
簡単でわかりやすい!インダクタとコイルの違いとは?はたらきや種類についても元ラジオ少年ライターが詳しく解説


解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/2sc
理系の大学院に通うかたわら、ライターとして活動。技術から生活までさまざまな知識を、科学の視点で解説する。この記事では電子部品のひとつである、コイル/インダクタについてわかりやすく解説していく。
インダクタ/コイルの大まかな定義

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インダクタ/コイルは電流の量の「変化」を妨げる電子部品。1つの部品に、インダクタとコイルの、2つの名前がついているのです。まずは2つの名前の由来について、みていきましょう!
「コイル」は部品の構造をさす
針金や糸など線形のものは、らせん状に巻くとコイル(英:coil)という構造になります。「コイル」と呼ばれるのは電子部品だけではありません。英語圏では「髪の毛」や「ばね」の形状をさして、コイルという表現がなされるのです。そのうちらせん構造をとる銅線は電子部品、本記事で取り扱うコイルとなります。
「インダクタ」は部品の機能をさす
コイルの形をとる銅線はすべて、インダクタ(英:inductor)という電子部品として機能します。「インダクタ」とは、電流の変化を妨げる、機能に着目した名称です。その名は、電磁誘導(英:electromagnetic induction)に由来します。
この記事では、銅線のコイルがインダクタとしてはたらく原理について解説。「電磁石/発電機」だけでない、コイルの姿について、掘り下げていきましょう!
銅線のコイルがもつ基本のはたらき
抵抗やコンデンサと同じく、インダクタ/コイルはシンプルなしくみの受動部品です。その基本のはたらきは、電流を磁力線の束に変換するというもの。まずは「コイル」の形をとる銅線での、電流と磁界の関係からみていきましょう!
コイルは電流から磁界を生む
通電した銅線の周りには、「右ねじの法則」にしたがって磁界が生じています。右手を「グー」の形に握り、その親指で電流の向きを指してください。するとほかの4本、丸まった指が磁界の向きを指し示すのです。つぎに磁界を生む銅線を「輪っか」にしてみましょう。銅線の上なら右手をどこにおいても、磁界は「輪っか」の内側をくぐるのです。
銅線の輪をひとつながりに重ねると「コイル」に。「輪っか」を重ねることで、その内側をくぐる磁界は一層強くなります。磁界の強さを磁力線の本数に例えると、「より多くの磁力線から、高密度な磁束が出来上がる」とも表現可能。コイルの磁界の強さは、「電磁石」として砂鉄を引きつけるほどになるのです。
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逆に磁界から電流を生むことも可能
一方で磁界の変化を受けた銅線では、電流が生じます。「電磁誘導」というこの現象は、磁界の変化を打ち消すための反作用。変化と逆の磁界を生み出すために、銅線が電流を生じるのです。そして銅線の輪を重ねたコイルでは、電磁誘導もより強くはたらきます。「発電機」は、コイルの電磁誘導の最たる例。コイルは組み方次第で、日常生活に必要な電気をも生み出せるのです。
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コイルの応用がインダクタ

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コイルの電磁誘導を応用したものが、交流だけを締め出す「インダクタ」です。中学校で習った電磁石や発電機は、直流での「コイル」の性質でした。一方交流がからむ「インダクタ」の解説は、高校物理の領域。以下、より専門的なインダクタの挙動についてみていきましょう!
「抵抗器」と「コンデンサ」の2つの顔をもつ
銅線のコイルは自身が放つ磁界に対しても、強く反作用を生じます。コイルでは電流の変化とともに、放つ磁界も変化。電流による磁界の変化を打ち消すべく、逆の変化をする電流を生み出すのです。こちらは「自己誘導」として区別されます。銅線のコイルに生じる自己誘導を利用した部品がインダクタ。その単純な構造とは裏腹に、はたらきには以下の通り二面性があります。
電流を妨げる「抵抗器」の顔
1.インダクタの電流/磁界が増える
2.インダクタは電流/磁界を減らすべく、逆向きの電流を生む
3.その結果インダクタを通る電流は、妨げられる
電流を磁界として蓄える「コンデンサ」の顔
1.インダクタの電流/磁界が減る
2.インダクタは電流/磁界を保つべく、同じ向きの電流を生む
3.その結果回路には、しばらく電流が流れ続ける
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