今回は「じゃじゃ麺」と「ジャージャー麺」の違いを見ていきます。似たような名前だから同じものだと思っているやつもいるでしょうが、この2つは全くの別物です。発祥の国も違えば味付けも違う。じゃじゃ麺は日本、ジャージャー麺は中国と韓国をまたにかけるメニューで、それぞれの国で独自のアレンジが加えられているんです。この先は外食好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説いていきます。

ライター/スズキアユミ

外食が大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

じゃじゃ麺とジャージャー麺の違いは4つ

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じゃじゃ麺とジャージャー麺は名前が似ているので混同されることもありますが、実は別の食べ物です。その違いは大きく分けて下の4つ。麺に肉味噌を乗せたメニューという共通点はあるものの、じゃじゃ麺は日本生まれ、ジャージャー麺は中国生まれ。そこから派生して韓国式のジャージャー麺も存在します。それぞれの違いを詳しく確認していきましょう。

・違い1.発祥
・違い2.麺の種類
・違い3.肉味噌とトッピング
・違い4.食べ方

違い1.発祥

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1つ目の違いは発祥です。先ほどもご紹介した通り、じゃじゃ麺は日本で生まれ、ジャージャー麺は中国で生まれました。正確に言えば、中国生まれのジャージャー麺がもととなり、別の姿に変わったのが日本のじゃじゃ麺、韓国風にアレンジされたのが韓国のジャージャー麺です。

日本のじゃじゃ麺

日本のじゃじゃ麺は岩手県の盛岡市で生まれ、郷土料理として親しまれています。じゃじゃ麺の提供店として有名な「白龍(パイロン)」の初代主人・高階貫勝(たかしなかんしょう)が考案したもので、戦前に旧満州で食べたジャージャー麺を帰国後に再現をしたメニューがじゃじゃ麺として愛されるようになりました。

再現にあたっては日本で用意できる材料を使用し、盛岡の人々の舌に受け入れられる味を求める日々。その結果、独自にアレンジされた新しい味わいが完成しました。

\次のページで「中国のジャージャー麺」を解説!/

中国のジャージャー麺

中国のジャージャー麺は「炸醤麺」と書き、ジャージャンミェンと呼ばれる歴史あるメニューです。由来ははっきりと分かっていませんが、西暦1368年~1644年に存在した明(みん)王朝の終盤に生まれたといわれています。

大干ばつをきっかけにして王朝に対する反乱が起こり、反乱軍の軍事行動の中で開発された汁なしの麺がジャージャー麺の原型でした。中国で麺といえばスープと一緒に煮るものでしたが、それでは戦場で不便。そこでまず考案されたのが、あらかじめ茹でられた汁なし麺です。その後、日持ちがするよう塩を効かせて作った肉味噌をかけて食べるようになりました。

韓国のジャージャー麺

韓国のジャージャー麺は「チャジャンミョン」と発音され、中国のジャージャー麺から派生したもの。ソウルの西部に位置する仁川(インチョン)が1883年に開港した際、中国の山東省から渡来した華僑たちによって伝えられたのが最初といわれています。1945年以降には韓国の調味料が使われるようになり、韓国独自の味わいに変化しました。

違い2.麺の種類

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2つ目の違いは麺の種類。じゃじゃ麺とジャージャー麺で使用する麺は明確な違いがあります。結論からお話しすると、じゃじゃ麺はうどん、ジャージャー麺は中華そばを使用するのが一般的。この違いが見た目や味わいの違いにもつながっています。

日本のじゃじゃ麺

日本のじゃじゃ麺に使われるのは、平打ちのうどんや太めのうどんです。コシがあるというよりも、もちもちして柔らかい食感。上に乗せる肉味噌や薬味の味わいを邪魔することなく、一体感を感じられるような優しい味わいの麺です。

中国・韓国のジャージャー麺

中国・韓国のジャージャー麺には、いわゆる中華そばが使われます。多種多様の麺がある中、ジャージャー麺には切麺(チャーミエン)を選ぶのが定番。切麺はその名の通り切った麺のこと。伸ばした生地を折り畳み、包丁で細く切ったものを指します。「かんすい」が入った黄色の麺ではなく、小麦粉を主体にして作られた白い麺であることも特徴。切っているので多少の幅があり、細いうどんのように見える場合もあります。

\次のページで「違い3.肉味噌とトッピング」を解説!/

違い3.肉味噌とトッピング

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3つ目の違いは肉味噌とトッピングです。じゃじゃ麺、ジャージャー麺ともに肉味噌とトッピングが乗っており、一部の材料は共通しているものの、その他の材料や味付けは全くの別物。それが見た目の違いにもつながっています。肉味噌とトッピングに分けてそれぞれ解説していきましょう。

日本のじゃじゃ麺

日本のじゃじゃ麺の肉味噌は、味噌やひき肉、ごま、しいたけ、そのほか企業秘密の材料を何種類も混ぜで作られます。そのため色は黒に近い茶色。ごまの風味をしっかりと感じる香ばしくて風味豊かな肉味噌です。トッピングは千切りのキュウリとおろし生姜、厚い紅生姜が一般的で、お店によっては刻んだ白ネギが乗っていることもあります。

