この記事では「ひょう」と「あられ」の違いについてみていく。「ひょう」は動物の豹ではない、突如暗い空から降ってくる氷の塊です。「あられ」も米菓子ではない、やはり空から降ってくる、雪が粒化したようなもの。どちらも雪の一種というような認識でしょうが、何がどう違うのか。実は明確な基準があるんだ、今回はその基準と違いを端的に説明しよう。ほか「雨」はどうして降るのか、「雪」「みぞれ」の違いなども、積雪2メートルを経験したプチ雪国在住の語学系主婦ライター・小島ヨウと一緒に解説していく。

ライター/小島 ヨウ

ドイツ語学科卒、英語劇や市民劇団に所属した語学系おばさんライター。漢字や言葉の使い方に興味あり。わかりやすくをモットーに深ぼり解説する。

「ひょう」と「あられ」の違い

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「ひょう」や「あられ」は雲のなかで生まれます。小さな氷の粒が上昇気流と下降気流にもまれ、上下運動を繰り返すうちに雨や氷の粒が付着。巨大化すると上昇気流より落下速度が大きくなって、地上に落ちてくるのです。「ひょう」と「あられ」何がどう違うのか、みていきましょう。

「ひょう」:積乱雲で生まれる直径5ミリ以上の氷のかたまり

「ひょう(雹)」は直径5ミリ以上の氷のかたまりです。5ミリといえど落下速度は時速36キロ、50ミリではなんと時速100キロ超え!農作物を穴だらけにしたり、車や家の窓が破損したりする被害が出ます。

「ひょう」が降る時期、実は冬ではありません。最も多いのは5月、そして6~7月の初夏や10月冬の前です。上空に冷たい雲、地上に温かい空気があると、大気が不安定となり積乱雲が発達。氷の粒が巨大化する上下運動が大きくなり、「ひょう」になりやすいのです。

急に辺りが暗くなる、雷光、雷が鳴る、強い雨が降る、などが「ひょう」が降る前兆。落雷の危険性もあるので屋内に避難しましょう。

「あられ」:直径5ミリ未満の氷の粒

「あられ(霰)」は氷の粒が直径5ミリ未満のものをいい、雪霰(ゆきあられ)と氷霰(こおりあられ)の二つの種類があります。雪あられは雪とともに降ることが多く、白い球形で壊れやすいのが特徴です。氷あられは雪あられの周りに氷が付いて、透明または半透明で硬いもの。ひょうに成長する前の状態です。

「雨」「みぞれ」「雪」の違い

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そもそも「雲」とは何でしょう。太陽の光で温められた海や川の水は蒸発して水蒸気になります。また、空気は温まると軽くなる性質があるので上昇気流が発生。上空は気圧が低いので空気が膨張し、温度が低下します。すると空気中の水蒸気がちりとくっつき、小さな水てき「雲つぶ」に。雲つぶは気温が-20℃まで下がると氷の粒「氷晶(ひょうしょう)」になります。雲はこの「雲つぶ」と「氷晶」の集合体です。

雲から「雨」「みぞれ」「雪」が降ってきます。「雲つぶ」や「氷晶」がどう変化していくのか、チェックしていきましょう。

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「雨」はなぜ降る

「雲つぶ」や「氷晶」は半径0.001~0.01ミリととても小さなものですが、雲の中でぶつかって大きくなっていきます。大きくなると重くなり空に浮かんでいられず雲から落下する、これが「雨」です。雨粒の大きさは直径0.1ミリ以上、最大で8ミリ。地表は温かいので氷の粒である氷晶も溶けて、雨になってしまいます。

暑い夏は水蒸気が多くなり、大気が不安定となって積乱雲が発達しやすい季節です。都市部ではヒートアイランド現象や高層ビル群による風の変化もあり、いわゆる「ゲリラ豪雨」が起こりやすいといわれています。

「雪」は湿度と地表温度が重要

地表が温かいと雨になりますが、冬場。日本海側では2~3℃以下、太平洋側では2~1℃以下の場合、大きくなった氷晶が溶けずに落ちてきて「雪」になります。大きさは0.5ミリから1センチ、大きい雪片で3センチです。

雲にある小さな氷晶、そもそも六角形なのですよ。水の分子は角やはしっこにくっつく性質があるので、平たく横に広がって大きくなります。だから地表に舞い落ちてくる雪の結晶も六角形なのです。

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「みぞれ」は雨と雪の混合

「みぞれ(霙)」は上記の「雨」と「雪」が混ざって降る現象です。長時間降ることはありません。冬の初め、雪が降る前にみぞれが降っても「初雪」と表現されるように、気象情報では「雪」の扱いになります。ちなみに「氷雨(ひさめ)」はみぞれを指すこともありますが、辞書の意味はひょうやあられ、また冬場の冷たい雨です。

