今回はユダヤ教とキリスト教の違いについてみていきます。どちらも有名な宗教で世界に影響を与えているイメージがあるよな。違いはずばり救われる人々にあるようですが、信仰する神は同じなどその関係は複雑なようです。この記事ではそんな二つの宗教をイスラム教とも比較しつつ、哲学修士ライターみっくんと一緒に解説していきます。

ライター/みっくん

哲学修士ライターとして、哲学研究の経験を活かして記事を執筆している。今回は西洋哲学と密接な関係を持つユダヤ教とキリスト教の違いを解説する。

ユダヤ教とキリスト教の違い

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ユダヤ教とキリスト教にはどのような違いがあるのでしょうか。違う宗教でありながら、信仰する神は同じなど複雑な関係をもっているようです。まずは、それぞれ宗教の種類が違うということから解説していきます。そしてイスラム教との違いも見ていきましょう。

民族宗教のユダヤ教

ユダヤ教は民族宗教です。宗教の中でも全世界の人類を対象とする世界宗教とは違い、ある特定の民族に対する宗教を指します。ユダヤ教はユダヤ民族こそが神に選ばれたのであり、神から与えられた律法を守ることによって救われるのです。そのためユダヤ教徒になるためには、さまざまな手続きを行いユダヤ人になる必要があります。

世界宗教のキリスト教

キリスト教は世界宗教です。特定の民族のみが救われるのではなく、信仰する全世界の人々が救われます。そのためキリスト教徒になるために特定の民族であることや国籍は必要がありません。神を信仰する人は全世界のどんな人々でも救われるのが世界宗教のキリスト教です。

イスラム教との違いは?

ユダヤ教、キリスト教と聞くと「イスラム教」と連想する方も多いでしょう。実はこの三つの宗教は同じ神を信仰しています。それだけでなく聖地も同じエルサレムという場所にあるのです。民族宗教か世界宗教かで言えば、イスラム教は世界宗教でキリスト教に近いと思われます。しかしイスラム教は礼拝を重要視しており、その厳しさは律法を重視するユダヤ教に近いものです。

信仰する神は同じ?

ユダヤ教とキリスト教は同じ神を信仰しながら別々の宗教です。それは神との契約内容が違うことから起こっています。そこにどのような違いがあるのか詳しく見ていきましょう。

ユダヤ教と神の契約

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ユダヤ教と神の契約は、一言でいえば神から与えられた律法を守ることです。有名な律法として安息日や食事に関するものがあります。

安息日に関しては労働をしてはいけないため、エレベーターのボタンですら押してはいけません。また食事に関しては断食などが決められており、どんなに危機的状況でも食べることは許されません。何よりも神に与えられた律法を守ることが大切であり、そのことによって救われるのです。

キリスト教と神の契約

何よりも律法を重視するユダヤ教に対して、キリスト教は神への信仰ならびに愛が大切であるとするものです。例えば、その日が安息日であったとしても目の前に重い荷物で困っている人がいれば、助けてあげることのほうが大切になります。

キリスト教はそのような律法を守ることだけでなく、愛を実践することで救われるという契約なのです。その律法に縛られない自由な姿勢が広まり、世界宗教となりました。

\次のページで「ユダヤ教とキリスト教の関係」を解説!/

ユダヤ教とキリスト教の関係

ユダヤ教とキリスト教の関係には、ユダヤ教のメシア待望論という考えが大きくかかわってきます。そのためメシア待望論を解説したのちに、キリスト教の立場を解説していきましょう。

ユダヤ教のメシア待望論

ユダヤ教のメシア待望論とは、ローマ戦争に敗れ離散してしまったユダヤ民族を導くメシア=救世主を待ち望むという考えです。バラバラになってしまったユダヤ民族を再びまとめ上げイスラエルに戻るためのリーダーを待望しています。しかし、ユダヤ教の立場としてそのメシアはいまだ現れていません。

メシアとしてのイエス・キリスト

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イエス・キリストこそが、ユダヤ教のメシア待望論の救世主であるとして始まったのがキリスト教です。そもそもキリストの意味は救世主という意味をもっています。しかし、ユダヤ教は民族宗教であり、世界宗教のキリスト教とは異なったものです。

