
野ぶどう:薬用、飲用、園芸用として使われる
「野ぶどう」は秋にぶどうのような赤紫色、紫色の実をつけます。本来は白色の実なのですが、ブドウタマバエという虫が寄生することで色が変わる寄生果です。「野ぶどう」は酸味が強すぎて美味しくなく、食用とはされません。
しかし肝臓などの臓器や抗菌・抗炎症効果があるため、古くから薬用として用いられてきました。食用ではないものの、お酒に漬け込んだり葉を乾燥させてお茶にするなどして飲用にされることもあります。またガーデニングで育てるための園芸植物としても人気です。
山ぶどう:加工食品が人気
「山ぶどう」は蝦蔓(えびづる)や蒲葛(えびかづら)という名前で古来より親しまれてきました。古事記に記載されている蒲葛はこの「山ぶどう」を指しているという説が有力。甘酸っぱくそのままでも食べられる食用種ですが、酸味と渋みが強めなので加工食品・飲料にされるのが主流です。
野ぶどうと山ぶどうを使った商品例

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「野ぶどう」と「山ぶどう」は食用とされるかどうかという違いはあるものの、どちらも人間にとっては有益な植物であることがおわかりいただけたと思います。ここで気になるのは、具体的にどのような使い方をしているのかですよね。ここでは「野ぶどう」と「山ぶどう」を使った商品例をあげていきます。
野ぶどう:効能に注目した商品が多い
「野ぶどう」は味自体が優れているわけではないため、特に肝臓への効能に注目した商品が多く開発されています。具体的には「野ぶどう」のエキスを凝縮したカプセルタイプの薬品や、葉の部分を粉末にしたお茶、焼酎などに漬け込めるよう乾燥させた果実などです。
また野原に自生するという生態から家庭でも栽培しやすいため、ホームセンターなどで苗木がプランターごと売られていることもあります。自分で育てた「野ぶどう」でお酒を作る家庭もあるんです。
山ぶどう:ドライフルーツからワインまで幅広く
「山ぶどう」はそのままでも食べられますが、酸味と渋みがあるためドライフルーツにされることが多いです。またシロップ漬けにしたり、ジャムなどにして甘味を強くする加工食品もたくさんあります。甘酸っぱさは清涼飲料水にも向いており、「山ぶどう」ジュースやソーダなどはお子さんでも飲みやすい味ですよ。
近年急成長しているのが「山ぶどう」を使ったワインです。「山ぶどう」単体を発酵させたものや、「山ぶどう」と一般的なぶどうのワインをブレンドしたものも流通しています。「山ぶどう」とぶどうが近縁種なこともあって、両者を交配させた新品種で作られるワインも増えており、ワインは非常に将来性のある商品とも言えるんです。
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野ぶどうは食用に適さない、山ぶどうは食用
ここまで「野ぶどう」と「山ぶどう」の違い、両者の特徴、そして「野ぶどう」と「山ぶどう」を使った具体的な商品例を紹介してきました。なんとなく謎の植物だったイメージが、だいぶ明確になったのではないでしょうか。
筆者は「山ぶどう」の味わいが大好きで、ジュースはもちろんワインなどもたびたび楽しんできました。しかし「野ぶどう」でもお酒やお茶が楽しめると知り興味がわいてきました。日本古来から大切にされてきた植物なので、ぜひいろいろな楽しみ方を知りたいですね。