この記事では「回る」と「周る」の違いについてみていきます。どちらも似たような意味を持つ言葉ですが、読み方から間違えて覚えている人が多いこれらの言葉。今回はその読み方から、旅行や営業などでさまざまな場所を訪ねる意味の「まわる」はどちらを使うかまで、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

回ると周るの大きな違い

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まず、「回る」と「周る」の大きな違いについて説明しましょう。「回る」「周る」では、そもそも読み方が違います。「回る」は「まわる」と読みますが、「周る」の読み方は「めぐる」です。

「周る」も「まわる」じゃないの?と思った方もいるかと思いますが、今現在の日本語の使い方としては、「周」は「周り」と送り仮名をふられた時に「まわり」と読むものの、「周る」と書かれている場合には「めぐる」と読むのが正しいとされています。

旅行や営業ではどちらを使う?

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さきほど説明したように、「周る」の読み方は「めぐる」であり、「まわる」とは読みません。ですので、「旅行でいろいろな場所をまわる」「営業でお得意先をまわる」などの文で「まわる」を漢字にしたいときには「回る」を使いましょう。

回ると周るの漢字を説明

「回る」「周る」では読み方が違うことは説明しましたね。それでは「回」と「周」には、他にどんな違いがあるのでしょうか。ここからはそれぞれの漢字の成り立ちや意味について詳しく説明していきたいと思います。

「回」は何か回転している様子

まずは「回」という漢字について説明しましょう。「回」の成り立ちは諸説あり、たとえば「物が回転してる様子を形にした」や「渦を巻いている様子を形にした」という説などがあります。

ですから「回」という字には「円を描くように移動すること」といった意味の「回る(まわる)」という読みや、「物を回転させること」などと言った意味の「回す(まわす)」といった読みがあるのです。そして、このように「回」という字は基本的には「まわる」や「まわす」といった動きのニュアンスを常に持っているということを覚えておいてください。

「周」はまわりまで満遍なくゆきわたる様子

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今度は「周」という漢字について説明しましょう。「周」の成り立ちにも諸説あり、「田んぼの中に種や苗がびっしり植えられている様子」ではないかというものや、「四角い箱のような器に彫刻が一面にびっしりと彫られている様子」ではないかというものなどがあります。

ですので、「周」という字にはもともと「全体にわたってゆきわたること」という意味があるのです。そこから、「もの全体をとり囲む縁(ふち)やその長さ」という意味でも使われるようになり、「周り」と送り仮名をふって「まわり」と読ませるようになりました。

\次のページで「回りと周りは何が違う?」を解説!/

回りと周りは何が違う?

「周」という字は「周り」と送り仮名をふることで「まわり」と読むことは説明しましたね。そして、「回」という字も「回り」とふることで「まわり」と読むことができます。それでは「回り」「周り」ではどんな違いがあるのでしょうか?

さきほど、「回」の字についての説明で、「『回』という字は基本的に「まわる」という動きのニュアンスを常に持っている」と教えましたが、「回り」と送り仮名をふった場合も、単なる「物の周囲の長さ」という意味の「まわり」ではなく、電車の「内回り」「外回り」「見回り」などといった、動きのイメージやニュアンスがあるのです。一方の「周り」は、そのような動きのイメージやニュアンスはありませんので、単に「物の周囲やその長さ」だけを意味したいときには、この「周り」の方が使われます。

「回り」……「内回り」「外回り」「見回り」など「まわる」という動きのニュアンスを含む
「周り」……「物の周囲やその長さ」など動きのニュアンスを含まない

回るは「まわる」で周るは「めぐる」!

今回、「回る」「まわる」と読んで「周る」「めぐる」と読むことや、「回り」と「周り」のようにどちらも「まわり」と読む場合にも、「まわる」という動きのニュアンスを含むかどうかで使い分けがされることなどを知っていただけたかと思います。また、「まわる」を漢字にするときには「周」は使わないので、「回」の方を使うということを心に留めておいてください。

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雑学

簡単でわかりやすい!回ると周るの違いとは?旅行や営業ではどちらを使う?現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「回る」と「周る」の違いについてみていきます。どちらも似たような意味を持つ言葉ですが、読み方から間違えて覚えている人が多いこれらの言葉。今回はその読み方から、旅行や営業などでさまざまな場所を訪ねる意味の「まわる」はどちらを使うかまで、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

回ると周るの大きな違い

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まず、「回る」と「周る」の大きな違いについて説明しましょう。「回る」「周る」では、そもそも読み方が違います。「回る」は「まわる」と読みますが、「周る」の読み方は「めぐる」です。

「周る」も「まわる」じゃないの?と思った方もいるかと思いますが、今現在の日本語の使い方としては、「周」は「周り」と送り仮名をふられた時に「まわり」と読むものの、「周る」と書かれている場合には「めぐる」と読むのが正しいとされています。

旅行や営業ではどちらを使う?

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さきほど説明したように、「周る」の読み方は「めぐる」であり、「まわる」とは読みません。ですので、「旅行でいろいろな場所をまわる」「営業でお得意先をまわる」などの文で「まわる」を漢字にしたいときには「回る」を使いましょう。

回ると周るの漢字を説明

「回る」「周る」では読み方が違うことは説明しましたね。それでは「回」と「周」には、他にどんな違いがあるのでしょうか。ここからはそれぞれの漢字の成り立ちや意味について詳しく説明していきたいと思います。

「回」は何か回転している様子

まずは「回」という漢字について説明しましょう。「回」の成り立ちは諸説あり、たとえば「物が回転してる様子を形にした」や「渦を巻いている様子を形にした」という説などがあります。

ですから「回」という字には「円を描くように移動すること」といった意味の「回る(まわる)」という読みや、「物を回転させること」などと言った意味の「回す(まわす)」といった読みがあるのです。そして、このように「回」という字は基本的には「まわる」や「まわす」といった動きのニュアンスを常に持っているということを覚えておいてください。

「周」はまわりまで満遍なくゆきわたる様子

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今度は「周」という漢字について説明しましょう。「周」の成り立ちにも諸説あり、「田んぼの中に種や苗がびっしり植えられている様子」ではないかというものや、「四角い箱のような器に彫刻が一面にびっしりと彫られている様子」ではないかというものなどがあります。

ですので、「周」という字にはもともと「全体にわたってゆきわたること」という意味があるのです。そこから、「もの全体をとり囲む縁(ふち)やその長さ」という意味でも使われるようになり、「周り」と送り仮名をふって「まわり」と読ませるようになりました。

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