この記事では日本の伝統衣装である「着物」の、男女での違いについてみていきます。色や柄が違うだけかと思ったら、様々な違いがあるようです。着物のつくりや着付け方法から、羽織の歴史にも差がある。日本の伝統衣装について知っておくのもいいよな。男女での違いの理由についても合わせてみていこう。
今回は着物の男女による違いについて、会社員ライターのミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。着物が似合うと自負しており、興味もある。

男女の着物の4つの違い

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男女の着物は色や柄、帯が違うだけに見えますが、4つの違いがあります。

違い1.着物の長さ

着物の男女で大きく違うのが、着丈です。男性の着物は仕立ての段階でちょうどいい着丈サイズに仕上げる一方、女性のものは身長ほどの長さで作られます。その理由は、着物の歴史と生活習慣にあるようです。

江戸時代の少し前、平安時代の着物では、「壺折」という着方をすることがありました。壺折とは、旅や遠出の際に女性が裾をまくってひもでくくり、動きやすい格好になることです。江戸時代の始まり頃までは、男女ともに着丈に合わせて着物が仕立てられることがほとんでした。江戸時代初期では、上層階級の女性は長い裾を引きずって歩くこともありました。

江戸中期頃、女性の着物の丈は長いものに統一されるようになっていったようです。

\次のページで「違い2.袖や脇の切れ目の有無」を解説!/

違い2.袖や脇の切れ目の有無

男性の着物には袖や脇は縫い合わされた状態ですが、女性の物には脇や袖に切れ目があります。女性の着物は帯が太くきつめに着付けするため、湿気を逃しやすいようにするためです。脇の隙間を「身八つ口」袖の切れ目を「振り八つ口」といいます。

着物の袖の下の部分を「袂(たもと)」といい、男性の着物は縫い合わされて袋状になっていることから袖口から財布などの小物をしまうポケットのような存在です。女性の袖は切れ目があるため、袖口から荷物の出し入れはせず、袂の切れ目からものをしまいます。

違い3.着付けの仕方

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着付けの仕方の違うポイントは、「おはしょりの有無・帯・首の後ろの空間」の3つです。「おはしょり」とは、女性のみに見られる着付けの方法で、帯の下に着物の余分を折りこんだ部分のことを言います。

身長の長さで仕立てる女性の着物は、おはしょりを作ることで着丈に合わせて着付けするということです。おはしょりの必要ない男性の帯は細めで腰の位置に締めますが、女性は胸の下あたりで太めの帯をきつめに締めます

また、女性の場合は首の後ろに空間を持たせて着付けしますが、男性はぴったりの状態で空間は持たせません。空間を持たせることを「衣紋抜き」と言い色気が増しますが、髪型や着崩れを防ぐためとされています。

違い4.羽織の着方

着物の上から上着のように羽織を着ることがありますが、羽織の着方も男女で違います。もともと、羽織は男性だけが使用するものでした現在は女性も使用することもありますが、正装では着用しないのが一般的です。

また、男性は襟を立てたまま羽織を着ますが、女性は羽織の襟を折り曲げて着用します。そのため、女性用の羽織には、折り曲げやすいように「千鳥がけ」という縫い目が付いていることも。とはいえ、近年は折り曲げて使用しない方も増えており、あまり気にしなくてもいいようです。

男女兼用の着物はある?

長さや柄、色の違いから、男女で違う着物を着るのが一般的です。しかし、男女問わず着られる着物も近年増えています。この場合は、帯や装飾品だけ変えれば男女ともに着られるようです。細かい着付けにはこだわらず、純粋に着物を着てみたい・楽しみたいという方にはおすすめできます。

着物の合わせとは?

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着物の合わせとは、「右前」「左前」のことです。着物を着たときに左右の着物を体の真ん中で合わせる部分のことをいい、通常着物を着るときは「右前」にします。

「右前」「左前」の言葉は聞いたことある方が多いと思いますが、意味を知っていないと間違って着てしまうかもしれません。着付けした後の見た目のことではなく、着付けする段階で先に右を合わせるという意味です。右側を体の内側に着つけることで右手が入るような状態にする、と言われていたので私はこうして覚えました。

\次のページで「日本の伝統衣装について知ろう!」を解説!/

日本の伝統衣装について知ろう!

着物の男女での違いは、着物の長さ・切れ目・着付け方法・羽織にあることが分かりましたね。なかなか着物を着る機会も少ないですが、「右前」だけは忘れないでほしいポイントです。日本の伝統衣装について少しでも知って、着物の美しさや面白さが分かると楽しいですよ!

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雑学

3分でわかる着物の男女による違い!違いは色や柄ではなかった!会社員ライターが簡単にわかりやすく解説

違い2.袖や脇の切れ目の有無

男性の着物には袖や脇は縫い合わされた状態ですが、女性の物には脇や袖に切れ目があります。女性の着物は帯が太くきつめに着付けするため、湿気を逃しやすいようにするためです。脇の隙間を「身八つ口」袖の切れ目を「振り八つ口」といいます。

着物の袖の下の部分を「袂(たもと)」といい、男性の着物は縫い合わされて袋状になっていることから袖口から財布などの小物をしまうポケットのような存在です。女性の袖は切れ目があるため、袖口から荷物の出し入れはせず、袂の切れ目からものをしまいます。

違い3.着付けの仕方

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着付けの仕方の違うポイントは、「おはしょりの有無・帯・首の後ろの空間」の3つです。「おはしょり」とは、女性のみに見られる着付けの方法で、帯の下に着物の余分を折りこんだ部分のことを言います。

身長の長さで仕立てる女性の着物は、おはしょりを作ることで着丈に合わせて着付けするということです。おはしょりの必要ない男性の帯は細めで腰の位置に締めますが、女性は胸の下あたりで太めの帯をきつめに締めます

また、女性の場合は首の後ろに空間を持たせて着付けしますが、男性はぴったりの状態で空間は持たせません。空間を持たせることを「衣紋抜き」と言い色気が増しますが、髪型や着崩れを防ぐためとされています。

違い4.羽織の着方

着物の上から上着のように羽織を着ることがありますが、羽織の着方も男女で違います。もともと、羽織は男性だけが使用するものでした現在は女性も使用することもありますが、正装では着用しないのが一般的です。

また、男性は襟を立てたまま羽織を着ますが、女性は羽織の襟を折り曲げて着用します。そのため、女性用の羽織には、折り曲げやすいように「千鳥がけ」という縫い目が付いていることも。とはいえ、近年は折り曲げて使用しない方も増えており、あまり気にしなくてもいいようです。

男女兼用の着物はある?

長さや柄、色の違いから、男女で違う着物を着るのが一般的です。しかし、男女問わず着られる着物も近年増えています。この場合は、帯や装飾品だけ変えれば男女ともに着られるようです。細かい着付けにはこだわらず、純粋に着物を着てみたい・楽しみたいという方にはおすすめできます。

着物の合わせとは?

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着物の合わせとは、「右前」「左前」のことです。着物を着たときに左右の着物を体の真ん中で合わせる部分のことをいい、通常着物を着るときは「右前」にします。

「右前」「左前」の言葉は聞いたことある方が多いと思いますが、意味を知っていないと間違って着てしまうかもしれません。着付けした後の見た目のことではなく、着付けする段階で先に右を合わせるという意味です。右側を体の内側に着つけることで右手が入るような状態にする、と言われていたので私はこうして覚えました。

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