平安時代日本史

平安時代に庶民のあいだで大流行した「真言宗」とは?始祖の空海の人生と共に元大学教員が簡単にわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。真言宗って知っているか?身近に真言宗のお寺がある人もいるだろう。真言宗は平安時代、庶民のあいだで爆発的に大ヒット。一大ムーブメントとなった仏教の宗派のひとつだ。

どうして真言宗は庶民の支持を得られたのだろうか。始祖の空海の戦略なども含めて、日本史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ひこすけ

アメリカの文化と歴史を専門とする元大学教員。平安時代にも興味があり、気になることがあったら調べている。今回は平安時代に大流行した真言宗について調べてみた。

真言宗とはどんな宗教?

image by PIXTA / 49379174

真言宗とは、9世紀の初めに空海が開いた仏教の宗派。個人の救済だけでなく他人の救済に励むことの重要さを説いた大乗仏教のひとつです。教義の基になっているのが密教。即身成仏を信仰の究極の目的としました。

庶民を惹きつけた促身成仏の教え

即身成仏とは真言宗の教えの基本。仏と同じように行動して心を清く保つことで、誰でもすぐに仏になれるという教えです。しかしながら具体的にどう行動すればいいのか貴族たちも庶民も分からず、謎に包まれていました。

基本的な儀式は僧による加持祈祷。誰にも理解できない呪文を唱える神秘的で厳かな儀式です。それをするだけで現世利益があり、人は救われると考えられました。真言宗は現実世界に目に見える利益があるという教えなので、貴族のみならず一般庶民の間にも広がりました。

呪文を唱えるだけで救われるという教えは字の読めない庶民にとっても分かりやすいもの。難しい教義を覚える必要がないため、教育を受けていない者でも簡単に受け入れられました。そんな手軽さが密教つまり真言宗が大ヒットした理由と言えるでしょう。

インドの仏教をとりこんだ密教

密教は仏教のなかにバラモン教やインドの古い民間信仰をとりこんだもの。呪術性の高い信仰形態です。これまで日本で信じられていた一般仏教とは異なり神秘的で理解不能。それゆえ密教と呼ばれたのです。密教は奈良時代後期にはすでに日本に流入。それを真言宗として開いたのが空海でした。

「真言」というのは「まじないの言葉」という意味です。それまでの仏教は哲学のように難しい理論的な学問でした。一般庶民はとても近づくことが出来ないもの。それに対して密教の教えは理屈は分からなくてOK。まじないの言葉を唱えさえすれば、行動を清らかにしてさえいれば仏様になれるという、シンプルな教えなのです。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

真言宗とは「まじないで祈る仏教」ってところだ。もちろん正確な理論はとても難しい。だが、まじないを覚えれば大日如来おかげであらゆることが成就するのだから、庶民のあいだに広まったのは自然な流れだろう。

真言宗のはどんな特徴がある?

image by PIXTA / 14951723

真言宗には他の宗派には見られない大きな特徴があります。それが呪文を唱えるだけで救われる、そして信仰した結果が現世で実る、現世利益という考え方。それが当時の人々を惹きつけました。始祖の空海はビジネスセンスあふれるアイデアマン。秦氏とコラボして伏見稲荷を現在の場所に移し、テーマパーク兼アミューズメントエリアとしました。

\次のページで「真言宗は暗記力アップとして人気」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: