールを吸着。一緒に体外へと出てゆくのです。そしてコレステロールが原因の、心臓疾患に対しても効果を期待できます。こちらはなんと、FDA(アメリカ食品医薬品局)のお墨つきです。

さらにサイリウムは、2型の糖尿病にも効き目が。食物繊維が糖の吸収を遅らせて、血糖値の急激な変化を抑えてくれるのです。

オオバコ/サイリウムの注意点

健康状態を改善してくれるサイリウムには、いくつか注意点があります。第一に食べすぎないこと。摂取量の目安は1食で4〜8g、1日で16gまでです。サイリウムは腸の中で、水を吸って膨らみます。あまりに量が多いと、便秘や腸閉塞の原因となってしまうのです。また水なしで、粉末のまま摂るのもやめましょう。喉を詰まらせるおそれがあります。

もうひとつ気をつけたいのは、サイリウムと他の薬剤との飲み合わせ。サイリウムは糖尿病や高血圧の治療薬の、吸収を阻害します。またサプリや食事に含まれる鉄分に対しても、吸収を妨げるのです。よって貧血体質または通院中の人は、医師と相談したうえでサイリウムを摂るようにしましょう。

\次のページで「オオバコ/サイリウムのレシピ」を解説!/

オオバコ/サイリウムのレシピ

サイリウムは無味無臭の粉末なので、小麦粉や片栗粉と同じように使えます。おすすめの料理はスイーツ全般。サイリウムを「パンケーキ」に入れると、低カロリーに仕上がりますよ。またゼラチンの代わりにサイリウムを使った、「コーヒーゼリー」もおすすめ。和風だと「わらびもち」にも使えます。

「サイリウム」は海外のオオバコから採れる

健康食品「サイリウム」は、海外産のオオバコ属植物に由来。インドオオバコやエダウチオオバコの種子外皮を粉末としたものです。近年になって普及した日本では、サイリウム粉末に「オオバコ」の商品名が付くことも。ですが日本固有のオオバコとは、見た目・利用法が大きく異なります。ダイエットや便秘解消、生活習慣病の改善など、さまざまな効果をもつサイリウム。摂取するときは、くれぐれも適量を守ってください。

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簡単でわかりやすい!オオバコとサイリウムの違いとは?見た目や効果、レシピについて農学専攻ライターが詳しく解説

この記事ではオオバコとサイリウムの違いについてみていきます。じつは2つとも、同じオオバコ属の植物。ですが健康食品の「サイリウム」は、日本のオオバコとは別種なんです。全草が薬用となるオオバコと違って、サイリウムでは種子のほんの一部だけを利用する。今回はそんなオオバコ属の薬草の違いを、効能も含めて、大学で農学を専攻したライター2scと一緒に解説していきます。

ライター/2sc

理系の大学院に通うかたわら、ライターとして活動。技術から生活までさまざまな知識を、科学の視点で解説する。この記事ではオオバコ属の薬草、オオバコとサイリウムの違いについてわかりやすく解説していく。

オオバコとサイリウムを大まかに比較

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じつはオオバコはかなり身近な雑草。空き地や公園に必ず自生している、といっても過言ではありません。一方その仲間のサイリウムは、なじみが薄いはず。以下では健康食品「サイリウム」が、どんな植物に由来するのかみていきましょう。

「オオバコ」は食べられるアジアの雑草

「オオバコ」は日本全国に自生する、オオバコ科オオバコ属の植物。踏みつけに強く、公園など人の生活圏で繁栄する「雑草」です。日本以外でも、朝鮮半島から中国まで、東アジアに広く分布します。そんなオオバコは、古くから国内外で利用されてきた生薬。とくに古代中国の漢方薬で、重要な薬草のひとつなのです。

「サイリウム」は一部のオオバコ属をさす

「サイリウム」はオオバコ属のうち、種子を利用するものを指します。具体的には海外原産の、インドオオバコ(プランタゴ・オバタ)を「ブロンドサイリウム」、エダウチオオバコを「ブラックサイリウム」と呼称。これらの種子の外皮(ハスク)を薬用とします。あくまでも雑草であるオオバコと違って、サイリウムは本格的に栽培されている農作物です。

以下この記事では、オオバコとサイリウムの具体的な違いを解説。とくに日本ではなじみの薄い、サイリウムについて掘り下げていきます!健康食品としての効果やレシピについてもみていきましょう。

オオバコとサイリウムの具体的な違い

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市販のサイリウムは「オオバコ」として売られていることがあります。ですが日本の雑草・オオバコとは、出自や見た目が大きく異なるのです。以下では、そんなオオバコとサイリウムの違いを3つ紹介していきます。

違い1.植物の出自

オオバコとサイリウムでは、原産地など出自が違います。オオバコはアジア原産の植物で、日本全国に分布。あぜ道から荒地まで、あらゆる環境に適応できる雑草です。対して各種サイリウムは海外出身。インドオオバコは中東・地中海・南アジアの荒地に自生しています。そしてエダウチオオバコはヨーロッパ原産です。

2種のサイリウムは、水路のある農地で育つ栽培植物。ヨーロッパ・インドで栽培が盛んです。雑草のオオバコと違って、人の手を借りなければ育ちません。たとえばサイリウムは、ほかの雑草との競争に弱いのです。

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