定性的や定量的という言葉を聞いたことがあるか。研究などでも使うが、会社などのビジネスでもよく使われる。定量的に考えろとか、定性的な分析などのように使う言葉です。ですが、それぞれの内容や違いについて理解しているか。上司などが使うことも多いから正しく理解していないと恥ずかしいぞ。そんな定性的や定量的の意味や違い、使い分けを、長年会社でこれらの言葉を使ってきたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

定性的?定量的?どう考えればよいの?

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会社やあるいは大学などで定性的や定量的という言葉を聞いたことがありますか。少し難しそうな言葉ですね。「定性的なデータ」や「定量的に考える」という使い方をします。この2つの違いはなんでしょうか。

ざっくり言えば、主観的で数値で考えにくいものが定性的、客観的に数値で捉えやすいのが定量的です。ビジネスの現場ではよく出てくる言葉なので、しっかりと理解できるように説明します。

定性的:ものごとの性質に注目する

世の中にはさまざまな研究テーマがありますよね。そのテーマによってどう研究するかは違います。あるテーマを研究するときにものごとの性質に着目したような研究が「定性的研究」です。また、そのためのデータを「定性データ」や「定性的なデータ」と呼びます。

例えば歴史的な事実などは数量ではなく性質に近いですよね。徳川家康が江戸で幕府を開いたという歴史的事実は定性的なデータになります。徳川家康が生まれてから幕府を開くまでの行動について研究するのは定性的研究です。

定量的:ものごとの数量に注目する

定性的研究の対となるものが「定量的研究」です。名前に量が入っている通り、ものごとの数量に着目したような研究になります。また、そのためのデータが「定量データ」や「定量的なデータ」です。

例えば歴史に関わることでも、古墳がどこにどのくらいの数があるかというものは定量的なデータ。古墳の数の地域ごとの数を調べて比較するようなものは定量的研究です。数で数えるというと数学など理系、性質といえば歴史や語学みたいな文系と考えるかもしれません。しかし、分野ではなく何に着目するかの違いになります。

定性的と定量的、具体的な違いを3ポイント解説

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違いをざっくり説明したところで、続いて両者の違いについて3つのポイントで説明します。その3つのポイントとはデータの種類と分析方法データの精度と信頼性データの解釈と活用法です。

\次のページで「ポイント1:データの種類と分析手法」を解説!/

ポイント1:データの種類と分析手法

ポイント1はデータの種類と分析手法です。定性的なデータは人の主観によるもので、数値化しにくいものになります。例えば味覚や喜怒哀楽など。一方、定量的なデータとは客観的な数値になっているようなものです。

数値になっている定量的なデータは例えば平均を出すといった統計など、扱いやすいのが特徴。一方、主観的で数値になっていない定性的なデータはひとつひとつ確認する必要があります。定性的と定量的では扱うデータが違うため、それを使って分析する方法も違ってくるのです。

ポイント2:データの精度と信頼性

ポイント2はデータの精度と信頼性です。難しそうですが、これもデータの種類の違いが関係しています。定性的なデータは人の主観によるものですから、判断基準も人それぞれです。同じ映画を見ても面白いと思う人もいれば、面白くないと思う人もいますよね。ある映画を同じ人数に点数をつけてもらっても、東京と大阪では結果が大きく違うかもしれません。

一方、定量的なデータは客観的な数値なので、個人で違うことはないですよね。例えば、気温が25度と言えば、誰でも同じ25度です。ただし、測定方法が間違っていれば意味がなくなってしまいます。このように定性的なデータは人によって違い、欲しいと思っている情報が得られないことも。そのため、一般的にデータの精度や信頼性は定性的データは低く、定量的データは高いとされています。

ポイント3:データの解釈と活用法

ポイント3はデータの解釈と活用法です。例えば、ある商品の評判をアンケートしたとします。アンケートは典型的な定性データです。ただ、そこから問題点や効果的だったことを分析するには、ひとつひとつの回答文を読んで理解する必要がありますよね。数が多ければ大変そうです。

一方、ある商品の月別の売上数という定量的なデータがあれば、それを見れば売上が伸びているのか減っているのかすぐ分かりますよね。これが定性的データは解釈が難しく、定量的データは簡単という理由です。解釈が難しいということは、それを活かすのも難しくなります。

どう使う?定性的と定量的の使い分け

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最後は定性的な考え方と定量的な考え方の使い分けについてです。会社などでは「定量的に考えろ」、「数字で考えろ」などと上司から言われることも。ということは常に定量的に考えるべきなのでしょうか。その回答を説明します。

