今回のテーマは夜空に輝くネオンがテーマです。

ネオンはみんな見たことがあるでしょう。夜、店の看板などで輝いているあれです。実はネオンも元素で、希ガスという特別な元素の仲間なんです。希ガスとは安定していて、化学反応しづらいのが特徴です。

というわけで今回はネオンについて学ぶ。解説は化学系科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

元素や原子、化学という言葉が好きな科学館職員。幼稚園児から小中学生、保護者と幅広い世代に科学を楽しんでほしいと実験の本を読み漁っている。基礎知識を求めて化学辞書を読むことも。学生時代は試験対策としてノートの書き写したり用語の確認を行っていた。

周期表から見る”ネオン”

image by PIXTA / 2359448

ネオンといえば、店の看板などに使われたネオンサインを思い浮かべる人が多いでしょう。ネオンは電気を通すと白熱球の5倍以上も明るく光るのです。ネオンサインは放電管という管にネオンを封入し電極を付けたネオン管で作ります。そんなネオンについて、まずは周期表から見ていきましょう。

元素記号:Ne
原子番号:10(第18族、希ガス)
原子量:20.180
融点:-248.6℃
沸点:-246.1℃
発見:1898年

ネオンは常温で無色無臭の気体で、単原子分子の一種です。単原子分子とは、1つの原子からできている分子のことをいいます。化学的に安定した元素でヘリウムやアルゴンなど希ガスの原子がこの単原子分子に当てはまるのです。

ちなみに単原子分子に対して2つの原子からできる二原子分子(水素、窒素、炭素など)、3つ以上の原子からできる多原子分子(水、二酸化炭素など)があります。

希ガスとはどんなガス?

希ガスとはどんなガス?

image by Study-Z編集部

ネオンは第18族、つまり希ガス元素です。希ガスにはネオンの他にヘリウム(He)アルゴン(Ar)クリプトン(Kr)キセノン(Xe)ラドン(Rn)オネガソ(Og)があります。

希ガスとは希少な、稀な気体という意味です。空気中での存在量が少なく分離しづらいことから名付けられました。また他の元素と反応しづらい高貴なガス、という意味で貴ガスとも言います。

なぜ希ガスは安定しているの?

なぜ希ガスは安定しているの?

image by Study-Z編集部

なぜネオンなどの希ガスは安定しているのでしょうか。そのポイントは電子配置です。原子は電子殻の電子を共有しあうことで分子を作ったり、また電子を受け取ったり失うことでイオンになります。電子配置とは電子が電子殻に入るときのルールのことです。原子は最外殻電子が8個の時に安定します。

\次のページで「電子殻と入る電子数」を解説!/

電子殻と入る電子数

電子殻と入る電子数

image by Study-Z編集部

ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、オネガソンはそれぞれ最外殻に8個入っています。ただし、第1周期のヘリウムはK殻にもともと2つしか電子が入りません。安定している希ガスは不活性ガスと呼ばれ、基本的に化合物を作らないので空気と触れさせたくない実験などの際に用いています。

電子殻とその名前

電子殻には原子ごとに決まった数の電子が入っています。第1周期の希ガス、Heの最外殻はK殻といい、そのあとは順にL、M、N殻と続くのです。

一番内側の電子殻がAではなくKなのはなぜ?と思う人もいるでしょう。それは電子殻の名前を付けるとき、もしかしたら内側にまだ電子殻があるかもしれない、と考えたためです。もし、本当に内側にまだ電子殻があればJ殻となっていたのでしょうね。

希ガスの仲間達

ここで希ガスの仲間を紹介します。

ドナルドダック効果とヘリウム

image by PIXTA / 73329806

無色、無臭の気体で空気よりも軽く不燃性の気体です。そのため、気球などの燃料に使われています。水素は火を近づけると爆発が起こるため、安定したヘリウムの方がずっと安全なのです。

またヘリウムガスは、声を変えるパーティーグッズとしても使われています。ヘリウムを吸うと声が甲高くなるからです。この現象は「ドナルドダック効果」と呼ばれています。なぜヘリウムを吸うと声の高さが変わるのでしょうか。これは音の速度が空気中よりもヘリウム中の方が速いためです。音の速さが速いと振動数が多くなり音が高くなります。

