
5分で簡単にわかる!「古事記」と「日本書紀」の違い!内容や作られた目的も主婦ライターがわかりやすく解説

ライター/えぬとも
文学好きな主婦ライター。大学時代は日本文学を専攻しつつ、日本史や日本美術史など幅広く学ぶ。今回は、その知識を生かして、2つの言葉の違いをわかりやすく解説していく。
「古事記」と「日本書紀」の違いとは?

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「古事記」と「日本書紀」とはどのようなものかご存じでしょうか。「学校で習って言葉は知っているけれど違いまではよくわからない」という方も多いかもしれません。「古事記」と「日本書紀」はどちらも8世紀に歴史書であり、神代(神武天皇より前の時代)からの日本の歴史が記されています。
内容や様式にも細かな違いは多々ありますが、大きな違いは作られた目的。「古事記」は国内向けの書物として作られたのに対し、「日本書紀」は国外へ向けた公式の歴史書として作られました。それでは、それぞれについて詳しくみていきましょう。
「古事記」:日本最古の歴史書

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「古事記」とは、現存する日本最古の歴史書。712年、稗田阿礼(ひえだのあれ)が口承したものを太安万侶(おおのやすまろ)が編纂して成立したといわれています。天武天皇(在位:673年-686年)が編纂を命じ、元明天皇(在位:707年-715年)に献上されました。
内容は神が治めていたとされる時代から推古天皇(在位:593年-628年)の時代までの出来事を神話や伝説なども含めながら記したもの。3巻からなっており、「古事記」全体で112首にのぼる多くの和歌が収録されています。
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「日本書紀」:日本最古の正史
「日本書紀」とは、日本に現存する最古の正史(せいし)。正史とは、正当なものとして国が認めた歴史書のことです。天武天皇に命じられて川島皇子(かわしまのみこ)らが編纂を始め、「古事記」が成立してから8年後の720年、舎人親王(とねりしんのう)らが完成させたといわれています。天武天皇の孫にあたる元正天皇(げんしょうてんのう)に献上されました。
神が治めていた時代から持統天皇(在位:690年-697年)までを扱う歴史書で、原則として歴代天皇の業績や歴史上の出来事などが年代順に記されています。「古事記」の10倍にもなる30巻からなっており、漢文で書かれているのが特徴です。
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「古事記」と「日本書紀」はなぜ作られたの?
「古事記」と「日本書紀」は、特徴や内容が異なるということがわかりましたね。そもそも、これらの書物はどのような目的で作られたのでしょうか。実は、なんのために作ったかということこそ、この2つの書物の決定的な違いとなっているのです。それでは、それぞれについてみていきましょう。
「古事記」が作られた目的
「古事記」は、日本国内に向けて天皇家の正当性を示すために作られたと考えられています。神話や伝説のエピソードを数多く盛り込み、たくさんの和歌が使われるなど読み物として面白味のあるものになっているのが特徴。また、日本語の音を漢字で表記する「和化漢文」が使用され、読みやすさにも配慮されています。
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「日本書紀」が作られた目的

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「日本書紀」は、国外に向けて日本という国家をアピールするために作られたと考えられています。中国や朝鮮半島の文献を参考にして書かれており、和歌なども多くは使わず記録としての性質が強いのが特徴。日本人に読みやすい和化漢文で書かれた「古事記」とは違い、すべて漢文で書かれており中国を始めとする近隣諸国を強く意識していたことがうかがえます。
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