カーナビやスマホの道案内などで世話になっているのがGPSです。GPSはよく聞くがGNSSと言われたらなんのことか分かるか?聞いたことない奴も多いんじゃないか。今ではGPSだけでなくGNSSの世話にもなっているが、GPSに比べると知名度が低いよな。そんなGPSやGNSSの仕組みや、なぜGPSとは別のものが必要なのかを、旅行好きで飛行機ではGPSを使った現在位置画面と窓から見る景色を楽しむプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

カーナビや道案内に欠かせない、GPSやGNSSとは?

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身近なところでカーナビやスマホの道案内、意外なところでは漁業や農業でも活用されているのがGPS。GPSという言葉を聞いたことがない人は少なそうですよね。では、GNSSはどうでしょう。こちらはあまりなじみが薄く、初めて聞く人もいるかもしれません。

GPSとGNSSの違いは、衛星を使って現在位置を調べる技術全般がGNSSで、その中でもアメリカが使い始めたものがGPSです。そんなGNSSやGPSの仕組みや違い、なぜGPS以外にも似たようなものがあるのかを説明します。

GPS:アメリカがつくったもの

GPSとは「Global Positioning System」の略。日本語にすると「全地球測位システム」と呼ばれています。「測位」とは位置を測るという意味で、ざっくり言えば現在位置を正確に調べるものです。

元々はアメリカ軍のためのものでしたが、大韓航空機が旧ソビエト連邦の領空に迷い込んで撃墜された事件をきっかけに、民間でも使うようになります。1990年にカーナビにGPSが使われるようになってから、GPSは広く使われるように。今ではスマホなどにも搭載されて、現在位置を簡単に正確に調べることができるようになっています。

GNSS:GPSを含めた衛星を使った位置を確認する仕組み全体

GNSSは「Global Navigation Satellite System」の略。日本語にすると「全地球航法衛星システム」です。GPSと似ていますが、「測位」が「航法」になっています。現在位置を正確に知ることで船や飛行機が間違った場所に行かないようにするのが航法。言葉は違いますが、この場合の測位と航法は同じ意味と考えてください。「衛星」という言葉も増えていますが、GPSもGNSSもどちらも衛星を使うのは同じです。

似ているのも当然で、実は2つは同じもの元々はアメリカのGPSしかなかったのですが、その後、いくつかの国が同様の仕組みをつくります。それらはGPSとは違う名前ですので、GPSのようなものをまとめて「GNSS」という名前をつけたのです。

GPS(GNSS)で位置がわかる仕組み

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現在位置がすぐに分かる便利なGPS。でも、どうやって位置が分かるのでしょう。名前に衛星が入っているように、人工衛星を使います。カーナビやスマホにはその衛星からの電波を受信できるアンテナが入っているのです。GPSで現在位置がわかる仕組みを説明します。

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時刻と時間が重要?位置がわかる仕組み

GPSの人工衛星には非常に精密な時計が搭載されています。この時計を使い、地上に向けて現在の時刻を送信するのです。カーナビやスマホなどのGPS受信機はいくつかの衛星からその電波を受信します。

衛星と受信機は距離が離れていますよね。受信機の時計の時刻と衛星から受信した時刻には距離の分だけ差が出ます。その時間差から衛星との距離が計算可能です。衛星はどこにあるのか分かっています。そのため、いくつかの衛星の位置と距離を計算すると、現在の位置がわかるのです。

数が多いほど正確?地球上を飛び回る衛星

現在位置がわかるためには、いくつかの衛星からの電波を受信する必要があります。理論的には最低4つの衛星からの電波を受信が必要です。電波を受信できた衛星が多ければ多いほど正確になります。

また、衛星は遠いので地上に届くのはとても弱い電波です。建物や山などがあると届きません。そのため、建物や地形の起伏が多い場所では、少し離れただけでも受信できる衛星が減ってしまいます。それを防ぐためにも多くの衛星が必要になるのです。

様々なところで活躍!GPSの活用方法

そんなGPSやGNSSはどんなところで活躍しているのでしょう。カーナビやスマホでの道案内、位置を使ったSNSやゲームなどはおなじみですよね。GNSSに「航法」が入っているように、飛行機や船舶などが安全に航行するためにも正確な位置が欠かせません

また、最近ではGPSなどを使って決められたコースを自動で飛行するドローンでの配達なども検討されています。農業などでもトラクターに畑がどこからどこまでかを教えることで、自動的に苗を植え、収穫するような仕組みも可能です。このように現代ではGPSなどをさまざまな分野で活用しています。

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なぜ必要?GPSだけでは足りないわけ

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GPSはアメリカがつくったものです。元々は世界で活動するアメリカ軍のためのものなので、アメリカ国内だけでなく、世界中で利用可能。では、なぜ他の国はわざわざGPSと似たようなものをあらためてつくったのでしょう。GPS以外の似たようなものや、日本のものについて説明します。

すべてはアメリカしだい?都合で利用が制限されたGPS

正確な位置が分かるGPSですが、どのくらい正確なのでしょう。理論的には「95%の確率でずれが10m以内」です。しかし、GPSはこの正確さが制限されていた時期があります。もともとアメリカが軍事目的で用意したものですが、GPS自体は誰でも利用可能です。アメリカにとって都合の悪い相手も利用できます。そのため、1990年から2000年にかけて、民間利用に対しては意図的にずれが100mに広がるようになっていました。