「氷」と「雪」の違い

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それでは「氷」と「雪」、何がどう違うのでしょう。難しいお題なので研究する「雪氷学」という学問体系があるのですよ。地球科学や災害科学などにも接点があり、さまざまな分野があります。ここでは簡単な違いのみを確認しますね。

「氷」:液体の水が凍ったもの

端的に言うと、液体の水が凍ったものが「氷」です。水や空気を通すことが出来ません。しかしながら、雲の中、氷晶が成長して「ひょう」や「あられ」の元になるものは「氷粒(こおりつぶ)」と呼ばれています。

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「雪」:水蒸気が凍った氷の結晶

雪は気体(水蒸気)がそのまま凍ったもの液体の過程がない「昇華」とよばれる現象で出来ています。水や空気が通り抜け、氷と比べて溶けにくい性質です。高山などの万年雪が「氷河」となり、海に浮かぶかたまりが「氷山」とよばれますが、「雪」が圧密され「氷」に変化するのは数百年から数千年かかるそうですよ。

毎年多発する自然災害に備えよう

この記事では「ひょう」と「あられ」の違いについて説明しました。どちらも雲の中で生まれ、直径5ミリ以下が「あられ」、5ミリ以上が「ひょう」となること、「ひょう」は季節の変わり目に降ることが分かりましたね。

「ひょう」はなかなか遭遇しない現象ではないでしょうか。一方で「あられ」はおなじみ、地面に降り落ちるパラパラと軽い音を聞くと冬本番を実感します。台風や豪雨、豪雪など毎年日本のどこかで起こる気象災害。情報の収集や日々の備えが重要ですね。

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簡単にわかる「ひょう」と「あられ」の違い!「雨」・「雪」・「みぞれ」との違いも語学系主婦ライターがわかりやすく解説

この記事では「ひょう」と「あられ」の違いについてみていく。「ひょう」は動物の豹ではない、突如暗い空から降ってくる氷の塊です。「あられ」も米菓子ではない、やはり空から降ってくる、雪が粒化したようなもの。どちらも雪の一種というような認識でしょうが、何がどう違うのか。実は明確な基準があるんだ、今回はその基準と違いを端的に説明しよう。ほか「雨」はどうして降るのか、「雪」「みぞれ」の違いなども、積雪2メートルを経験したプチ雪国在住の語学系主婦ライター・小島ヨウと一緒に解説していく。

ライター/小島 ヨウ

ドイツ語学科卒、英語劇や市民劇団に所属した語学系おばさんライター。漢字や言葉の使い方に興味あり。わかりやすくをモットーに深ぼり解説する。

「ひょう」と「あられ」の違い

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「ひょう」や「あられ」は雲のなかで生まれます。小さな氷の粒が上昇気流と下降気流にもまれ、上下運動を繰り返すうちに雨や氷の粒が付着。巨大化すると上昇気流より落下速度が大きくなって、地上に落ちてくるのです。「ひょう」と「あられ」何がどう違うのか、みていきましょう。

「ひょう」:積乱雲で生まれる直径5ミリ以上の氷のかたまり

「ひょう(雹)」は直径5ミリ以上の氷のかたまりです。5ミリといえど落下速度は時速36キロ、50ミリではなんと時速100キロ超え!農作物を穴だらけにしたり、車や家の窓が破損したりする被害が出ます。

「ひょう」が降る時期、実は冬ではありません。最も多いのは5月、そして6~7月の初夏や10月冬の前です。上空に冷たい雲、地上に温かい空気があると、大気が不安定となり積乱雲が発達。氷の粒が巨大化する上下運動が大きくなり、「ひょう」になりやすいのです。

急に辺りが暗くなる、雷光、雷が鳴る、強い雨が降る、などが「ひょう」が降る前兆。落雷の危険性もあるので屋内に避難しましょう。

「あられ」:直径5ミリ未満の氷の粒

「あられ(霰)」は氷の粒が直径5ミリ未満のものをいい、雪霰(ゆきあられ)と氷霰(こおりあられ)の二つの種類があります。雪あられは雪とともに降ることが多く、白い球形で壊れやすいのが特徴です。氷あられは雪あられの周りに氷が付いて、透明または半透明で硬いもの。ひょうに成長する前の状態です。

「雨」「みぞれ」「雪」の違い

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そもそも「雲」とは何でしょう。太陽の光で温められた海や川の水は蒸発して水蒸気になります。また、空気は温まると軽くなる性質があるので上昇気流が発生。上空は気圧が低いので空気が膨張し、温度が低下します。すると空気中の水蒸気がちりとくっつき、小さな水てき「雲つぶ」に。雲つぶは気温が-20℃まで下がると氷の粒「氷晶(ひょうしょう)」になります。雲はこの「雲つぶ」と「氷晶」の集合体です。

雲から「雨」「みぞれ」「雪」が降ってきます。「雲つぶ」や「氷晶」がどう変化していくのか、チェックしていきましょう。

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