この記事では乳児と幼児の違いについてみていきます。どちらも小さい子どものことを示した言葉だというイメージがあるよな。ところが日本の法律上、年齢で明確な違いが見られる。今回はそんな子どもを表現した言葉の定義を確認しながら、類似の言葉とともに社会福祉士の資格を持つライターれおな=007と一緒に解説していきます。
れおな=007

ライター/れおな=007

会社員生活の傍ら執筆活動を続けるWEBライターで、前職は児童指導員として発達障がいを持つ子どもたちと関わっていた。大学時代は児童福祉のゼミに所属しており、社会福祉士の国家資格も取得済み。

乳児と幼児のざっくりとした違いは?

子どもを表す言葉である乳児と幼児には、どのような違いがあるのでしょうか。本項ではそれぞれの言葉が示す対象について、ざっくりと比較していきます。

乳児:出生から1年以内の赤ちゃん

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乳児とは生後1年に満たない赤ちゃんを示した言葉です。読んで字の如く母乳やミルクで栄養を摂っており、離乳食は生後5、6ヶ月ごろから食べ始めさせるのが良いとされています。乳児期の終わりごろでも本格的に歩ける子は少なく、つかまり立ちをするくらいが多数派の発達段階です。

幼児:1歳から小学校就学前の子ども

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幼児とは満1歳から小学校に入学する前の子どもを示した言葉で、未就学児と呼ばれることもあります。満1歳の頃は自分の名前に反応する頃ですが、6歳児になると集団生活で自分のことはある程度自分でできるでしょう。月齢による成長の差も大きいですが、同じ月齢でもまだまだ成長には個人差が見られます。

乳児や幼児の定義や根拠法とは?

乳児と幼児という言葉には、日本の法律では明確な定義があります。本項では両者の定義及びその根拠法について比較していきましょう。

乳児:満一歳に満たない者

日本の法律において乳児の定義は「満一歳に満たない者」で、児童福祉法や母子保健法などでは統一して使われています。そのため生まれてから1歳の誕生日を迎えるまでが、乳児と呼ばれる期間です。

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第二節 定義
第四条 この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。
一 乳児 満一歳に満たない者
二 幼児 満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者

(参照:児童福祉法 | e-Gov法令検索)

幼児:満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者

幼児の定義は「満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者」で、こちらも児童福祉法や母子保健法などで統一されている言葉です。学校教育法において小学校には満6歳を過ぎて最初に迎える4月1日以降に入学できるとされており、その条件を満たしていない子どもが幼児と呼ばれます。

第十七条 保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。

(中略)

第三十六条 学齢に達しない子は、小学校に入学させることができない。

(参照:学校教育法 | e-Gov法令検索)

乳児や幼児の別の言い方は?

乳児や幼児という言葉は、別の言葉で示されることが多いです。本項では両者とほとんど同じ意味で使われる言葉を紹介し、意味を詳しく解説していきます。

乳児:赤ちゃん・嬰児

乳児はときに、赤ちゃんや嬰児(みどりご)と呼ばれることがあるでしょう。よく使われる赤ちゃんという表現は、幼児以降に比べて皮膚が赤く見えるのが由来と言われています。嬰児は飛鳥時代から使われている乳児を示す言葉で、現代では文語的表現として使われがちです。ただし嬰児は赤ちゃんだけではなく、3歳までの子どもというケースもあります。

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幼児:未就学児

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幼児は場合によって、未就学児と呼ばれることがあります。未就学つまり小学校にまだ通っていないことを示し、教育現場などで使われる傾向があるでしょう。特に5歳から6歳の子ども向けの商品やコンテンツであることを強調したい時に、使われがちの表現です。

乳児や幼児に関連する言葉は?

ここまで乳児と幼児について比較してきましたが、子どもを意味する似たような言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。本項では両者に似た意味の言葉について触れ、定義の違いをみていきます。

新生児:生後28日未満の乳児

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新生児とは乳児の中でも生後28日未満の赤ちゃんを示した言葉です。原始反射をしたり頭の骨が開いていたりと、彼らはその後の乳児とは異なった身体的特徴を持っており1日のほとんどを寝て過ごします。中には胎児の期間が短かった早産児や低体重児も含まれ、より手厚いケアが必要です。

小児:出生から思春期まで

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小児とは医療の分野で使われる言葉で、生まれた時から思春期に入るまでの子どものことです。そのため新生児から小学生、あるいは中学生前後までが小児科の診察対象になるとされています。もちろん身体の成長や発達には個人差があるため、何歳以上は大人同様の内科で診察を受けるという厳密な決まりはありません。

児童:出生から18歳まで

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児童福祉法によると、出生から18歳の誕生日のあとで最初に迎える3月31日までの期間は児童として扱われます。子ども・子育て支援法など一部の法律では「子ども」と表現されていることがありますが、児童と同じ定義です。ただし法律によっては18歳未満が子どもと定義されていることもあり、児童福祉法とは若干のずれがあります。

乳児は1歳未満、幼児は満1歳から就学前と法律上定義づけられている

ここまで比較してきたとおり乳児は1歳未満の赤ちゃん、幼児は満1歳から小学校に入学する前の子どもを示しています。子どもを表す言葉は他にもありますが、国や自治体の制度を上手く利用するためにも定義はよく理解しておくのが重要です。またいずれにせよ子どもの発達段階には個人差がありますので、温かい目で見守りたいものですね。

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乳児と幼児の違いは年齢にあり!簡単な法律上の定義や類似の言葉についても社会福祉士ライターがわかりやすく解説

この記事では乳児と幼児の違いについてみていきます。どちらも小さい子どものことを示した言葉だというイメージがあるよな。ところが日本の法律上、年齢で明確な違いが見られる。今回はそんな子どもを表現した言葉の定義を確認しながら、類似の言葉とともに社会福祉士の資格を持つライターれおな=007と一緒に解説していきます。
れおな=007

ライター/れおな=007

会社員生活の傍ら執筆活動を続けるWEBライターで、前職は児童指導員として発達障がいを持つ子どもたちと関わっていた。大学時代は児童福祉のゼミに所属しており、社会福祉士の国家資格も取得済み。

乳児と幼児のざっくりとした違いは?

子どもを表す言葉である乳児と幼児には、どのような違いがあるのでしょうか。本項ではそれぞれの言葉が示す対象について、ざっくりと比較していきます。

乳児:出生から1年以内の赤ちゃん

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乳児とは生後1年に満たない赤ちゃんを示した言葉です。読んで字の如く母乳やミルクで栄養を摂っており、離乳食は生後5、6ヶ月ごろから食べ始めさせるのが良いとされています。乳児期の終わりごろでも本格的に歩ける子は少なく、つかまり立ちをするくらいが多数派の発達段階です。

幼児:1歳から小学校就学前の子ども

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幼児とは満1歳から小学校に入学する前の子どもを示した言葉で、未就学児と呼ばれることもあります。満1歳の頃は自分の名前に反応する頃ですが、6歳児になると集団生活で自分のことはある程度自分でできるでしょう。月齢による成長の差も大きいですが、同じ月齢でもまだまだ成長には個人差が見られます。

乳児や幼児の定義や根拠法とは?

乳児と幼児という言葉には、日本の法律では明確な定義があります。本項では両者の定義及びその根拠法について比較していきましょう。

乳児:満一歳に満たない者

日本の法律において乳児の定義は「満一歳に満たない者」で、児童福祉法や母子保健法などでは統一して使われています。そのため生まれてから1歳の誕生日を迎えるまでが、乳児と呼ばれる期間です。

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