この記事では指定難病と特定疾患の違いについてみていきます。「特定疾患」をネット検索すると、「特定疾病」と表示される。しかし、特定疾患=特定疾病ではない。特定疾病との違いも訪問看護の現場で学んだ看護師の近野チカと一緒に違いを解説します。

ライター/近野チカ

訪問看護では病状把握だけでなく、指定難病や特定疾病に該当するか否かの把握も大切だと経験した看護師Webライター。

指定難病と特定疾患の違いとは?

医療が発達した現代でも治療が困難な「難病」が存在します。難病は単に治りにくい病気のことではありません。難病と指定難病には違いがあり、特定疾患の定義とも異なる部分があります。

指定難病:難病のうち厚労大臣が指定するもの

厚生労働省本省庁舎(中央合同庁舎第5号館)
BlackRiver - 投稿者自身による著作物, CC 表示 3.0, リンクによる

難病は、2015年(平成27年)施行の難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)により「原因がわからない」「治療法が確立されていない」「長期の療養が必要」なもの、とされています。

この難病のうち、さらに「患者数が一定の基準(国の人口の0.1%程度)より少ない」「客観的な診断基準がある」という要件を満たし、患者の置かれている状況からみて、良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものとして、厚生科学審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定した疾患が指定難病です。2021年(令和3年)11月現在の指定難病は338あります。

特定疾患:特定疾患治療研究事業の対象

image by iStockphoto

特定疾患は、難病のうち国の指定する特定疾患治療研究事業の対象疾患です。特定疾患治療研究事業は特定疾患に関する医療の確立・普及を図るとともに患者さんの医療費の負担軽減を図ることを目的として行われています。

56疾患が対象でしたが、難病法の施行に伴い、スモン、プリオン病のうちヒト由来乾燥硬膜移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病、難治性肝炎のうち、劇症肝炎、重症急性膵炎以外は指定難病に移行され、現在はこの4疾患のみです。

特定疾病との違いとは?

image by iStockphoto

特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病で、65歳以上の高齢者に多く発生しており、40歳以上65歳未満でも発生が認められるなど加齢との関係が認められ医学的に関係があること、3〜6ヶ月以上継続して要介護状態または要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病です。

特定疾病は介護保険施行令第2条で定められている次の16疾患が該当します。

1.がん
2.関節リウマチ
3.筋萎縮性側索硬化症
4.後縦靭帯骨化症
5.骨折を伴う骨粗鬆症
6.初老期における認知症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
8.脊髄小脳変性症
9.脊柱管狭窄症
10.早老症
11.多系統萎縮症
12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
13.脳血管疾患
14.閉塞性動脈硬化症
15.慢性閉塞性肺疾患
16.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

\次のページで「指定難病や特定疾患に該当するとどうなるの?」を解説!/

指定難病や特定疾患に該当するとどうなるの?

指定難病で、かつ要件を満たしたものが医療費助成の対象になります。特定疾患治療研究事業の特定疾患に該当する疾患も医療費助成対象です。

難病法制定前は特定疾患治療研究事業の対象疾患に医療費助成

国の難病対策が始まった当初、特定疾患治療研究事業の調査研究の対象としては、スモン、ベーチェット病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス 、再生不良性貧血、多発性硬化症、難治性肝炎が選ばれ、特に前述の4疾患が医療費助成の対象になりました。

難病法施行後の現在では、スモン、難治性肝炎のうち、劇症肝炎、重症急性膵炎、プリオン病(ヒト由来乾燥硬膜移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病に限る)の4つのみ、特定疾患治療研究事業の特定疾患として医療費助成が行われています。

制定後は指定難病で要件を満たすものも医療費助成対象

指定難病というだけでなく、「指定難病にかかっており、その病状の程度が厚生労働大臣が定める程度であること」と「指定難病にかかっているが、その病状の程度が厚生労働大臣が定める程度ではない者で、申請月以前の12ヶ月以内にその治療に要した医療費総額が33,330円を超える月が3月以上あること」の両方を満たすと医療費助成の対象になります。

治療に要した費用は、患者さんの所得に応じて一部自己負担です。

\次のページで「特定疾患事業=特定疾患、難病法=指定難病」を解説!/

特定疾患事業=特定疾患、難病法=指定難病

難病法施行前、国難病対策は特定疾患治療研究事業としてスタートし、スモン、ベーチェット病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス 、再生不良性貧血、多発性硬化症、難治性肝炎が特定疾患に選ばれ、前述の4疾患は医療費助成の対象となりました。

難病法施行後は、難病法にもとづき指定される難病が指定難病です。指定難病のうち、要件を満たすものが医療費助成の対象となります。特定疾患治療研究事業による医療費助成はスモン、難治性の肝炎のうち、重症急性膵炎、プリオン病(ヒト由来乾燥硬膜移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病に限る)の4疾患のみが対象です。

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雑学

簡単でわかりやすい!指定難病と特定疾患の違いとは?特定疾病との違いも看護師が詳しく解説

この記事では指定難病と特定疾患の違いについてみていきます。「特定疾患」をネット検索すると、「特定疾病」と表示される。しかし、特定疾患=特定疾病ではない。特定疾病との違いも訪問看護の現場で学んだ看護師の近野チカと一緒に違いを解説します。

ライター/近野チカ

訪問看護では病状把握だけでなく、指定難病や特定疾病に該当するか否かの把握も大切だと経験した看護師Webライター。

指定難病と特定疾患の違いとは?

医療が発達した現代でも治療が困難な「難病」が存在します。難病は単に治りにくい病気のことではありません。難病と指定難病には違いがあり、特定疾患の定義とも異なる部分があります。

指定難病:難病のうち厚労大臣が指定するもの

厚生労働省本省庁舎(中央合同庁舎第5号館)
BlackRiver – 投稿者自身による著作物, CC 表示 3.0, リンクによる

難病は、2015年(平成27年)施行の難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)により「原因がわからない」「治療法が確立されていない」「長期の療養が必要」なもの、とされています。

この難病のうち、さらに「患者数が一定の基準(国の人口の0.1%程度)より少ない」「客観的な診断基準がある」という要件を満たし、患者の置かれている状況からみて、良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものとして、厚生科学審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定した疾患が指定難病です。2021年(令和3年)11月現在の指定難病は338あります。

特定疾患:特定疾患治療研究事業の対象

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特定疾患は、難病のうち国の指定する特定疾患治療研究事業の対象疾患です。特定疾患治療研究事業は特定疾患に関する医療の確立・普及を図るとともに患者さんの医療費の負担軽減を図ることを目的として行われています。

56疾患が対象でしたが、難病法の施行に伴い、スモン、プリオン病のうちヒト由来乾燥硬膜移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病、難治性肝炎のうち、劇症肝炎、重症急性膵炎以外は指定難病に移行され、現在はこの4疾患のみです。

特定疾病との違いとは?

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特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病で、65歳以上の高齢者に多く発生しており、40歳以上65歳未満でも発生が認められるなど加齢との関係が認められ医学的に関係があること、3〜6ヶ月以上継続して要介護状態または要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病です。

特定疾病は介護保険施行令第2条で定められている次の16疾患が該当します。

1.がん
2.関節リウマチ
3.筋萎縮性側索硬化症
4.後縦靭帯骨化症
5.骨折を伴う骨粗鬆症
6.初老期における認知症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
8.脊髄小脳変性症
9.脊柱管狭窄症
10.早老症
11.多系統萎縮症
12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
13.脳血管疾患
14.閉塞性動脈硬化症
15.慢性閉塞性肺疾患
16.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

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