この記事では体積と容積の違いについて踏み込んでいきます。どちらも物体の「かさ」を指し、物理量としても全く同じですが、ニュアンスや使用する単位に違いがあるようです。今回はこの2つのかさについて、工学系院卒ライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。体積や容積に苦手意識がある人にも興味を持ってもらえるよう、分かりやすくかつ楽しく解説していく。

体積と容積の違い

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物体の3次元的な量を表す体積。よく似た言葉に容積があります。両者の物理量は同一で科学的には区別されず、基本的な単位もほぼ同じですが、意味合いは少々異なっているのです。

体積の意味と求め方

体積物体が空間で占める大きさのことで、英語でvolumeです。中が詰まっている立体をイメージするとよいでしょう。そもそも「」には、 数や式などを掛け合わせて得た答えという意味があります。1次元の量を持つ長さ」を2回掛け合わせたものが、平面内で2次元の量を持つ面積」で、そこに高さ方向の「長さ」を掛けたものが、空間内で3次元の量を持つ体積」になるのです。

主な立体の体積の求め方を以下に示します。

立方体・直方体縦×横×高さ
柱体(円柱、三角柱、四角柱など):底面積×高さ
すい体(円すい、三角すい、四角すいなど):底面積×高さ÷3 
球体円周率π×半径の3乗×4÷3

容積の意味と求め方

容積容器の中いっぱいに入る物質の量、すなわち容量を指し、英語でcapacityです。厚みのない膜で作られた、中が空っぽの立体を想像するとよいでしょう。容積の物理量は体積と同一で、科学的に区別されることはほとんどありません。しかし実際の容器には「厚み」があり、これを考慮する場合は容積と体積で値が異なることがあります。

容積の計算に使うのは、容器の内側の長さ「内のり」です。立方体や直方体の容器の場合、「内のりの横」「内のりの縦」「内のりの高さ(または深さ)」を掛け合わせて容積を算出します。

\次のページで「体積と容積の基本的単位」を解説!/

体積と容積の基本的単位

体積と容積は基本的に同じ単位ですが、容積に関しては独自の単位L(リットル)も使います。それぞれの単位について解説しましょう。

体積の単位

体積の基本的な単位m3(立方メートル)です。単位の「立方」は数を3回掛け合わせることを意味します

国際単位系(SI単位系)で定められた長さの単位m(メートル)を基にしており、縦・横・高さがそれぞれ1mの立方体の体積1m3です。そのほか、cmで測れる大きさのものはcm3(立方センチメートル1m3の100万分の1)、kmの場合はkm3(立方キロメートル,1m3の10億倍)を使います。

ゲーム「Minecraft」には、1つのブロックの大きさが1m3という設定があります。

容積の単位

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容積の基本単位も体積と同じm3ですが、生活でよく使う量はcm3とm3の間が多いため、水などの液体や気体、粉状、粒状のものに対しては国際単位系ではないL(リットル)の併用も許されています

縦・横・高さがそれぞれ10cmの立方体の容積1Lです。小学校で習うdL(デシリットル,0.1L)は日常生活ではほぼ用いられず、代わりにmL(ミリリットル,0.001L=1cm3が使われます。牛乳の生産量など、規模の大きいものに用いられるのはkL(キロリットル,1000L=1m3です。

ccは立方センチメートルを意味するcubic centimetreの略称で、日本では特に自動車やバイクなどのエンジン排気量の単位として浸透していますが、国際単位系では使用を認められていません。そのためcm3やmLに置き換えられており、少しずつ姿を消しています。

容積の単位いろいろ

容器にどれだけ入るか」を把握するのは、人々の暮らしにおいてとても大事なことです。そのため、多くの国々で独自の単位が生まれ、発展していきました。代表的な例として、日本とアメリカ・イギリスの単位を紹介しましょう。

\次のページで「日本の単位(尺貫法)」を解説!/

日本の単位(尺貫法)

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日本では、古くからある尺貫法の単位が令和の今でもよく使われています。特になじみ深いのは、米や酒に用いる「」でしょう。1合は約180.39mL、米用の計量カップ1杯分で、ほかに合を使ったものとして、4合びん(720mL)や5合びん(900mL)などがあります。なお、日本の体積の単位は10倍ごとに変わるのが特徴です。