安定した怠け者アルゴン

image by PIXTA / 9162936

安定していて反応しづらいアルゴン。この名前の由来は「怠惰」「不活性な」という意味のギリシャ語です。アルゴンは窒素、酸素に続いて空気中に多く含まれています。

先ほどから何度も解説しているように、アルゴンガスは安定している物質です。そのため、食品の酸化防止や実験の際の不活性ガスとして活用されています。また、蛍光灯の中にもアルゴンガスが入っているのです。アルゴンは放電を一定に保つ役割をしています。

\次のページで「電球の中にクリプトン」を解説!/

電球の中にクリプトン

image by PIXTA / 65858131

ヘリウム、ネオン、アルゴンに比べるとなじみのないクリプトン。クリプトンという名前もギリシャ語で「隠れた」を意味しています。新しい、怠け者、隠れたと希ガスの名前の由来は面白ですね。

身近なところでクリプトンは、白熱電球のフィラメントを保護するために使われています。フィラメントとは、電球の光を発する電線のことです。ちなみにクリプトンガスを吸うと、ヘリウムと反対に声が低くなります

奇妙なものキセノン

またまたあまりなじみのない希ガス、キセノン。その名の由来もギリシャ語で「奇妙な」「なじみにくいもの」なのです。

キセノンもやはり照明に活用されています。その名もキセノンランプ。先ほど紹介した白熱電球は使っているとやがてフィラメントが蒸発(固体なので正しくは昇華)して切れてしまい、電球が切れてしまいます。一方キセノンランプはキセノンガスを充填したランプで、ガスの中で放電させることで発光させるのです。その他、キセノンは麻酔薬としても試験的にですが使われています。

ラドン&オネガソン

ラドンは強い放射能を持つ元素です。以前は癌治療などにも用いられていましたが取り扱いが難しいため現在は使われていません。オネガソンは2002年に発見された比較的新しい元素です。オネガソンの由来は核物理学者のユーリイ・オガネシアン。人の名前が由来となっています。希ガスでありながら非常に不安定であり、まだまだ未知のことが多い元素です。

ネオンの語源はNEO?ネオンの歴史

ネオンの語源はNEO?ネオンの歴史

image by Study-Z編集部

ネオンが発見されたのは1898年。ウィリアム・ラムゼーモーリス・トラバースが発見しました。ラムゼーが大気から窒素、酸素、アルゴンを取り除き、その残留物からクリプトン、キセノン、ネオンを得たのです。乾燥空気の割合を見ると、そのほとんどが窒素と酸素。このふたつだけで99%近くを占めています。そしてその残りとしてアルゴンや二酸化炭素が含まれているのです。

ちなみにラムゼーは1904年に希ガスの発見でノーベル化学賞を受賞しました。

新しい元素ネオン

ところでネオンという名前は何を意味しているにでしょうか。ネオンという名前の由来はギリシャ語の新しいを意味するneosです。一体ネオンの何が新しいのでしょう。ネオンが発見された当時、原子番号2番のヘリウム、そして18番のアルゴンはすでに発見されていました。周期律から未知の存在が予想されていたことから、新しい元素と名付けられたのです。

ネオンサインの発展

ネオン管は1910年にフランスのジョルジュ・クロードによって発明されました。クロードはもともと質の高い酸素を安く作る実験をしていて、その過程でネオンガスを充満した管に電気を流すことで発光することに気付いたのです。

2年後にパリで初めてのネオンサインが広告として使われました。理髪店の看板として使われたのです。その後、色鮮やかなネオンは世界中に広まり、夜の街を彩るようになりました。

\次のページで「ネオンサインの素はネオンだけじゃない?」を解説!/

ネオンサインの素はネオンだけじゃない?

ところで先ほどからネオンサイン、と呼んでいますが、実はネオンサインの中身はネオンだけではありません。赤や橙色のネオンサインの中身はネオンですが、他の色のネオンサインには放電管の中には他の物質も封入されているのです。

ヘリウムHe:黄色
アルゴンAr:赤・青・紫
水銀Hg:青緑
窒素N2:黄色

夜空に輝くネオンと、希ガスの仲間

ネオンは希ガスの一種で電気を通すと、光を放ちます。ネオンと共にほかの物質を封入することで、その色を変えることができるのです。

希ガスの仲間としてヘリウムやアルゴン、クリプトンがあげられます。希ガスは安定しているため、空気中の酸素とさせたくない実験や食品の保存などに使われているのです。アルゴン以降の希ガスはあまり聞きなじみがない人も多いでしょう。特にオネガソンはまだまだ分からないことの、多い未知な元素なのです。

" /> ネオンとはどんな元素?希ガスの種類やネオンの歴史も化学系科学館職員が簡単にわかりやすく解説 – ページ 3 – Study-Z
化学理科

ネオンとはどんな元素?希ガスの種類やネオンの歴史も化学系科学館職員が簡単にわかりやすく解説

電球の中にクリプトン

image by PIXTA / 65858131

ヘリウム、ネオン、アルゴンに比べるとなじみのないクリプトン。クリプトンという名前もギリシャ語で「隠れた」を意味しています。新しい、怠け者、隠れたと希ガスの名前の由来は面白ですね。

身近なところでクリプトンは、白熱電球のフィラメントを保護するために使われています。フィラメントとは、電球の光を発する電線のことです。ちなみにクリプトンガスを吸うと、ヘリウムと反対に声が低くなります

奇妙なものキセノン

またまたあまりなじみのない希ガス、キセノン。その名の由来もギリシャ語で「奇妙な」「なじみにくいもの」なのです。

キセノンもやはり照明に活用されています。その名もキセノンランプ。先ほど紹介した白熱電球は使っているとやがてフィラメントが蒸発(固体なので正しくは昇華)して切れてしまい、電球が切れてしまいます。一方キセノンランプはキセノンガスを充填したランプで、ガスの中で放電させることで発光させるのです。その他、キセノンは麻酔薬としても試験的にですが使われています。

ラドン&オネガソン

ラドンは強い放射能を持つ元素です。以前は癌治療などにも用いられていましたが取り扱いが難しいため現在は使われていません。オネガソンは2002年に発見された比較的新しい元素です。オネガソンの由来は核物理学者のユーリイ・オガネシアン。人の名前が由来となっています。希ガスでありながら非常に不安定であり、まだまだ未知のことが多い元素です。

ネオンの語源はNEO?ネオンの歴史

ネオンの語源はNEO?ネオンの歴史

image by Study-Z編集部

ネオンが発見されたのは1898年。ウィリアム・ラムゼーモーリス・トラバースが発見しました。ラムゼーが大気から窒素、酸素、アルゴンを取り除き、その残留物からクリプトン、キセノン、ネオンを得たのです。乾燥空気の割合を見ると、そのほとんどが窒素と酸素。このふたつだけで99%近くを占めています。そしてその残りとしてアルゴンや二酸化炭素が含まれているのです。

ちなみにラムゼーは1904年に希ガスの発見でノーベル化学賞を受賞しました。

新しい元素ネオン

ところでネオンという名前は何を意味しているにでしょうか。ネオンという名前の由来はギリシャ語の新しいを意味するneosです。一体ネオンの何が新しいのでしょう。ネオンが発見された当時、原子番号2番のヘリウム、そして18番のアルゴンはすでに発見されていました。周期律から未知の存在が予想されていたことから、新しい元素と名付けられたのです。

ネオンサインの発展

ネオン管は1910年にフランスのジョルジュ・クロードによって発明されました。クロードはもともと質の高い酸素を安く作る実験をしていて、その過程でネオンガスを充満した管に電気を流すことで発光することに気付いたのです。

2年後にパリで初めてのネオンサインが広告として使われました。理髪店の看板として使われたのです。その後、色鮮やかなネオンは世界中に広まり、夜の街を彩るようになりました。

\次のページで「ネオンサインの素はネオンだけじゃない?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: