今回は「餃子」と「焼売」の違いを見ていきます。どちらも肉や野菜でできた餡を皮で包んであるから、形が違うだけで中身は同じ、なんて思っているやつもいるかもしれない。ですが餃子と焼売には、大きく分けて5つの違いがあったんです。そして、日本の餃子・焼売と本場中国のものも多くの点で異なっている。この先は外食好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

外食が大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

餃子と焼売の違いは?

image by iStockphoto

餃子と焼売の違いは、主に形状や皮、具材、調理法などにあります。ただし、それはあくまで日本における違い。私たちが日本で日常的に食べている餃子・焼売は、本場である中国から伝来した後に日本で独自に変化したものです。日本における5つの違いのほか、中国での餃子・焼売の様子も次から詳しく解説していきます。

日本の餃子と焼売の違い

image by iStockphoto

日本の餃子と焼売の違いは、大きく分けて形状、皮、餡の具材、調理法、日本への伝来の5点です。後ほど解説する本場の特徴との共通点も存在しながら、日本ならではのアレンジも随所に見られます。1つずつ確認していきましょう。

違い1.形状

1つ目の違いは形状です。餃子・焼売はどちらも餡を皮で包んだものですが、包み方により最終形状が大きく異なります。餃子は基本的に皮で完全に餡を包み、外からは餡が見えません。半月状に成型し、皮をとじる部分はひだを作るように折り込む場合も。一方の焼売は皮で餡を円柱状に包み、上部が空いた状態に成型します。

違い2.皮

2つ目の違いは皮です。餃子と焼売では、皮の形・厚みに差が見られます。餃子の皮は円形。日本の市販の皮では厚みが1mm程度、直径は9cm前後のものが主流です。

一方の焼売の皮は正方形で、市販品は一辺が8~9.5cmほど。厚みは0.5mm程度と、餃子の皮よりも薄いことが分かるでしょう。ちなみに皮の材料は餃子と焼売で違いはなく、強力粉・薄力粉・塩・水を練って作ります。

違い3.餡の具材

3つ目の違いは餡に使用する具材。販売店や家庭によりさまざまですが、一般的に餃子は野菜の比率が高く、焼売は肉の比率が高いのが特徴です。

餃子に使用する野菜はキャベツ、ニラ、ニンニクが主流で、好みや求める特徴によって、白菜や生姜、青じそなどを入れる場合も。そこに豚ひき肉と調味料を合わせて練れば、餃子の餡のできあがりです。焼売は豚ひき肉をメインに、玉ねぎと生姜、調味料を混ぜたものが餡になります。

\次のページで「違い4.調理法」を解説!/

違い4.調理法

4つ目の違いは調理法です。日本では餃子を焼くのが主流で、その他に揚げたり、茹でたり、スープに入れたりとさまざまの調理法が行われます。それぞれに知名度があり、どの調理法で提供されても違和感はありません。一方の焼売は圧倒的に蒸すのが主流。焼いたり揚げたりする調理方法もあるものの、まずは蒸して加熱をしてから、追加で焼く・揚げる工程を行うことが大半です。

違い5.日本への伝来

5つ目の違いは日本への伝来です。諸説あるものの、餃子が日本で初めて食べられたのは江戸時代。当時、中国の動乱で日本へ逃れていた朱舜水(しゅ・しゅんすい)によって伝えられました。日本で最初に口にしたのは、「水戸黄門」の愛称でおなじみの徳川光圀だったそうですよ。大衆に食べられるようになったのは、伝来からかなり時間が経った第二次世界大戦後です。

焼売は1899年、横浜市伊勢佐木町にあった「博雅亭」という料理店が製造・販売したのが日本初で、中国人の2代目店主によるものでした。その後、1908年に「崎陽軒」が開業して「シウマイ弁当」を販売したことなどにより、焼売が全国に知れ渡ることになります。

本場の餃子

image by iStockphoto

本場中国と日本とでは、餃子に関して様々な違いがあります。例えば、中国では餃子が「おかず」ではなく「主食」である、という点。日本では餃子をおかずに白米を食べることも珍しくありませんが、中国では違うのですね。その他の中国と日本の違いにも言及しつつ、本場の餃子の特徴を確認していきましょう

餃子の発祥

餃子の発祥には諸説あり、紀元前3000年ごろ、餃子の原型となる食べ物がシルクロードを通じで中国に伝えられたともいわれています。少なくとも紀元前600年ごろには中国・山東省にあたる地域で食べられていたという研究が主流で、餃子に似た食べ物が当時の遺跡から見つかっており、唐時代の古墳には餃子が副葬品として納められていました。

餃子の具材・調理法

中国では具材にキャベツやニンニクは使わず、野菜の味わいや香味を出すものとして、白菜やニラを入れることが一般的です。その他、香菜(パクチー)や椎茸を入れることも。動物性の具材としては、豚肉の他に牛肉や羊肉、エビ、フカヒレなどが使用されます。

調理法は、圧倒的に水餃子(茹でた餃子)が主流です。茹でている間に崩れないよう、皮は日本よりも厚めで、もっちりとした食感。焼く・揚げるといった調理法もゼロではありませんが、かなり少数派です。

\次のページで「本場の焼売」を解説!/

本場の焼売

image by iStockphoto

餃子と同様、焼売の本場も中国。「焼売」という表記は安徽省・広東省・江蘇省・浙江省などで使われるもので、北京では「焼麦」と書いて同じ発音です。香港では「干蒸焼売」とも表現され、各地で少しずつ異なる特徴をもつといいます。