そのためユダヤ教ではイエスはメシアとして認められることはありません。このような関係性からユダヤ教とキリスト教は同じ神を信仰していながら違う宗教になっているのです。

ユダヤ教とキリスト教は救われる人々が違う

この記事では「ユダヤ教」と「キリスト教」の宗教の種類の違い、神との契約の違いの解説してきました。その違いはそれぞれ、民族宗教世界宗教か、律法愛の実践かという違いです。そしてユダヤ教とキリスト教の関係はメシア待望論を通してみることで明らかになりました。

そのなかでも最も大きな違いは、ユダヤ教はユダヤ民族を救う民族宗教であるのに対して、キリスト教は信仰している全世界の人々を救う点にありました。

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簡単でわかりやすいユダヤ教とキリスト教の違い!信仰する神は同じ?イスラム教との違いも哲学修士が詳しく解説

今回はユダヤ教とキリスト教の違いについてみていきます。どちらも有名な宗教で世界に影響を与えているイメージがあるよな。違いはずばり救われる人々にあるようですが、信仰する神は同じなどその関係は複雑なようです。この記事ではそんな二つの宗教をイスラム教とも比較しつつ、哲学修士ライターみっくんと一緒に解説していきます。

ライター/みっくん

哲学修士ライターとして、哲学研究の経験を活かして記事を執筆している。今回は西洋哲学と密接な関係を持つユダヤ教とキリスト教の違いを解説する。

ユダヤ教とキリスト教の違い

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ユダヤ教とキリスト教にはどのような違いがあるのでしょうか。違う宗教でありながら、信仰する神は同じなど複雑な関係をもっているようです。まずは、それぞれ宗教の種類が違うということから解説していきます。そしてイスラム教との違いも見ていきましょう。

民族宗教のユダヤ教

ユダヤ教は民族宗教です。宗教の中でも全世界の人類を対象とする世界宗教とは違い、ある特定の民族に対する宗教を指します。ユダヤ教はユダヤ民族こそが神に選ばれたのであり、神から与えられた律法を守ることによって救われるのです。そのためユダヤ教徒になるためには、さまざまな手続きを行いユダヤ人になる必要があります。

世界宗教のキリスト教

キリスト教は世界宗教です。特定の民族のみが救われるのではなく、信仰する全世界の人々が救われます。そのためキリスト教徒になるために特定の民族であることや国籍は必要がありません。神を信仰する人は全世界のどんな人々でも救われるのが世界宗教のキリスト教です。

イスラム教との違いは?

ユダヤ教、キリスト教と聞くと「イスラム教」と連想する方も多いでしょう。実はこの三つの宗教は同じ神を信仰しています。それだけでなく聖地も同じエルサレムという場所にあるのです。民族宗教か世界宗教かで言えば、イスラム教は世界宗教でキリスト教に近いと思われます。しかしイスラム教は礼拝を重要視しており、その厳しさは律法を重視するユダヤ教に近いものです。

信仰する神は同じ?

ユダヤ教とキリスト教は同じ神を信仰しながら別々の宗教です。それは神との契約内容が違うことから起こっています。そこにどのような違いがあるのか詳しく見ていきましょう。

ユダヤ教と神の契約

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ユダヤ教と神の契約は、一言でいえば神から与えられた律法を守ることです。有名な律法として安息日や食事に関するものがあります。

安息日に関しては労働をしてはいけないため、エレベーターのボタンですら押してはいけません。また食事に関しては断食などが決められており、どんなに危機的状況でも食べることは許されません。何よりも神に与えられた律法を守ることが大切であり、そのことによって救われるのです。

キリスト教と神の契約

何よりも律法を重視するユダヤ教に対して、キリスト教は神への信仰ならびに愛が大切であるとするものです。例えば、その日が安息日であったとしても目の前に重い荷物で困っている人がいれば、助けてあげることのほうが大切になります。

キリスト教はそのような律法を守ることだけでなく、愛を実践することで救われるという契約なのです。その律法に縛られない自由な姿勢が広まり、世界宗教となりました。

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