この記事では「封緘」と「封印」の違いについてみていきます。どちらも封筒に書類や手紙を入れて閉じる場面などで使う言葉ですが、特に「封緘」は「緘」の字が難しいため、読み方すらわからない人もいて当然でしょう。今回はその読み方から「封緘」と「封印」の違いまで、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

封緘は「ふうかん」と読む!

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はじめに封緘の読みを教えましょう。「緘」の字の右側の「咸」が「カン」という音を持っていることから「緘」の字も音読みで「カン」と読み、「封」と組み合わせた「封緘」「ふうかん」と読みます。

封緘と封印のざっくりした違い

まずは封緘と封印のおおまかな違いを説明しましょう。封緘と封印の違いとは、「封緘」手紙や書類を入れた封筒や箱などを閉じて封をすることそのものを指すのに対し、「封印」はその封をした証しとして、その閉じた封じ目につける印や、その印をつける行為自体を指します。

封緘と封印を漢字から説明

封緘と封印の違いが、「封をする行為そのもの」「封をした証しとしての印」かどうかであることは説明しましたが、ここからは両者の意味について理解を深めるため、それぞれに使われている漢字に着目して説明していきたいと思います。

「封」はもともと領土を意味する

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「封」の左側の「圭」は神様をまつるために三角に盛った土や塚をあらわし、右側の「寸」は人の手をあらわしています。そこから「封」という字は「領土」「土地をあたえて領主にすること」などを意味するようになりました。今日の私たちがこの意味で使うことはまずないので意外に思う方もいると思いますが、日本史で出てくる「封建制度」の「封」などがこの意味だと言えばわかりやすいかもしれません。

そして領地を治めるために土を盛って境(さかい)をつくるイメージからか、「封」という字には「さかい」や、今現在わたしたちが使うような「閉じる」「出入口をふさぐ」といった意味を持つようになりました。

「緘」はひもで口をとじること

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「緘」の右側にある「咸」という形は、「まさかり」という斧の一種と「口」の形が元となっていて、まさかりで脅して口を閉じさせる様子から成り立ったのではないかという、ちょっと物騒な説があります。この説の立場をとると、「咸」自体に「閉じる」ニュアンスがあることとなり、それに糸へんを添えることで、「緘」という字はひもをしばって中のものを閉じ込めるという意味を持つようになったのかもしれません。

そして、中のものを閉じ込める意味を持つ「封」と「緘」という二つの文字を重ねていることで、「封緘」手紙や書類を入れた封筒や箱などを閉じて封をすることを意味するようになったのでしょう。

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「印」はもともと押しつけること

つづいて「印」という漢字について説明しましょう。「印」の左側の形は「人の手」をあらわし、右の「卩(ふしづくり)」は「ひざまづいている人」をあらわしています。そこから、「印」という字はもともと「押しつける」ことを意味する字でした。しかし、やがてハンコなどを押しつけて物に「しるし」をつける様子から、今日の私たちが意味する「しるし」という意味で「印」という字が使われるようになったのです。

ですので、「封印」という言葉は、封をして、そこに閉じた証しとしてつける印や、その印をつける行為自体を意味します。

封緘のやり方を説明

つぎに、封緘のやり方を知らない方のために、基本的なやり方を説明しましょう。まずは封筒に書類や手紙などを入れ、封筒のベロ(封筒を閉じるときのフタにあたる部分)にのり付けして閉じます。そして折ったベロにペンで「〆(しめ)」の印を書きましょう。形は似ていますが、「〆」はバツマークではないので「×」と書かないように気をつけてください。

以上が封緘の一番基本的なやり方ですが、ビジネスや重要書類などでは「緘」という字が彫られた封緘印が使われることが多いですし、他にもシーリングワックスという蝋を溶かしてそこにスタンプを押したり、封緘シールという封印用のシールもあったりなど、封緘の方法はその用途やシチュエーションなどによってさまざまなものがあります。

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封緘はとじることで封印はその証し!

「封緘」手紙や書類を入れた封筒や箱などを閉じて封をすることを意味し、「封印」は封をした証しとして、その閉じたところにつける印や、その印をつける行為そのものだということ、そして、それぞれの漢字の意味や成り立ちについて知っていただけたかと思います。

封緘にはさまざまな方法がありますが、その封緘に使うシールやスタンプだけでも実に色々な種類があり、中には非常に凝ったものや可愛らしいものもあるので、興味をもった方は調べてみてはいかがでしょうか。

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雑学

簡単でわかりやすい!封緘と封印の違いとは?漢字の読み方から封緘のやり方まで現役塾講師がわかりやすく解説

「印」はもともと押しつけること

つづいて「印」という漢字について説明しましょう。「印」の左側の形は「人の手」をあらわし、右の「卩(ふしづくり)」は「ひざまづいている人」をあらわしています。そこから、「印」という字はもともと「押しつける」ことを意味する字でした。しかし、やがてハンコなどを押しつけて物に「しるし」をつける様子から、今日の私たちが意味する「しるし」という意味で「印」という字が使われるようになったのです。

ですので、「封印」という言葉は、封をして、そこに閉じた証しとしてつける印や、その印をつける行為自体を意味します。

封緘のやり方を説明

つぎに、封緘のやり方を知らない方のために、基本的なやり方を説明しましょう。まずは封筒に書類や手紙などを入れ、封筒のベロ(封筒を閉じるときのフタにあたる部分)にのり付けして閉じます。そして折ったベロにペンで「〆(しめ)」の印を書きましょう。形は似ていますが、「〆」はバツマークではないので「×」と書かないように気をつけてください。

以上が封緘の一番基本的なやり方ですが、ビジネスや重要書類などでは「緘」という字が彫られた封緘印が使われることが多いですし、他にもシーリングワックスという蝋を溶かしてそこにスタンプを押したり、封緘シールという封印用のシールもあったりなど、封緘の方法はその用途やシチュエーションなどによってさまざまなものがあります。

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