1升(しょう)=10合=1.8L
 一升瓶1本分。日本酒や焼酎、醤油などがこの単位で売られています。
1斗(と)=10升=18L
 一斗缶1個分。化学原料や塗料、業務用の油などがこの単位で売られています。灯油のポリタンクが18Lなのは、一斗缶で売られていたころの名残です。
1石(こく)=10斗=180L
 風呂約1杯分。豊臣秀吉の時代から明治の初めまで、土地の生産高を米の量で表すときに使っていました。1石は当時の大人1人が1年間に食べる量とされています。

このほか、合の10分の1量を示す勺(しゃく)がありますが、現在はあまり使われていません。

アメリカ・イギリスの単位(ヤード・ポンド法)

アメリカやイギリスで使われるのは、ガロン(gal)を基本とするヤード・ポンド法の単位です。しかしアメリカとイギリスで値が異なる上、単位が変わるのも10倍ごとではないため、非常にややこしくなっています。さらにアメリカでは、液体に使う「液量単位」と穀物などに使う「乾量単位」があり、両者の間にも違いがありますが、乾量単位の方は現在ほとんど使われていません。

アメリカ、イギリスそれぞれの単位を下に示します。なお、アメリカの単位は液量のものです。

1pt(パイント):(米)約473mL (英)568mL
 ビール1杯分。日本の中ジョッキより大きめです。
1qt(クォート):(米)約946mL=2pt (英)約1136mL=2pt
 約1Lで、液体の一般的な容量です。油や調味料、飲料などがこの単位で売られています。
1gal(ガロン):(米)約3.785L=4qt(英)約4.546L=4qt
 牛乳やジュース、アイスクリームなどがこの単位で売られています。

このほか、barrel(バレル)があります。石油用バレルは約159Lです。

体積は物体の大きさ、容積は容器に入る量

体積と容積は物理量としては同じですが意味合いが異なり、体積が空間に占める物体の大きさであるのに対し、容積は容器の中に入る量であることを解説しました。

体積・容積の問題は、立体のイメージがしづらかったり、単位が複雑だったりと、大人でも苦手意識を持つ人が少なくありません。しかし「この単位の大きさや量はこれくらい」と把握していると、実生活でも役に立ちます。たとえば「このリュックは容量〇Lだから、これぐらいのものが入るな」などと考えられるようになりますよ。

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3分で簡単にわかる「体積」と「容積」の違い!求め方や単位について工学系院卒ライターがわかりやすく解説!

この記事では体積と容積の違いについて踏み込んでいきます。どちらも物体の「かさ」を指し、物理量としても全く同じですが、ニュアンスや使用する単位に違いがあるようです。今回はこの2つのかさについて、工学系院卒ライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。体積や容積に苦手意識がある人にも興味を持ってもらえるよう、分かりやすくかつ楽しく解説していく。

体積と容積の違い

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物体の3次元的な量を表す体積。よく似た言葉に容積があります。両者の物理量は同一で科学的には区別されず、基本的な単位もほぼ同じですが、意味合いは少々異なっているのです。

体積の意味と求め方

体積物体が空間で占める大きさのことで、英語でvolumeです。中が詰まっている立体をイメージするとよいでしょう。そもそも「」には、 数や式などを掛け合わせて得た答えという意味があります。1次元の量を持つ長さ」を2回掛け合わせたものが、平面内で2次元の量を持つ面積」で、そこに高さ方向の「長さ」を掛けたものが、空間内で3次元の量を持つ体積」になるのです。

主な立体の体積の求め方を以下に示します。

立方体・直方体縦×横×高さ
柱体(円柱、三角柱、四角柱など):底面積×高さ
すい体(円すい、三角すい、四角すいなど):底面積×高さ÷3 
球体円周率π×半径の3乗×4÷3

容積の意味と求め方

容積容器の中いっぱいに入る物質の量、すなわち容量を指し、英語でcapacityです。厚みのない膜で作られた、中が空っぽの立体を想像するとよいでしょう。容積の物理量は体積と同一で、科学的に区別されることはほとんどありません。しかし実際の容器には「厚み」があり、これを考慮する場合は容積と体積で値が異なることがあります。

容積の計算に使うのは、容器の内側の長さ「内のり」です。立方体や直方体の容器の場合、「内のりの横」「内のりの縦」「内のりの高さ(または深さ)」を掛け合わせて容積を算出します。

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