この記事では「関心」と「感心」の違いについてみていきます。どちらも「かんしん」と読み、使われる場面も似ているだけに、これらの言葉は使い分けに迷う人もいて当然でしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

関心と感心のざっくりした違い

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まずは関心と感心のおおまかな違いについて説明しましょう。関心と感心の違いとは、「関心」ある物事に対して気になったり、興味がある時に使う言葉なのに対し、「感心」ある物事に感動したり、心を動かされたりした時に使う言葉だという点です。まだ、はっきりとした違いがわかりにくい方もいるかと思いますので、今回はそれをていねいに説明していきましょう。

関心と感心を漢字から解説

「関心」「感心」はどちらも「かんしん」と読みますが、漢字ではそれぞれ違う字が使われていますね。そこで、ここからはそれぞれに使われている漢字の成り立ちや意味に着目して説明していきたいと思います。

「関」は門を閉じている様子

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まずは「関」という漢字について説明しましょう。「関」は門がまえの漢字ですが、昔は門を閉じるときには「かんぬき」という横木を使うことで右と左の二つの門をつなぎ止めました。「関」の字の中にある「关」は、その「かんぬき」が左右の門をつないでいる様子を表す字が変形してできた形です。

そこから、左右の門をつなぐ、つまり左右の門を関わらせるということで、「関」という字は「かかわる」という意味や読みをする漢字として使われるようになりました。ですので、「関心」ある物事に関わりたいと思う心ということで、気になったり、興味があることを意味する言葉なのです。

「感」は刺激を受けて心が動く様子

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つぎは「感」の字について説明しましょう。「感」という字の上の部分にある「咸」は、「まさかり」という斧の一種と、「口」の形が元となっているもので、まさかりで脅して口を閉じさせる様子が成り立ちじゃないかという物騒な説や、あるいは、「口」は神様への祈りの紙を入れる器を表し、その「すべて」を「まさかり」で守る様子から、「すべて」という意味ではないかという説などがあります。

そして、その下に「心」がついたことで、「感」という字は、「口を開けられないほど心をうたれたり、動かされたりする」ことや、あるいは「心のすべてが動いたり、反応すること」という意味ではないかなどと考えられているのです。このように「感」の字自体が「心をうたれたり、動かされる」という意味を持っているので、「感心」という言葉は、ある物事に感動したり、心を動かされたりすることを意味します。

\次のページで「関心と感心の使い分け方」を解説!/

関心と感心の使い分け方

「関心」「感心」では、興味を持ったか、心を動かされたかという意味の上の違いだけでなく、その使い方にも違いがあります。そこで、ここからは使い方の違いについて、例文を交えながら見ていきましょう。

「関心」は持ったり抱いたりするもの

「関心」という言葉を使うときには、「~がある」という形や、後ろに「持つ」や「抱(いだ)く」といった言葉を伴う形で使われます。具体的な例文を次にあげましょう。

・私は環境問題に関心があります
・最近は、昔よりも野球に関心を持つ子供は減ったと言われる。
・修学旅行に行ってから寺社や仏閣に関心を抱くようになった。

このように「関心」「~がある」という形や、後ろに「持つ」「抱く」などをともなう形で使われ、「関心する」のような、直後に「~する」をつけた形で使われることはありません。

「感心」はそのまま「する」もの

一方の「感心」はそのまま「~する」を付けたり、何かを褒めたりするときには「~だ」や「~な〇〇」という形で使われます。こちらも具体的な例文を紹介しましょう。

・彼はあまりにも絵を上手く描くので人々が感心するのも無理はない。
・それだけ弟の世話を見るなんて君は感心だ。
・働いて家計を助けるなんて感心な少年だ。

\次のページで「関心は興味、感心は感動!」を解説!/

このように「感心」直後に「~する」や「~だ」、「~な〇〇」などを付ける形で使われ、「関心」のように、「~がある」という形や、後ろに「持つ」「抱く」などをともなったりして使われることはありません。

関心:「~がある」「~を持つ」「~を抱く」などの形
感心:「~する」「~だ」「~な〇〇」などの形

関心は興味、感心は感動!

今回の説明で、「関心」はある物事に関わりたいと思う心ということから、気にかかったり興味があることを意味し、「感心」は、ある物事に感動し、心を動かされたりすることを意味するということをわかっていただけたかと思います。

どちらも読みが同じな上に、心の動きをあらわす言葉なのでついつい混同してしまいがちですが、文章の中での基本的な使い分け方までしっかり理解して覚えていただければ幸いです。

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雑学

簡単でわかりやすい!関心と感心の違いとは?漢字の意味から例文まで現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「関心」と「感心」の違いについてみていきます。どちらも「かんしん」と読み、使われる場面も似ているだけに、これらの言葉は使い分けに迷う人もいて当然でしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

関心と感心のざっくりした違い

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まずは関心と感心のおおまかな違いについて説明しましょう。関心と感心の違いとは、「関心」ある物事に対して気になったり、興味がある時に使う言葉なのに対し、「感心」ある物事に感動したり、心を動かされたりした時に使う言葉だという点です。まだ、はっきりとした違いがわかりにくい方もいるかと思いますので、今回はそれをていねいに説明していきましょう。

関心と感心を漢字から解説

「関心」「感心」はどちらも「かんしん」と読みますが、漢字ではそれぞれ違う字が使われていますね。そこで、ここからはそれぞれに使われている漢字の成り立ちや意味に着目して説明していきたいと思います。

「関」は門を閉じている様子

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まずは「関」という漢字について説明しましょう。「関」は門がまえの漢字ですが、昔は門を閉じるときには「かんぬき」という横木を使うことで右と左の二つの門をつなぎ止めました。「関」の字の中にある「关」は、その「かんぬき」が左右の門をつないでいる様子を表す字が変形してできた形です。

そこから、左右の門をつなぐ、つまり左右の門を関わらせるということで、「関」という字は「かかわる」という意味や読みをする漢字として使われるようになりました。ですので、「関心」ある物事に関わりたいと思う心ということで、気になったり、興味があることを意味する言葉なのです。

「感」は刺激を受けて心が動く様子

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つぎは「感」の字について説明しましょう。「感」という字の上の部分にある「咸」は、「まさかり」という斧の一種と、「口」の形が元となっているもので、まさかりで脅して口を閉じさせる様子が成り立ちじゃないかという物騒な説や、あるいは、「口」は神様への祈りの紙を入れる器を表し、その「すべて」を「まさかり」で守る様子から、「すべて」という意味ではないかという説などがあります。

そして、その下に「心」がついたことで、「感」という字は、「口を開けられないほど心をうたれたり、動かされたりする」ことや、あるいは「心のすべてが動いたり、反応すること」という意味ではないかなどと考えられているのです。このように「感」の字自体が「心をうたれたり、動かされる」という意味を持っているので、「感心」という言葉は、ある物事に感動したり、心を動かされたりすることを意味します。

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