今回は「春菊」と「菊菜」の違いを見ていきます。関東では春菊、関西では菊菜と呼ぶイメージが強いが、2つは全く同じものではない。特に品種に違いがあり、それが見た目や味、流通地域の違いにも関わっている。自分が住んでいる地域の春菊・菊菜しか見たことがないやつは意外な差に驚くでしょう。この先は野菜好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

野菜が大好きな主婦ライター。1日に5種類以上の野菜を食べている。野菜料理のおいしいお店をリサーチすることが日課。

春菊と菊菜の違いは?

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春菊と菊菜の最も大きな違いは品種です。ただし、「春菊」「菊菜」という別の品種が存在するのではなく、春菊の中の一部の品種が別名で「菊菜」と呼ばれています。植物としての分類はどれも「キク科シュンギク属」で同じ仲間。その中の細かな品種の違いによって、見た目や味などに差があらわれています。次から詳しく確認していきましょう。

春菊と菊菜の5つの違い

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春菊と菊菜には、大きく分けて「品種」「見た目」「食味」「流通地域」「収穫方法」の5つの違いがあります。1つ目の「品種」の違いは他の4つにも影響を及ぼしている特に重要な違い。順番に理解していきましょう。

違い1.品種

1つ目の違いは品種です。春菊には次の4種が存在します。中葉種には「摘み取り種」と「株張り種」があり、これ以降で解説する違いにも関係がありますので、覚えておいてくださいね。

1.大葉種
2.中大葉種
3.中葉種(摘み取り種・株張り種)
4.小葉種

違い2.見た目

2つ目の違いは見た目です。春菊・菊菜はいずれも濃い緑色で、ギザギザした葉の形が特徴的。その中でも品種による見た目の違いを確認していきましょう。

大葉種は他の品種に比べ葉が大きて厚く、切れ込みが浅いのがポイント。1枚の大きな葉に、ところどころ切れ込みがあるような印象です。中大葉種は、大葉種に比べて切れ込みは深いものの、葉の大きさを感じます。切れ込みごとの葉先に丸みがあるのも特徴です。

中葉種はさらに切れ込みが深くなり、ギザギザした印象が強くなっています。中葉種のうちの「摘み取り種」は、太い茎の途中から何本も葉が生えている状態。対する「株張り種」は、根元から葉が分かれて生えている見た目をしています。最後の小葉種は、中葉種よりも切れ込みがさらに鋭く、深く入っているのが特徴です。

\次のページで「違い3.食味」を解説!/

違い3.食味

3つ目の違いは食味です。大葉種・中大葉種は葉が柔らかく香りも穏やかで、クセがないのが特徴。中葉種は香りが強く、春菊らしい味わいですが、この香りに苦手意識のある方も多いようです。小葉種も同じく香りがしっかりしています。

違い4.流通地域

4つ目の違いは流通地域。中葉種の内の「摘み取り種」は関東地方での流通量が多く、それ以外の大葉種、中大葉種、中葉種の「株張り種」は関西地域で流通量が多くなっています。関西地域でこれらを「菊菜」と呼ぶことが、「関東では春菊、関西では菊菜」と認識される理由です。

違い5.収穫方法

5つ目の違いは収穫方法です。中葉種の内の「摘み取り種」は、太い茎から生えてくる葉を摘み取って収穫します。この品種は関東で流通していますので、関東のスーパーで見かける春菊は、摘み取った葉を束にした状態です。それ以外の品種、つまり関西で多く流通する品種は株ごと収穫をされ、根が付いた状態で販売されることも多くあります。

春菊(菊菜)の基本情報

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春菊・菊菜は、見た目や流通地域は違えど同じ分類の仲間です。ここで食品としての基本的な情報を確認しておきましょう。これを知れば、春菊がとても魅力的な食品であることが分かり、食事に取り入れたくなりますよ。

春菊の原産国・日本の生産地域

春菊の原産国は、地中海地域の沿岸だと言われています。ただし、現地ではあくまで鑑賞用。今でこそ日本食の浸透とともに少しずつ知られるようになりましたが、基本的に食べる文化はありません。春菊を食べるのは、日本をはじめ韓国・中国などの東アジアにとどまります。日本では、2019年の統計で最も生産量が多いのは大阪府、続いて千葉県、群馬県です。

\次のページで「春菊の栄養」を解説!/

春菊の栄養

春菊は非常に栄養価が高い食品です。中でもβ-カロテン、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンE、食物繊維、カリウム、カルシウムが多く含まれています。また、独特の香りには整腸作用、咳止めなどに効果のあるリモネンという成分が含まれ、「食べる風邪薬」と呼ばれるほどです。

新鮮な春菊の選び方

春菊は鮮度が落ちやすい食品です。店頭ではできるだけ鮮度が高くておいしいものを購入したいですよね。そのためには、葉の緑色が濃くて全体にボリュームがあり、葉先まで元気のある見た目のものを選びましょう。色が褪せていたり、葉がへたっていたりするものは鮮度が落ちている可能性があります。

春菊を味わうレシピ

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魅力的な春菊を最大限に味わうため、生で食べるレシピと、加熱を最小限にしたレシピを1つずつご紹介します。これらのレシピはどの品種でも調理可能です。手軽に短時間で調理できますので、スーパーで良い春菊を見つけた日は、ぜひ食卓に取り入れてみてくださいね。

1.春菊の中華サラダ

ごま油の風味が生の春菊と非常にマッチした一品です。

【材料】2人分
・春菊…150g程度(1束)
・炒りごま(白)…小さじ2
・ごま油…大さじ1
・醤油…大さじ1
・酢…大さじ1
・砂糖…小さじ2
・塩、こしょう…少々

【作り方】
1.春菊を流水で洗った後に葉先をちぎり、水に5分ほどさらす。(包丁で切ると苦みが出やすいので手でちぎる。)
2.ペーパータオルで水をふき取り、器に盛る。
3.炒りごま、ごま油、醤油、酢、砂糖、塩、こしょうを混ぜ、全体にかけて完成。

2春菊のおひたし

めんつゆの味わいと春菊の苦みの相性がいい一品です。

\次のページで「香りがよく栄養価も高い春菊を味わおう」を解説!/

【材料】2人分
・春菊…150g程度(1束)
・かつおぶし…お好みの量
・めんつゆ(3倍濃縮)…20ml
・水…80ml

【作り方】
1.春菊の根元が固い場合は切り落とす。春菊を流水でしっかり洗う。
2.鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩(分量外)を加える。(お湯1リットルに対して小さじ1の塩)
3.春菊の茎の部分をお湯に30秒ひたす。次に葉もお湯に入れ、全体を30秒浸す。
4.流水にとって冷やし、向きを揃えて茎を持ちながら水を絞る。
5.食べやすい長さに切り、めんつゆと水を混ぜたものをかける。かつおぶしを散らして完成。

香りがよく栄養価も高い春菊を味わおう

春菊は、独特の香りや苦みが魅力の1つ。子供の頃は苦手でも、大人になってこの香りが好きになったという人も多いのではないでしょうか。普段は鍋の具材にすることが多い春菊ですが、シャキシャキとみずみずしい生の葉にもチャレンジし、味わいの幅を広げてみるのもおすすめです。

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雑学食べ物・飲み物

春菊と菊菜の違いは品種と流通地域にあり!野菜好きライターが簡単にわかりやすく解説

今回は「春菊」と「菊菜」の違いを見ていきます。関東では春菊、関西では菊菜と呼ぶイメージが強いが、2つは全く同じものではない。特に品種に違いがあり、それが見た目や味、流通地域の違いにも関わっている。自分が住んでいる地域の春菊・菊菜しか見たことがないやつは意外な差に驚くでしょう。この先は野菜好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

野菜が大好きな主婦ライター。1日に5種類以上の野菜を食べている。野菜料理のおいしいお店をリサーチすることが日課。

春菊と菊菜の違いは?

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春菊と菊菜の最も大きな違いは品種です。ただし、「春菊」「菊菜」という別の品種が存在するのではなく、春菊の中の一部の品種が別名で「菊菜」と呼ばれています。植物としての分類はどれも「キク科シュンギク属」で同じ仲間。その中の細かな品種の違いによって、見た目や味などに差があらわれています。次から詳しく確認していきましょう。

春菊と菊菜の5つの違い

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春菊と菊菜には、大きく分けて「品種」「見た目」「食味」「流通地域」「収穫方法」の5つの違いがあります。1つ目の「品種」の違いは他の4つにも影響を及ぼしている特に重要な違い。順番に理解していきましょう。

違い1.品種

1つ目の違いは品種です。春菊には次の4種が存在します。中葉種には「摘み取り種」と「株張り種」があり、これ以降で解説する違いにも関係がありますので、覚えておいてくださいね。

1.大葉種
2.中大葉種
3.中葉種(摘み取り種・株張り種)
4.小葉種

違い2.見た目

2つ目の違いは見た目です。春菊・菊菜はいずれも濃い緑色で、ギザギザした葉の形が特徴的。その中でも品種による見た目の違いを確認していきましょう。

大葉種は他の品種に比べ葉が大きて厚く、切れ込みが浅いのがポイント。1枚の大きな葉に、ところどころ切れ込みがあるような印象です。中大葉種は、大葉種に比べて切れ込みは深いものの、葉の大きさを感じます。切れ込みごとの葉先に丸みがあるのも特徴です。

中葉種はさらに切れ込みが深くなり、ギザギザした印象が強くなっています。中葉種のうちの「摘み取り種」は、太い茎の途中から何本も葉が生えている状態。対する「株張り種」は、根元から葉が分かれて生えている見た目をしています。最後の小葉種は、中葉種よりも切れ込みがさらに鋭く、深く入っているのが特徴です。

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