この記事ではそうめんとひやむぎの違いについてみていきます。どちらも夏にツルッとしたのどごしで食卓に欠かせない麺といったイメージがあるかもしれませんね。味はそれほど変わりはないので、違いがわかりにくいと感じる人もいるかもしれませんね。今回はそんな両者の違いを、それぞれの名前の由来や太さなどの面から麺類が好きな文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

喉ごしのツルッとした麺類が大好きで、夏の昼や夕飯には麺にネギや大葉などを合わせているライター。

そうめんとひやむぎのざっくりとした違い

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そうめんとひやむぎの違いはどのようなところでしょうか。両方とも喉ごしが良く、冷やした汁につけて喉越し良くたべられます。味は汁やタレ、薬味などで左右されるためどのように違うのかは分からないでしょう。

見た目の違いでいえば、太さや色が挙げられるかもしれません。そうめんは細く、ひやむぎは多少太めの物が多いです。ひやむぎは白いですが、そうめんは白以外に赤や緑などに着色されている製品も見かけますね。特に、お中元ギフトやお盆の御供などでカラフルな麺が入っています。

名前の由来の違い

そうめんとひやむぎは、名前の由来に違いがみられるようです。それぞれについてみていきます。

そうめん:中国由来の仏教菓子

そうめんの歴史は古く、奈良時代にさかのぼります。当時の中国の王朝からもたらされた唐菓子(とうがし)の一つ。留学していた僧侶が日本に伝えました。仏前に供えたり、僧侶が作業の合間に間食したりする際に使われた「索餅」(さくべい)がもととなっています。

「索餅」は小麦粉と米粉を練って混ぜ、縄のようにひねったもの。「索」の字が簡略化されて「素」となり、「素麺」(そうめん)と表記されるようになりました。もともとは細くなく、ほうとうのような太くて平べったい形をしていたといわれています。

ひやむぎ:うどんの食べ方

ひやむぎも本来なら唐菓子の1つ。漢字で「冷麦」と表記します。もともとは「餺飥」(はくたく)という、小麦粉を練って切り分けたもの、うどんやすいとんのもととなる食べ物が由来です。うどんの旧名は「熱麦」(あつむぎ)といい、温かい汁の中に煮込んで食べる小麦粉を使った麺料理を表す語でした。

温かくして食べる「熱麦」に対して、食べ方の違いからひやむぎという語が作られました。ひやむぎは冷たい汁につけたり、冷やしたタレを回しかけたりといった食べ方をしますね。

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麺の太さの違い

そうめんとひやむぎの違いは、太さによって決まります。一般社団法人・日本農林規格協会によって決められたJAS規格によって明確に分類されていて、味や調理法などは関係ありません。

そうめんには緑や赤などのカラフルなものがあります。なぜ色がついたかというと、そうめんとひやむぎの区別をつけやすくするためという説があるようです。近年では、贈答用のそうめんに多く、見た目が鮮やかで美味しそう、涼しげに見えるなどの理由で選ぶ方も多くみられますね。

JAS規格での違い

原料は小麦粉を使ったもの。そうめんとひやむぎの太さは以下の通りです。例外で、手延べの製法で小麦粉を原料とした麺の場合、直径1.7mm以下であればそうめんと記載してもよい場合があります。例えば、徳島名産の『半田そうめん』は、ひやむぎと同じくらいの直径ではありますが、そうめんと記載されていますね。

太さの区別

JAS規格による区別は以下の通りです。太いものはうどんに分類されます。

・そうめん…直径1.3mm未満に成形
・ひやむぎ…直径1.3mm以上1.7mm未満に成形
・うどん…直径1.7mm以上に成形

\次のページで「製法の違い」を解説!/

製法の違い

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そうめんやひやむぎは製法の違いで分けるものではありません。近年では機械化されて作られるものが多くなっています。それぞれに主にどのような製法で作られるのでしょうか。

そうめん:手延が多い

そうめんは『揖保乃糸』などのブランドがついたそうめんを中心に、手延べで作られることが多いです。手延べとは、生地をこねた後に、手でねじるように縒(よ)りをかけながら丁寧に細く引き伸ばしていく製法。熟成させながらまた引き伸ばしていくので、とても手がかかっています。

古(ひね)というものは、さらに1年ほど熟成させた麺で、コシが強く舌ざわりが良くなるのが特徴です。価格も通常品よりは高めに設定されています。

ひやむぎ:こねて切り分ける

ひやむぎも手延べのものもあります。しかし、近年ではこねた後に生地をまとめて、規定の幅に切り分けて作ることが多いです。うどんも同様の方法でつくられます。製麺機などの機械を使うこともありますよ。

素朴な疑問

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そうめんとひやむぎについて、素朴な疑問を持つ方もいるようです。主なものを2つ紹介します。

1.カロリーが低いのは?