今はこのようなずれはありませんし、そのための仕組みも衛星に内蔵されていないとされています。しかし、当時はこれでは困る国がそれぞれ独自に同様なシステムを作りました。一般的には以下の4つがGNSSとされています。

・GPS(アメリカ)
・Gallileo(EU)
・GLONASS(ロシア)
・北斗系統 (BDS) (中国)

24個じゃ足りない?GPSを補強する「みちびき」

アメリカのGPSは24個の人工衛星を使っています。これで全世界をカバーしているわけです。GPS衛星は静止衛星ではないため、地上から見た位置は常に動いています。そのため、日本から使える衛星は一般的には6〜10個です。最低4個の衛星が使えれば位置はわかりますが、より正確な位置を知るには8個の衛星が必要と言われています。そうすると、時と場合によって不足することも。また、建物の多い都市部でも正確な位置がわかるためにも日本の真上に衛星が必要です。

そのため、日本は準天頂衛星みちびきを打ち上げました。現在、4つの衛星が変わるがわりで日本上空にくるようになっています。みちびきを使ってより正確な位置がわかるようにしているのです。みちびきは正確には地域航法衛星システム(RNSS)と呼ばれます。

備えあれば憂いなし!いざという時のバックアップ

GPSは宇宙にある人工衛星からの電波で動きます。宇宙にあるので地上の災害とは無関係ですが、宇宙でも事故があります。2021年度にJAXAが管理している十数個の衛星について、危険な状況が250件以上あったそうです。このように宇宙でも、漂うごみなどで衛星が故障してしまう危険があります。

全世界を24個でカバーするGPS衛星が事故で1個使えなくなっただけで、大きな影響が出てしまいますよね。そのため、それを補うような衛星が必要なのです。ただ、それをアメリカだけで負担するのは大変。それもあって、GPSと同様な衛星をいくつかの国などで打ち上げているのです。

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生活に欠かせないGPSやGNSS、多くの衛星で世界中をカバー

旅客機が誤って他国の領空に入ってしまったことで起きた撃墜事件をきっかけに民間利用が広がったGPS。元々は航空機や船舶の安全な航行のために正しい位置を知るためのものでした。それが1990年代にはカーナビに搭載され、携帯電話やスマホにも搭載されます。より普段の生活に密着したものになったわけです。

そのGPSはアメリカが打ち上げた24個の人工衛星を使う仕組み。その後、アメリカ以外でもGPSと同様な目的の衛星を打ち上げます。GPSを含めたそれらの仕組みを総称してGNSSと呼ぶのです。

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簡単でわかりやすい!GPSとGNSSの違いとは?仕組みや必要性もプログラマーが詳しく解説

カーナビやスマホの道案内などで世話になっているのがGPSです。GPSはよく聞くがGNSSと言われたらなんのことか分かるか?聞いたことない奴も多いんじゃないか。今ではGPSだけでなくGNSSの世話にもなっているが、GPSに比べると知名度が低いよな。そんなGPSやGNSSの仕組みや、なぜGPSとは別のものが必要なのかを、旅行好きで飛行機ではGPSを使った現在位置画面と窓から見る景色を楽しむプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

カーナビや道案内に欠かせない、GPSやGNSSとは?

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身近なところでカーナビやスマホの道案内、意外なところでは漁業や農業でも活用されているのがGPS。GPSという言葉を聞いたことがない人は少なそうですよね。では、GNSSはどうでしょう。こちらはあまりなじみが薄く、初めて聞く人もいるかもしれません。

GPSとGNSSの違いは、衛星を使って現在位置を調べる技術全般がGNSSで、その中でもアメリカが使い始めたものがGPSです。そんなGNSSやGPSの仕組みや違い、なぜGPS以外にも似たようなものがあるのかを説明します。

GPS:アメリカがつくったもの

GPSとは「Global Positioning System」の略。日本語にすると「全地球測位システム」と呼ばれています。「測位」とは位置を測るという意味で、ざっくり言えば現在位置を正確に調べるものです。

元々はアメリカ軍のためのものでしたが、大韓航空機が旧ソビエト連邦の領空に迷い込んで撃墜された事件をきっかけに、民間でも使うようになります。1990年にカーナビにGPSが使われるようになってから、GPSは広く使われるように。今ではスマホなどにも搭載されて、現在位置を簡単に正確に調べることができるようになっています。

GNSS:GPSを含めた衛星を使った位置を確認する仕組み全体

GNSSは「Global Navigation Satellite System」の略。日本語にすると「全地球航法衛星システム」です。GPSと似ていますが、「測位」が「航法」になっています。現在位置を正確に知ることで船や飛行機が間違った場所に行かないようにするのが航法。言葉は違いますが、この場合の測位と航法は同じ意味と考えてください。「衛星」という言葉も増えていますが、GPSもGNSSもどちらも衛星を使うのは同じです。

似ているのも当然で、実は2つは同じもの元々はアメリカのGPSしかなかったのですが、その後、いくつかの国が同様の仕組みをつくります。それらはGPSとは違う名前ですので、GPSのようなものをまとめて「GNSS」という名前をつけたのです。

GPS(GNSS)で位置がわかる仕組み

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現在位置がすぐに分かる便利なGPS。でも、どうやって位置が分かるのでしょう。名前に衛星が入っているように、人工衛星を使います。カーナビやスマホにはその衛星からの電波を受信できるアンテナが入っているのです。GPSで現在位置がわかる仕組みを説明します。

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