あんみつに入っている四角い透明な寒天やサラダに使われている細い寒天。こりこりした独特な歯ごたえがあるな。寒天は食品を固めるために使われる、日本で生まれた食材です。棒寒天と粉寒天をよく見かけるが、それぞれ使い方や製造方法が違っているようです。今回は、寒天の特徴や糸寒天、ゼラチンとの違いもあわせて、雑学大好き図書館司書のひろみと一緒に解説していきます。

ライター/ひろみ

図書館司書として勤務18年目の主婦ライター。利用者から寄せられるさまざまな疑問に答えるため、日々尽力している。

棒寒天と粉寒天の違い1.製造方法

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お菓子づくりに使われるだけではなく、ダイエット食品としてもよく知られる寒天。スーパーでは棒寒天粉寒天が売られていますが、どちらにするか迷ったことはありませんか。同じ寒天ですが、この2つには形以外にもさまざまな違いがあるのです。まずは、原材料と製造方法の違いについてみていきましょう。

棒寒天:屋外で凍結・乾燥させる

細長い直方体の棒寒天は角寒天とも呼ばれ、冬に作られます原材料のテングサとオゴノリという海藻を、およそ85%と15%の割合で混ぜて作る植物性の食材です。

この海藻を乾燥・洗浄し、大きな釜で煮込んでのり状にしたものをろ過して、大きな四角い容器に入れて固めます。固まったら直方体に切り、屋外で天日干し。凍らせたり溶かしたりを繰り返して2週間かけて水分を抜いた後、さらに1週間ほど乾燥させれば棒寒天の完成です。棒寒天の主な生産地は長野県諏訪地方。棒寒天は、天然寒天とも言います。

粉寒天:工場で製造

さらさらした粉末状をしている粉寒天の主な原材料はオゴノリです。粉寒天は棒寒天と違い工場内で製造されるため、工場寒天とも言われます。

オゴノリを乾燥・洗浄した後、煮込んで固めたものに圧力をかけて水分を抜き乾燥させ、粉砕してできあがり。棒寒天と違って全工程を機械で行うため、乾燥に時間もかからず、一年をとおして世界中で大量生産されています。機械で処理するため、海藻の香りは弱くあっさりした味わいです。

棒寒天と粉寒天の違い2. 使い方

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製造方法が違う棒寒天と粉寒天は、使い方も違います。手順を間違えると固まらない、ということも。水にしっかり溶かしてから使うことがポイントです。ここでは上手な利用方法を説明します。

\次のページで「棒寒天:水に浸してもどしてちぎって使う」を解説!/

棒寒天:水に浸してもどしてちぎって使う

棒寒天を水に浸し軽く洗って水気を切ったあと、たっぷりの水に10-30分程度つけて戻します。寒天が柔らかくなったら、水分をしっかりしぼって小さくちぎり分量の水に入れ、かたまりがなくなり透明感がでるまで煮溶かしてください。容器に入れて固めます。

粉寒天:直接溶かして使う

工場で生産されているため品質が一定で、扱いやすいのが特徴の粉寒天。棒寒天と違って、もどすための下処理は必要ありません分量の水に適量の粉寒天を入れ、沸騰後は中火に。さらにかき混ぜて完全に溶けたら容器に移します。固まったら完成です。

寒天の特徴

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棒寒天と粉寒天の製造方法や使い方の違いについてみてきました。ここでは、寒天の歴史や栄養素などをくわしく説明していきます。特徴を知ることで、寒天がより身近な食材に感じられますよ。

1.歴史

寒天はところてんを凍らせて、乾燥させたものです。ところてんは中国から伝わり、奈良時代にはすでに食されていたという記録がありますが、寒天は江戸時代に日本で生まれました。発祥地は京都の伏見です。

冬のある日、宿屋の主人が、外に放置していた客の食べ残しのところてんが夜中に凍ったあと、日中の暖かさで溶けて乾燥していることに気づきます。その乾いたところてんを水で煮込んで冷ますと固まったため、客に出してみるとおいしいと評判になりました。これが寒天のはじまりと言われています。

2.固まるまでの時間

煮溶かして容器に入れた寒天は30-40度の温度で固まりはじめます常温なら1時間程度、冷蔵庫に入れた場合は30分程度が目安です。急ぐからと冷凍庫に入れるのは避けましょう。気泡が発生して食感が悪くなります。