ダイエット中の方はカロリーが気になることもありますよね。手延べをする際に麺がつかないように油を利用するので、手延べのほうがカロリーが高いのではというイメージがあるという方もいます。

ごはん100gで168kcalなので、そうめんやひやむぎのが低いです。しかし、茹でる前は100gでも、最も少ないカロリーの手延べひやむぎでも、茹でた後は約270gで330kcal。めんつゆも1人前約40kcalですので、食べる量には注意が必要ですね。

\次のページで「カロリーの違い」を解説!/

カロリーの違い

カロリーの違いは以下の通りです。手延べと製麺機によっても違いがありますね。

・手延べそうめん…116kcal
・手延べひやむぎ…111kcal
・製麺機のそうめん…137kcal
・製麺機ひやむぎ…126kcal

2.にゅうめんとの違いは?

にゅうめんは温かく煮たそうめんのことです。温めためんつゆの中で煮る他に、茹でたそうめんに温かいつゆをかけて食べる方法もあります。奈良県が発祥の料理だということですよ。

現在は麺の太さでそうめんかひやむぎで区別することが多い

そうめんとひやむぎの違いは、ずばり直径の大きさ、太さによります。そうめんのほうが細く直径1.3mm未満に成形されたもの。一方で、ひやむぎはもう少し太くて直径1.3mm以上1.7mm未満に成形されたものです。味や作り方、製法の違いではありませんので、喉越しや食べやすさで選ぶと良いかもしれません。

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雑学

簡単でわかりやすいそうめんとひやむぎの違い!名前の由来や太さ・製法の違いも文学部卒ライターが詳しく解説

この記事ではそうめんとひやむぎの違いについてみていきます。どちらも夏にツルッとしたのどごしで食卓に欠かせない麺といったイメージがあるかもしれませんね。味はそれほど変わりはないので、違いがわかりにくいと感じる人もいるかもしれませんね。今回はそんな両者の違いを、それぞれの名前の由来や太さなどの面から麺類が好きな文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

喉ごしのツルッとした麺類が大好きで、夏の昼や夕飯には麺にネギや大葉などを合わせているライター。

そうめんとひやむぎのざっくりとした違い

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そうめんとひやむぎの違いはどのようなところでしょうか。両方とも喉ごしが良く、冷やした汁につけて喉越し良くたべられます。味は汁やタレ、薬味などで左右されるためどのように違うのかは分からないでしょう。

見た目の違いでいえば、太さや色が挙げられるかもしれません。そうめんは細く、ひやむぎは多少太めの物が多いです。ひやむぎは白いですが、そうめんは白以外に赤や緑などに着色されている製品も見かけますね。特に、お中元ギフトやお盆の御供などでカラフルな麺が入っています。

名前の由来の違い

そうめんとひやむぎは、名前の由来に違いがみられるようです。それぞれについてみていきます。

そうめん:中国由来の仏教菓子

そうめんの歴史は古く、奈良時代にさかのぼります。当時の中国の王朝からもたらされた唐菓子(とうがし)の一つ。留学していた僧侶が日本に伝えました。仏前に供えたり、僧侶が作業の合間に間食したりする際に使われた「索餅」(さくべい)がもととなっています。

「索餅」は小麦粉と米粉を練って混ぜ、縄のようにひねったもの。「索」の字が簡略化されて「素」となり、「素麺」(そうめん)と表記されるようになりました。もともとは細くなく、ほうとうのような太くて平べったい形をしていたといわれています。

ひやむぎ:うどんの食べ方

ひやむぎも本来なら唐菓子の1つ。漢字で「冷麦」と表記します。もともとは「餺飥」(はくたく)という、小麦粉を練って切り分けたもの、うどんやすいとんのもととなる食べ物が由来です。うどんの旧名は「熱麦」(あつむぎ)といい、温かい汁の中に煮込んで食べる小麦粉を使った麺料理を表す語でした。

温かくして食べる「熱麦」に対して、食べ方の違いからひやむぎという語が作られました。ひやむぎは冷たい汁につけたり、冷やしたタレを回しかけたりといった食べ方をしますね。

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