中国のジャージャー麺

中国のジャージャー麺は、豚ひき肉か細かく切った豚肉を甜面醤(テンメンジャン)や豆味噌で炒めて作られます。2010年ごろまでは塩味の肉味噌が主流でしたが、それ以降は甘みのある味付けも増えてきました。トッピングは千切りのキュウリやネギが多く、北京ではこのほかに大豆を乗せることもあります。

韓国のジャージャー麺

韓国のジャージャー麺の肉味噌は甘く、中国の塩味の肉味噌とも、日本の中華料理店で提供される甘辛い肉味噌とも異なります。それは甜面醤の代わりに春醤(チュンジャン)と呼ばれる韓国の調味料が使われているから。春醤にはキャラメルが入っており、辛みはなく非常に甘いのが特徴です。色合いは真っ黒で、インパクトのある見た目になっています。

肉味噌の具材はひき肉と玉ねぎがメイン。お店によってはキャベツやニンジン、ジャガイモ、キクラゲなどを使用することもあります。トッピングはキュウリが多く、別皿の付け合わせとしてタマネギやたくあんが提供されることも。

\次のページで「違い4.食べ方」を解説!/

違い4.食べ方

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4つ目の違いは食べ方です。じゃじゃ麺もジャージャー麺も、麺・肉味噌・トッピングをよく混ぜて食べるのが共通事項。ただし、じゃじゃ麺だけに特徴的な食べ方が存在します。じゃじゃ麺を提供するお店では、テーブルにラー油やニンニク、酢、胡椒などが常備されており、お好みに応じて混ぜながら食べるのが正しい食べ方。また、最後の数口を残した状態で楽しむのが「チータンタン」と呼ばれるスープです。

近くに置いてあるたまごを自分で割り入れてから店員さんに依頼すると、熱々のゆで汁と肉味噌、ネギを入れてくれます。それを混ぜて、肉味噌味のたまごスープのようにして味わうのがチータンタンです。卓上の調味料で自分好みに味を調えてからいただきます。

じゃじゃ麺とジャージャー麺を食べ比べてみよう

名前が似ているせいで混同されがちなじゃじゃ麺とジャージャー麺。一度でも食べて違いを知れば、それぞれ全く別の、魅力あふれる麺料理だということに気づくでしょう。まずはお近くの中華料理店で、日本風にアレンジされたジャージャー麺を食べてみてください。それから本格的な中国料理を確認したり、盛岡市に旅行した際にはじゃじゃ麺をチェックしたりして、それぞれの味の違いを感じて楽しんでくださいね。

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雑学食べ物・飲み物

簡単でわかりやすい!じゃじゃ麺とジャージャー麺の違いは4つ?発祥から食べ方まで外食好きライターが詳しく解説

今回は「じゃじゃ麺」と「ジャージャー麺」の違いを見ていきます。似たような名前だから同じものだと思っているやつもいるでしょうが、この2つは全くの別物です。発祥の国も違えば味付けも違う。じゃじゃ麺は日本、ジャージャー麺は中国と韓国をまたにかけるメニューで、それぞれの国で独自のアレンジが加えられているんです。この先は外食好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説いていきます。

ライター/スズキアユミ

外食が大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

じゃじゃ麺とジャージャー麺の違いは4つ

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じゃじゃ麺とジャージャー麺は名前が似ているので混同されることもありますが、実は別の食べ物です。その違いは大きく分けて下の4つ。麺に肉味噌を乗せたメニューという共通点はあるものの、じゃじゃ麺は日本生まれ、ジャージャー麺は中国生まれ。そこから派生して韓国式のジャージャー麺も存在します。それぞれの違いを詳しく確認していきましょう。

・違い1.発祥
・違い2.麺の種類
・違い3.肉味噌とトッピング
・違い4.食べ方

違い1.発祥

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1つ目の違いは発祥です。先ほどもご紹介した通り、じゃじゃ麺は日本で生まれ、ジャージャー麺は中国で生まれました。正確に言えば、中国生まれのジャージャー麺がもととなり、別の姿に変わったのが日本のじゃじゃ麺、韓国風にアレンジされたのが韓国のジャージャー麺です。

日本のじゃじゃ麺

日本のじゃじゃ麺は岩手県の盛岡市で生まれ、郷土料理として親しまれています。じゃじゃ麺の提供店として有名な「白龍(パイロン)」の初代主人・高階貫勝(たかしなかんしょう)が考案したもので、戦前に旧満州で食べたジャージャー麺を帰国後に再現をしたメニューがじゃじゃ麺として愛されるようになりました。

再現にあたっては日本で用意できる材料を使用し、盛岡の人々の舌に受け入れられる味を求める日々。その結果、独自にアレンジされた新しい味わいが完成しました。

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