定性的なアプローチがよい場合

定性的なデータは人の主観など、数値になりにくいものですよね。逆に言えば、そのようなものを扱うときには定性的な考え方がよいわけです。例えば、今年流行するファッションについて。定量的な考え方も可能かもしれませんが、人の考え方そのものを扱うので、数値で扱うのは難しいです。一般的には以下のようなものは定性的なアプローチが向いているとされます。

\次のページで「定量的なアプローチがよい場合」を解説!/

・先行研究などが乏しく、詳細が不明な対象を扱う研究
・一般化が困難な複雑な事象を対象とする研究
・対象の複雑性や詳細を明らかにするための研究

定量的なアプローチがよい場合

一方、データが数値になっておりその意味も明確な場合は、定量的なアプローチが向いています。統計学など昔から手法が確立しているため、一人の主観によらずに誰でも同じような結果が出やすいのも特徴です。

定性的な考え方ではどうしても個人の主観が入ってしまいます。そのため、判断基準が不明確になりがちなのも事実。そのため、ビジネスの現場では明確に判断できる定量的なアプローチが好まれます。それが「数字で考えろ」という言葉の意味です。

組み合わせた方がよい場合

定性的な考えと定量的な考えは対になるものです。では、どちらか一方だけを使っていればよいのでしょうか。答えは組み合わせた方がよいこともある、です。

ある商品の評判など、売上数やあるいはアンケートの点数などの数値で表しきれないものもありますよね。また分かりやすい数字の裏に、事実が隠れていることも。例えば、ある商品がずっと売れていたとしても、実は客はもう飽きているかもしれません。他によい商品が出れば、どっとそちらに動いてしまうかも。アンケートに「そのほかご意見、ご感想」といった欄を設け、情報を集めていればその兆候が見つかることもあります。数字はわかりやすいですが、必ずしもすべてを表してはいないわけです。

定性的と定量的、使い分けや組み合わせも重要

定性的と定量的な考え方の違いは何に注目するか。数字になりにくい個人の主観的なものは定性的なものです。一方、数値になっているものは定量的なものになります。数値になっている定量的なデータは扱いやすく、分析しやすいものです。表やグラフなど見せ方を工夫することで分かりやすくなります。そのため、ビジネスの現場では定量的な考え方が好まれます

しかし、これは定量的な考え方が定性的なものより優れているということではありません。ビジネスも人と人が関わるものなので、主観を無視することは不可能です。数字の裏には表に出にくいものが隠れていることも。それを明らかにするためには定性的な考え方も必要になります。

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ビジネス雑学

簡単でわかりやすい!定性的と定量的の違いとは?使い分けや組み合わせもプログラマーがわかりやすく解説

定性的や定量的という言葉を聞いたことがあるか。研究などでも使うが、会社などのビジネスでもよく使われる。定量的に考えろとか、定性的な分析などのように使う言葉です。ですが、それぞれの内容や違いについて理解しているか。上司などが使うことも多いから正しく理解していないと恥ずかしいぞ。そんな定性的や定量的の意味や違い、使い分けを、長年会社でこれらの言葉を使ってきたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

定性的?定量的?どう考えればよいの?

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会社やあるいは大学などで定性的や定量的という言葉を聞いたことがありますか。少し難しそうな言葉ですね。「定性的なデータ」や「定量的に考える」という使い方をします。この2つの違いはなんでしょうか。

ざっくり言えば、主観的で数値で考えにくいものが定性的、客観的に数値で捉えやすいのが定量的です。ビジネスの現場ではよく出てくる言葉なので、しっかりと理解できるように説明します。

定性的:ものごとの性質に注目する

世の中にはさまざまな研究テーマがありますよね。そのテーマによってどう研究するかは違います。あるテーマを研究するときにものごとの性質に着目したような研究が「定性的研究」です。また、そのためのデータを「定性データ」や「定性的なデータ」と呼びます。

例えば歴史的な事実などは数量ではなく性質に近いですよね。徳川家康が江戸で幕府を開いたという歴史的事実は定性的なデータになります。徳川家康が生まれてから幕府を開くまでの行動について研究するのは定性的研究です。

定量的:ものごとの数量に注目する

定性的研究の対となるものが「定量的研究」です。名前に量が入っている通り、ものごとの数量に着目したような研究になります。また、そのためのデータが「定量データ」や「定量的なデータ」です。

例えば歴史に関わることでも、古墳がどこにどのくらいの数があるかというものは定量的なデータ。古墳の数の地域ごとの数を調べて比較するようなものは定量的研究です。数で数えるというと数学など理系、性質といえば歴史や語学みたいな文系と考えるかもしれません。しかし、分野ではなく何に着目するかの違いになります。

定性的と定量的、具体的な違いを3ポイント解説

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違いをざっくり説明したところで、続いて両者の違いについて3つのポイントで説明します。その3つのポイントとはデータの種類と分析方法データの精度と信頼性データの解釈と活用法です。

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