焼売の発祥

焼売の原初は定かではありませんが、焼売について書かれたもっとも古い文献は14世紀の中国のもの。そこには「稍麦」を販売する店があったと記されており、「焼売」と同じ発音をします。当時の「稍麦」は、細く切った肉を麺で包んで蒸した料理として紹介されました。

焼売の具材・調理法

中国の焼売は、基本的には日本と同様に豚肉をメイン具材にし、四角形の皮で包んで蒸し上げるのが一般的です。地域によっては皮の代わりにもち米を付けて蒸したり、豚肉の代わりに牛肉・エビ・カニなどを使用したりすることもあります。

日本で独自に変化した餃子・焼売

image by iStockphoto

中国から日本に伝わった餃子・焼売は、日本の食卓により受け入れられやすいよう、独自の変化を遂げました。特に餃子は、地域名を冠して特徴を押し出すなどしてより細分化し、消費者の支持を集めるように変化を繰り返しています。

餃子の独自変化

日本では各地のご当地餃子が人気。代表的な2つの地域の餃子をご紹介します。

栃木県の「宇都宮餃子」は、他の地域に比べて餡に白菜がたくさん使われており、野菜の甘みを強く感じるのが特徴。そのぶん肉やにんにくは少なめで、あっさりと食べ進められます。次は静岡県の「浜松餃子」。餡に玉ねぎが入っているのがポイントで、円形に並べた焼き餃子の中央に、茹でたもやしが付け合わせとして盛られています。さっぱりとした餃子本体と相まって、箸が止まらない味わいです。

焼売の独自変化

日本の焼売には、餃子に比べて地域的な特徴はありません。その代わり、「焼売といえばこの見た目」という共通イメージが根付いています。ちょこんと上に乗ったグリーンピースです。

今でこそ減ったものの、かつては焼売の上にグリーンピースを乗せるのが定番でした。これは昭和30年代、学校の給食に焼売が採用された際に登場したスタイルで、彩りをよくしたり、数を数えやすくしたりするためにグリーンピースをトッピングしたのが全国に広まり、定着したものだと言われています。

\次のページで「手軽に餃子や焼売を楽しもう」を解説!/

手軽に餃子や焼売を楽しもう

餃子や焼売は、飲食店でも家庭でも手軽に味わえるメニューです。お肉と野菜をひとくちで摂れるうえにおいしいとは、最高の食べ物ではないでしょうか。生姜入り、エビ入り、ニンニクなしなど、その日の気分にあわせて味わいをチョイスするのも楽しいですよ。

" /> 餃子と焼売には5つも違いがあった?形や調理法など外食好きライターが簡単にわかりやすく解説 – Study-Z
雑学食べ物・飲み物

餃子と焼売には5つも違いがあった?形や調理法など外食好きライターが簡単にわかりやすく解説

今回は「餃子」と「焼売」の違いを見ていきます。どちらも肉や野菜でできた餡を皮で包んであるから、形が違うだけで中身は同じ、なんて思っているやつもいるかもしれない。ですが餃子と焼売には、大きく分けて5つの違いがあったんです。そして、日本の餃子・焼売と本場中国のものも多くの点で異なっている。この先は外食好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

外食が大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

餃子と焼売の違いは?

image by iStockphoto

餃子と焼売の違いは、主に形状や皮、具材、調理法などにあります。ただし、それはあくまで日本における違い。私たちが日本で日常的に食べている餃子・焼売は、本場である中国から伝来した後に日本で独自に変化したものです。日本における5つの違いのほか、中国での餃子・焼売の様子も次から詳しく解説していきます。

日本の餃子と焼売の違い

image by iStockphoto

日本の餃子と焼売の違いは、大きく分けて形状、皮、餡の具材、調理法、日本への伝来の5点です。後ほど解説する本場の特徴との共通点も存在しながら、日本ならではのアレンジも随所に見られます。1つずつ確認していきましょう。

違い1.形状

1つ目の違いは形状です。餃子・焼売はどちらも餡を皮で包んだものですが、包み方により最終形状が大きく異なります。餃子は基本的に皮で完全に餡を包み、外からは餡が見えません。半月状に成型し、皮をとじる部分はひだを作るように折り込む場合も。一方の焼売は皮で餡を円柱状に包み、上部が空いた状態に成型します。

違い2.皮

2つ目の違いは皮です。餃子と焼売では、皮の形・厚みに差が見られます。餃子の皮は円形。日本の市販の皮では厚みが1mm程度、直径は9cm前後のものが主流です。

一方の焼売の皮は正方形で、市販品は一辺が8~9.5cmほど。厚みは0.5mm程度と、餃子の皮よりも薄いことが分かるでしょう。ちなみに皮の材料は餃子と焼売で違いはなく、強力粉・薄力粉・塩・水を練って作ります。

違い3.餡の具材

3つ目の違いは餡に使用する具材。販売店や家庭によりさまざまですが、一般的に餃子は野菜の比率が高く、焼売は肉の比率が高いのが特徴です。

餃子に使用する野菜はキャベツ、ニラ、ニンニクが主流で、好みや求める特徴によって、白菜や生姜、青じそなどを入れる場合も。そこに豚ひき肉と調味料を合わせて練れば、餃子の餡のできあがりです。焼売は豚ひき肉をメインに、玉ねぎと生姜、調味料を混ぜたものが餡になります。

\次のページで「違い4.調理法」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: