この記事では面積と体積の違いについて踏み込んでいきます。どちらも物の大きさを表すものですが、前者が平面的の広さであるのに対し、後者は立体的なかさを示している。今回はこれら2つの積(せき)について、工学系院卒ライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。図形問題に苦手意識がある人にも興味を持ってもらえるよう、面積と体積の違いを分かりやすく解説していく。

面積と体積の違い

image by iStockphoto

平面の広さを表す面積。一方体積は、立体の大きさを示します。両者の違いはずばり「次元」で、面積が2次元の量であるのに対し、体積は3次元の量です。次元を辞書で引くと、以下のように書いてあります。

数学で、一般的な空間の広がり方の度合いを表すもの。座標の数で表される。線は一次元、面は二次元、立体は三次元。空間は三次元であるが、n次元や無限次元も考えられる。

デジタル大辞泉(小学館)「次元」

これを踏まえて、面積と体積それぞれについて解説していきます。

面積の意味と求め方

面積は、平面内の図形の広さを表す量で、英語でareaです。そもそもという言葉には、乗法の結果すなわち数や式などを掛け合わせて得た答えという意味があります。1次元の量がある[長さ]を2回掛け合わせた[長さ]×[長さ]=[長さ]2が、2次元の物理量の[面積]となるのです。主な平面図形の面積の求め方を以下に示します。

正方形:(一辺の長さ)2
長方形:縦×横
平行四辺形:底辺×高さ
三角形:底辺×高さ÷2
台形:(上底+下底)×高さ÷2
ひし形:一方の対角線×もう一方の対角線÷2 
:円周率π×(半径)2

\次のページで「体積の意味と求め方」を解説!/

体積の意味と求め方

体積は立体が空間で占める大きさのことで、英語でvolumeです。平面内で2次元の量を持つ[面積]=[長さ]2に、平面と垂直な方向の[長さ]を掛けた[長さ]3が、空間内で3次元の物理量を持つ[体積]になります。すなわち、面積と体積は次元が1つ違うのです

主な空間図形の体積の求め方を以下に示します。なお、この中でいう「高さ」は、平面と垂直な方向の「長さ」のことです。

立方体:(一辺の長さ)3
直方体:縦×横×高さ
柱体(円柱、三角柱、四角柱など):底面積×高さ
すい体(円すい、三角すい、四角すいなど):底面積×高さ÷3 
球体:4×円周率π×(半径)3÷3

面積と体積の単位

面積と体積の基本単位は、国際単位系(SI単位系)で定められた長さの単位m(メートル)を使ったものですが、ほかにも独自の単位があります。それぞれの単位について解説しましょう。

\次のページで「面積の単位」を解説!/

面積の単位

面積はm2(平方メートル)が基本単位です。「平方」は数を2回掛け合わせることを意味します。一辺の長さ1mの正方形の面積が1m2で、メートルを「米」と書くことから、「平米(へいべい、ヘーベー)」と呼ぶ場合も。

そのほか、小さいものにはcm2(平方センチメートル,1m3の10000分の1)、都道府県の面積など規模の大きいものにはkm2(平方キロメートル,1m3の100万倍)が用いられます。

m2とkm2の間には100万倍もの開きがあり、中間の広さを表すには非常に不便です。そこで使われる単位がa(アール)ha(ヘクタール)で、前者は主に田畑、後者は山林などの面積に対し用いられます。1aは一辺10mの正方形の面積100m21haは一辺100mの正方形の面積10000m2に相当し、1ha=100aです。a・haとも国際単位系ではありませんが、haのみ併用が許されています

体積の単位

image by iStockphoto

体積はm3(立方メートル)が基本単位です。「立方」は数を3回掛け合わせることを意味します。一辺の長さ1mの立方体の体積が1m3で、cmで測れる大きさのものに使うのがcm3(立方センチメートル,1m3の100万分の1)、kmの場合はkm3(立方キロメートル,1m3の10億倍)です。

生活でよく使う量はcm3とm3の間が多いため、水などの液体や気体、粉状、粒状のものに対してはha同様に国際単位系ではないL(リットル)の併用が許されています一辺10cmの立方体の体積が1Lです

小学校で習うdL(デシリットル,0.1L)は日常生活ではほぼ使われず、代わりにmL(ミリリットル,0.001L=1cm3が用いられます。牛乳の生産量など、規模の大きいものに用いられるのはkL(キロリットル,1000L=1m3です。

日本の面積・体積の単位(尺貫法)

たとえば土地の広さや収穫量など、ものの面積や体積を把握することは、人々の暮らしにおいてとても重要なことです。そのため、多くの国々で地域に根差した単位が生まれ、独自の発展を遂げました。もちろん日本も例外ではなく、古くから使われている尺貫法の単位が令和の今でもあちこちで使われています。

