簡単にわかる「質量」と「重量」の違い!単位や重力との関係も工学系院卒ライターがわかりやすく解説!
重量:重力によって変わる
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重量(または重さ)は物体が重力から受ける力の大きさを表し、質量に重力加速度を掛け合わせて求められます。ばねばかりをはじめ、それを利用した体重計やキッチンスケールなどは、この力を測定するものです。たとえば人が体重計に乗って示される値は、重力が人を引っ張る力の大きさとも言えます。英語でweightです。
重力が変われば、当然ですが重量も変わります。現在はあまり使われていませんが、力の単位kgf(キログラム重)を使って説明しましょう。
1kgfは質量1kgの物体が地球の重力から受ける力と定義されています。そのため、質量60kgの人が地球上で重量を測ると60kgfです。対して、重力が1/6の月面上では、重量は10kgfになります。
はかりが測るのは質量?重量?
「体重計は重量を測定しているのに、なぜ質量単位であるkgを使っているのか?」という疑問は当然出てくるでしょう。実際、体重計などの「はかり」が測定しているのが重量=力ならば、単位はkgではなく力の基本単位N(ニュートン)を使わなくてはなりません。
しかし地球上で測定している限り、質量と重量は比例関係にあり、特に前述のkgfを使えば質量と重量はほぼ同じ数値を示します。そのため、「はかり」は「物体に作用する重力を利用して、その物体の質量を測定する計量器」と国際的にも定義され、表示単位にkgやgを使っているのです。
同じ地球上でも重量が変わる!
同じ地球上でも場所によって重力の大きさや向きが異なり、たとえば赤道上の重力は、以下の理由で北極南極と比べ1%ほど減少します。
・地球の引力が小さい:地球は完全な球ではなく、両極側が少しつぶれた回転楕円体です。そのため地球の中心から地表までの距離は、両極と比べて赤道上の方が長く、結果的に引力が小さくなります。
・自転による遠心力が大きい:自転軸からの距離が遠くなるほど遠心力は大きくなり、赤道上で最大になります。一方、両極の遠心力はほぼ0です。
重力はほかにも標高や周囲の地形、地下の構造などにも影響を受け、たとえば地下に密度の高い鉱床などがあると重力が大きくなります。さらに同じ場所であっても、月や太陽の引力、地殻変動などによって時間的に変わるのです。
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