
簡単でわかりやすい!しさくとせさくの違いとは?NHKは施策をどう読む?現役塾講師が詳しく解説


解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/空野きのこ
大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。
「しさく」と「せさく」のざっくりした違い

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まずは「しさく」と「せさく」のおおまかな違いについて説明しましょう。これらはどちらも、「政治などにおいて、ある事柄や問題に対して実際にほどこされる計画や対処法」などといった意味を持つ「施策」という単語の読みに使われますが、「しさく」が正しい読み方であり、「せさく」は正しい読みではないものの、広く使われることのある読み方、いわゆる慣用読みです。
と言われたところで、正しい読み方である「しさく」を使うべきなのか、慣用読みとされる「せさく」はどういう時に使われるのかなど、迷うことは多いですよね。今回はそういった疑問に答えられるよう、ていねいに説明していこうと思います。
「しさく」と「せさく」の使われ方の違い
「しさく」が正しい読み方で「せさく」は慣用読みであるという違いがあることは説明しましたが、両者はよく使われる場面にも違いがあります。そこで、ここからは「しさく」と「せさく」はそれぞれどのような場所で使われるかを説明しましょう。
NHKや一般的には「しさく」が使われる

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施策は「しさく」が正しい読み方であることは説明しましたが、こちらが正しい読み方だということもあり、NHKでも「しさく」読みをする方針がとられていますし、文化庁が過去にとったアンケートによると、一般人もこの「しさく」読みをする人の割合が多いことがわかっています。
しかし、そのNHKにおいてもアナウンサーが「せさく」と読んでしまい、視聴者から指摘をうけるという出来事がありました。このことからも、「しさく」と「せさく」の読みがいかに混同しやすいかがうかがえますね。
「せさく」読みはどこで使われ、なぜ生まれた?
一方の「せさく」読みは、役所や自治体の窓口など、行政で使われる読み方です。しかし、そもそもなぜ施策を「せさく」と読むようになったのでしょうか?
いつからどのような理由で「せさく」という読みが生まれたのか、はっきりした理由は定かではありませんが、一説によると、「しさく」という読みの単語は他に、「試しに作ってみる」という意味の「試作」や、「いろいろと考えをめぐらせる」という意味の「思索」という言葉などがあるため、話をする上でそれらの言葉との混同をふせぐために「せさく」という読みをするようになったのではないかという考えがあります。

言葉は文字や文章として書かれるだけでなく、話す時にも当然使われるから、音だけで何と言う言葉を話しているのか判別できるというのも重要だな。
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