日本の面積の単位

image by iStockphoto

最も身近なのは、宅地などに使われる「坪(つぼ)」です。1坪は400/121m2=3.3058m2、一辺が1間(=6尺=約182cm)の正方形の面積で、「中京間」と呼ばれるサイズの畳2畳分に相当します。ちなみに中京間は東海地方や北陸地方で使われる畳のサイズで、これより小さいのが東京以北で使われる「江戸間」、逆に大きいのが京都より西で使われる「京間」です。

このほか、田畑や山林に使われる単位を以下に示します。

1歩(ぶ)=1坪=約3.31m2
 坪と同じ面積ですが、田畑や山林にはこちらの単位を使います。昔の大人は1日3合の米を食べていたとされ、大人1人1日分の米を収穫できる田んぼの広さが1歩です。
1畝(せ)=30歩=約99.17m2
 約1a。1畝は、大人1人が1カ月で食べる米の量9升分を収穫できる広さです。
1反(たん)=10畝= 約991.7m2
 約10a。1反の田んぼで収穫できる米の量を1石(後述)としていました。
1町(ちょう)=10反=約9917m2
 約1ha。長さの単位「町」と区別するために「町歩(ちょうぶ)」と呼ぶ場合も。

\次のページで「日本の体積の単位」を解説!/

日本の体積の単位

なじみが深いのは、米や酒に用いる「合(ごう)」でしょう。1合は約180.39mL、米用の計量カップ1杯分に相当し、ほかに合を使ったものとして、4合びん(720mL)や5合びん(900mL)などがあります。日本の体積の単位は、分かりやすく10倍ごとに変わるのが特徴です。

1升(しょう)=10合=1.8L
 一升瓶1本分。日本酒や焼酎などがこの単位で売られています。
1斗(と)=10升=18L
 一斗缶1個分。ペンキなどの塗料、業務用の調味料や油などがこの単位で売られています。灯油用ポリタンクの容量が18Lなのも、以前は一斗缶で売られていたためです。
1石(こく)=10斗=180L
 風呂約1杯分。豊臣秀吉の時代から明治の初めまで、土地の生産高を米の量で表すときに使われました。昔の大人1人が1年間に食べる米の量とされ、1反の田んぼの収穫量です。

面積は2次元、体積は3次元

平面内での図形の広さを表す面積は2次元の量、空間内での立体の大きさを表す体積は3次元の量を持ち、次元が1つ違うことを解説しました。

「面積は平面だからまだ理解できるけれど、体積とか容積が苦手で…」という人は大人でも少なくありません。さらに最近はスマホやタブレットの影響で、空間認識能力を培う機会がどんどんなくなっているといわれています。「もの」を実際に見たり触れたりして、3次元的な大きさを体感するのは、実はとても大事なことなのです。

" /> 3分で簡単「面積」と「体積」の違い!容積との違いや求め方・単位も工学系院卒ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
雑学

3分で簡単「面積」と「体積」の違い!容積との違いや求め方・単位も工学系院卒ライターがわかりやすく解説!

この記事では面積と体積の違いについて踏み込んでいきます。どちらも物の大きさを表すものですが、前者が平面的の広さであるのに対し、後者は立体的なかさを示している。今回はこれら2つの積(せき)について、工学系院卒ライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。図形問題に苦手意識がある人にも興味を持ってもらえるよう、面積と体積の違いを分かりやすく解説していく。

面積と体積の違い

image by iStockphoto

平面の広さを表す面積。一方体積は、立体の大きさを示します。両者の違いはずばり「次元」で、面積が2次元の量であるのに対し、体積は3次元の量です。次元を辞書で引くと、以下のように書いてあります。

数学で、一般的な空間の広がり方の度合いを表すもの。座標の数で表される。線は一次元、面は二次元、立体は三次元。空間は三次元であるが、n次元や無限次元も考えられる。

デジタル大辞泉(小学館)「次元」

これを踏まえて、面積と体積それぞれについて解説していきます。

面積の意味と求め方

面積は、平面内の図形の広さを表す量で、英語でareaです。そもそもという言葉には、乗法の結果すなわち数や式などを掛け合わせて得た答えという意味があります。1次元の量がある[長さ]を2回掛け合わせた[長さ]×[長さ]=[長さ]2が、2次元の物理量の[面積]となるのです。主な平面図形の面積の求め方を以下に示します。

正方形:(一辺の長さ)2
長方形:縦×横
平行四辺形:底辺×高さ
三角形:底辺×高さ÷2
台形:(上底+下底)×高さ÷2
ひし形:一方の対角線×もう一方の対角線÷2 
:円周率π×(半径)2

\次のページで「体積の意味と求め方」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: