この記事では「広島原爆」と「長崎原爆」についてみていきます。みんなも知っている通り、1発の爆弾で多くの人が一瞬で犠牲となる強力な爆弾です。ですが、広島と長崎に投下された爆弾には違いがある。その違いをいろんな角度から元塾講師のyêuthuquáと一緒に解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「広島原爆」と「長崎原爆」の違い

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1945年8月6日「広島」、同年8月9日「長崎」に人類史上初めてアメリカ軍により原子爆弾が投下されました。その威力はすさまじく一瞬にして多くの命を奪ったのです。また、アメリカは2種類の原子爆弾を投下したのですが、それぞれどのような爆弾だったでしょうか。詳しく見てみましょう。

「広島原爆」: ウラン型

1945年8月6日午前8時15分、広島市の上空約580メートルで爆発しました。主な特徴は次の通りです。

【広島原爆】
燃料:ウラン
威力:約12.5キロトン
コードネーム:リトルボーイ
爆撃機:B-29(エノラ・ゲイ)

「長崎原爆」: プルトニウム型

1945年8月9日午前11時2分、長崎市の上空約500メートルで爆発しました。主な特徴は次の通りです。

\次のページで「なぜ「広島」と「長崎」が選ばれた?」を解説!/

【長崎原爆】
燃料:プルトニウム
威力:約22キロトン
コードネーム:ファットマン
爆撃機:B-29(ボックス・カー)

なぜ「広島」と「長崎」が選ばれた?

1945年に入ると日本の戦況はまずます悪くなり、アメリカ軍が繰り返し本土空襲を行っていました。広島は大きな空襲を受けておらず原爆の効果を測るのにちょうどいい候補地だったのです。その上、日本軍の兵器工場などもあったため、アメリカ軍は候補地として広島を選びました。

一方、2つ目の原爆は北九州工業地帯がある小倉に投下される予定だったのですが、天候が悪かったため候補地となっていた長崎へ変更されたのです。長崎には戦艦大和や武蔵を建造した三菱重工の造船所があったので候補地となってました。ただ当日は長崎上空も雲に覆われており目標の造船所ではなく雲の切れ間から長崎上空から投下されたのです。

最終的に候補地となっていた都市は広島・小倉・長崎・新潟でした。当初は京都も候補地となっていましたが、最後の決定で除外されました。

原爆の被害は?

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一瞬で多くの命を奪う原爆の被害をどのようなものだったのでしょうか。爆発による光と高熱が周りを焼き尽くすほどのものだったのです。それぞれの都市における被害をみていきましょう。

爆発時の被害

まずは広島の被害状況を見ていきましょう。爆発の瞬間は百万度以上に達し、爆心地から半径1.2キロメートル以内では熱線が皮膚を焼きつくし、内臓にも障害を与え、ほとんどの人が亡くなりました。爆発からわずか3秒の間に地表の温度は3,000~4,000度に達したのです。これは、影がレンガなどに焼き付いてしまうほどの高温でした。爆風の影響も大きく、半径2キロメートル以内にある木造の家はほぼ全壊。この年の12月までに約14万人の市民が亡くなりました

長崎は三方を山に囲まれていたため、広島原爆よりも威力が大きい原爆であったにもかかわらず、被害は広島程ではありませんでした。しかし、この年の12月までに約7万人の方が命を落としたのです。

\次のページで「後遺症」を解説!/

後遺症

原爆の被害で最も深刻なのは放射線によるものです。放射線は目に見えるものではありませんが、確実に人体に悪い影響を与えます。たとえ原爆投下によってけがをしていなくても、免疫の低下、白血球の減少、出血症状、脱毛などの症状を引き起こしすのです。

このように被爆した人たちも含めると原爆による死者数は2021年時点で51万人を超えています。そして今もなお、放射線の後遺症に苦しめられている人がたくさんいるのです。

現在の核兵器を取り巻く情勢

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広島、長崎への原爆投下後、アメリカ、イギリス、フランス、旧ソ連、中国が核兵器の開発を進め、ピーク時には約70,000発にまで達しました。東西冷戦下では、アメリカ、旧ソ連を中心に核開発が進み戦争の抑止力として膨大な数の核兵器を所有するに至ったのです。

大国による核軍縮

アメリカ、旧ソ連による核開発が繰り広げられてきましたが、国際社会におけるさまざまな会議、会合を重ねた結果、保有する核兵器の数を制限するなどの動きが見られ、2022年1月の時点で約1,2700発の核弾頭が地球上に存在します。主な条約は下記の通りです。

NPT(核不拡散条約)
SALT 1・2
INF(中距離核戦力)条約
START 1・2 など

核兵器の拡散

大国が軍縮に向かう中、新たに核を保有する国が増えていることが現在最も心配されることです。インド、パキスタン、北朝鮮は核の保有を認めていますし、またイランやイスラエルは核を保有してるのではないかとの疑惑があります。核兵器の拡散が新たな核保有国を生み出したり、テロリストの手に渡ったりするなどの危険性があるということです。

\次のページで「「広島原爆」と「長崎原爆」の違いは燃料」を解説!/

「広島原爆」と「長崎原爆」の違いは燃料

「広島原爆」はウラン、「長崎原爆」はプルトニウムとその燃料が違っていました。その威力は私たちの想像をはるかに上回るものであり、一瞬で多くの命を奪うことができます。現在の核兵器はさらに威力も増しており、人命のみならず建物でさえも一瞬で消し去ることができるほどです。しかし、核兵器を保有する国は疑惑も含め増えています。広島、長崎の悲劇を繰り返さないようにしなければなりません。

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雑学

簡単で分かりやすい「広島原爆」と「長崎原爆」の違い!原爆に使われた燃料や威力、被害状況も歴史大好き元塾講師がくわしく解説!

後遺症

原爆の被害で最も深刻なのは放射線によるものです。放射線は目に見えるものではありませんが、確実に人体に悪い影響を与えます。たとえ原爆投下によってけがをしていなくても、免疫の低下、白血球の減少、出血症状、脱毛などの症状を引き起こしすのです。

このように被爆した人たちも含めると原爆による死者数は2021年時点で51万人を超えています。そして今もなお、放射線の後遺症に苦しめられている人がたくさんいるのです。

現在の核兵器を取り巻く情勢

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広島、長崎への原爆投下後、アメリカ、イギリス、フランス、旧ソ連、中国が核兵器の開発を進め、ピーク時には約70,000発にまで達しました。東西冷戦下では、アメリカ、旧ソ連を中心に核開発が進み戦争の抑止力として膨大な数の核兵器を所有するに至ったのです。

大国による核軍縮

アメリカ、旧ソ連による核開発が繰り広げられてきましたが、国際社会におけるさまざまな会議、会合を重ねた結果、保有する核兵器の数を制限するなどの動きが見られ、2022年1月の時点で約1,2700発の核弾頭が地球上に存在します。主な条約は下記の通りです。

NPT(核不拡散条約)
SALT 1・2
INF(中距離核戦力)条約
START 1・2 など

核兵器の拡散

大国が軍縮に向かう中、新たに核を保有する国が増えていることが現在最も心配されることです。インド、パキスタン、北朝鮮は核の保有を認めていますし、またイランやイスラエルは核を保有してるのではないかとの疑惑があります。核兵器の拡散が新たな核保有国を生み出したり、テロリストの手に渡ったりするなどの危険性があるということです。

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