また寒天は酸に弱いため注意が必要です。レモン汁やフルーツジュースを固めるときは、寒天と一緒に煮るのではなく、寒天が完全に溶けたのを確認して火を止めてから、加えるようにしてください。寒天には一度固まると溶けにくい性質があります

\次のページで「3.栄養素」を解説!/

3.栄養素

寒天は食物繊維を非常に多く含む食品で、ダイエットにもぴったりです。食物繊維は100g中79gも含まれ、おなかの調子を整える働きをしてくれます。カロリーもゼロ。無味無臭なのでお好みの味つけにしたり、普段の食事に取り入れたりすることが可能です。寒天でつくるゼリーは水分を多く含むため、食感を楽しみながらよくかんで食べることで満腹感を得られます。

寒天と同様、食品を固めるために使用されるものにゼラチンがあります。ゼラチンは動物性のたんぱく質でできていて、寒天よりも透明感があり柔らかくとろっとした舌ざわりです。寒天と違って常温では固まらないので冷蔵庫で冷やし固める必要があります。ゼラチンは常温で置いておくと溶けることがあるため、食べる直前に冷蔵庫から出すようにしましょう。

少量を使用するときは粉ゼラチン、大量に必要なときは板ゼラチンが便利です。寒天は和食に利用されることが多く、ゼラチンは洋食によく使われます。

寒天を使ってヘルシーなスイーツを作ろう

あんみつやようかんなど和のスイーツには欠かせない寒天。おいしいだけでなく、食物繊維が豊富でダイエットにも役立つ食材です。まずは煮溶かすだけで簡単に使える粉寒天を使って、ジュースや牛乳を固めてみませんか。つるんとしたなめらかな食感が癖になります。ジュースの種類を変えれば、いろいろな味を楽しめますよ。砂糖や小麦粉、バターなどを使わないためカロリーが低いのも嬉しいですね。

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簡単でわかりやすい!棒寒天と粉寒天の違いとは?寒天の特徴や上手な使い方も雑学大好き図書館司書が詳しく解説

あんみつに入っている四角い透明な寒天やサラダに使われている細い寒天。こりこりした独特な歯ごたえがあるな。寒天は食品を固めるために使われる、日本で生まれた食材です。棒寒天と粉寒天をよく見かけるが、それぞれ使い方や製造方法が違っているようです。今回は、寒天の特徴や糸寒天、ゼラチンとの違いもあわせて、雑学大好き図書館司書のひろみと一緒に解説していきます。

ライター/ひろみ

図書館司書として勤務18年目の主婦ライター。利用者から寄せられるさまざまな疑問に答えるため、日々尽力している。

棒寒天と粉寒天の違い1.製造方法

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お菓子づくりに使われるだけではなく、ダイエット食品としてもよく知られる寒天。スーパーでは棒寒天粉寒天が売られていますが、どちらにするか迷ったことはありませんか。同じ寒天ですが、この2つには形以外にもさまざまな違いがあるのです。まずは、原材料と製造方法の違いについてみていきましょう。

棒寒天:屋外で凍結・乾燥させる

細長い直方体の棒寒天は角寒天とも呼ばれ、冬に作られます原材料のテングサとオゴノリという海藻を、およそ85%と15%の割合で混ぜて作る植物性の食材です。

この海藻を乾燥・洗浄し、大きな釜で煮込んでのり状にしたものをろ過して、大きな四角い容器に入れて固めます。固まったら直方体に切り、屋外で天日干し。凍らせたり溶かしたりを繰り返して2週間かけて水分を抜いた後、さらに1週間ほど乾燥させれば棒寒天の完成です。棒寒天の主な生産地は長野県諏訪地方。棒寒天は、天然寒天とも言います。

粉寒天:工場で製造

さらさらした粉末状をしている粉寒天の主な原材料はオゴノリです。粉寒天は棒寒天と違い工場内で製造されるため、工場寒天とも言われます。

オゴノリを乾燥・洗浄した後、煮込んで固めたものに圧力をかけて水分を抜き乾燥させ、粉砕してできあがり。棒寒天と違って全工程を機械で行うため、乾燥に時間もかからず、一年をとおして世界中で大量生産されています。機械で処理するため、海藻の香りは弱くあっさりした味わいです。

棒寒天と粉寒天の違い2. 使い方

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製造方法が違う棒寒天と粉寒天は、使い方も違います。手順を間違えると固まらない、ということも。水にしっかり溶かしてから使うことがポイントです。ここでは上手な利用方法を説明します。

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