ライター/yuko
工事会社勤務9年目。入社から現在まで、現場踏査や設計業務など幅広く経験。地下埋設物には少々くわしい。専門用語が飛び交う職場で自分の言葉に置き換え、理解しなおす言語化作業に日々奮闘中の現役OLライター。
「入札」と「見積り合せ」の違いは請負金額の決め方
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「入札」とは、国や地方、官公庁などの公的機関が公共工事や業務委託の仕事を発注する業者を公正に選ぶための制度です。不特定多数の参加者を募り、より安い金額を提示した業者へ仕事を発注することが一般的ですね。
一方「見積り合せ」は発注機関が特定の企業を選定し直接契約を結ぶ方法。金額と質をあわせて仕事を発注することが目的になります。さらに詳しくみていきましょう。
公的機関の工事を請けるまでの流れ
国や地方の公的機関が仕事を発注する場合、公告を行い入札への参加業者を募り、不特定多数の業者に札入れをしてもらい、1番安い金額を提示した業者へ仕事を発注する「一般競争入札」制度を採用することが原則。「一般競争入札」は透明性、競争性、公正性、経済性が確保されている制度になります。
「一般競争入札」の例外の1つとして「随意契約(ずいいけいやく)」という制度があり、「随意契約」の過程で必要になってくる過程で「見積り合せ」が行われるんだそう。「随意契約」は少額案件に限り、発注者側が特定の企業に向けて仕事の進め方やコストを見積りを通して確認し、直接契約を結ぶ方法です。
入札:金額の低さで決定
「入札」とは、公的機関が民間の企業と契約を結ぶ際に採用させている制度のこと。国民の税金で行われる工事をはじめとするさまざまな案件について、基本的には最安値で請け負ってもらえる企業をみつけるために行われます。
「入札」は、まず発注者側が公告する契約金額の条件や案件詳細が記された「入札仕様書」を入札に参加する企業が検討し、「どれほどの費用であればこの仕事を請け負えるか」という金額を札入れという形で提示。不特定多数の企業から集めた入札書を発注者側で比較し、最も有利な条件を提示した企業と契約を結ぶという流れになりますね。
見積り合せ:金額と施工の方法などを確認した上で決定
「見積り合せ」は「入札」の例外である「随意契約」の制度のなかで発生してくる過程です。「随意契約」はすべての発注案件で採用できるわけではありません。主に発注予定価格が少額である場合や、入札を1度行っても落札まで至らなかった案件、特定の業者でなければ業務遂行が難しいと考えられる案件について選択される方法になるんだそう。
特に発注予定価格が少額である場合を「少額随契」といい、この場合に「見積り合せ」が行われます。「見積り合せ」は発注者が信頼できると判断した2~3業者に「見積り」の提出を依頼して、技術や提案内容も加味した上で判断し請負契約を結ぶ方法。「見積り」が「入札」で提出する入札書とは異なる点もポイントになりますね。
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