今回は「豆もやし」と「もやし」の違いを見ていきます。どちらもスーパーで売っているのは見たことがあるでしょう。袋にたくさん入っているのに、価格は数十円程度と非常に手ごろな野菜です。この2つ、実は違う原料からできているのを知っているか?豆もやしの方は少し値が張るが、その理由もちゃんと存在する。この先は野菜好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

野菜が大好きな主婦ライター。1日に5種類以上の野菜を食べている。野菜料理のおいしいお店をリサーチすることが日課。

「豆もやし」と「もやし」の違いは?

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「豆もやし」と「もやし」の最も大きな違いは原料です。この原料の違いにより、スーパーで購入する際の価格や、もやし自体の栄養価に差が生まれています。実は「もやし」という名称は野菜の固有名詞ではなく、穀類や豆類の種子を暗いところで発芽・成長させたものの総称。知っているようで知らないもやしの種類や違いについて詳しく確認していきましょう。

違い1.原料

1つ目の違いは原料。スーパーで「もやし」と名のつく野菜は、大きく分けて3種類存在します。見た目はよく似ていますが、それぞれ違う豆から発芽・成長したもやしです。

もっともよく見かけるのは「緑豆もやし」。日本の流通量の約9割を占めているメジャーな種類で、一般的にもやしといえば緑豆もやしを指します。次に、西日本を中心に流通している「黒豆もやし」。「ブラックマッペもやし」とも呼ばれ、緑豆もやしに比べて少し細いのが特徴です。

そして「豆もやし」。大豆を発芽させたもので、粒の小さい大豆を使う場合は「小粒大豆もやし」、大粒を使う場合は「大粒大豆もやし」です。韓国料理のもやしナムルは、存在感のある大粒大豆もやしを使用します。緑豆・黒豆も「豆」であることから、厳密には全て豆もやしと呼ぶこともできますが、大豆がついているもやしを豆もやしと呼ぶのが一般的です。

違い2.価格

2つ目の違いは価格です。販売店によって異なるものの、豆もやしは1袋60~80円程度、もやしは20~40円程度と、およそ2~4倍の価格差。この価格の違いは原料原価の差によるものです。緑豆や黒豆よりも大豆の方が原料として高価なため、それがもやしとしての価格差にもつながります。

違い3.栄養価

3つ目の違いは栄養価です。もやしは、実はとても栄養豊富な野菜。カリウムやカルシウム、ビタミンC、葉酸、食物繊維、アルギニン酸など、多種多様な栄養素が含まれています

緑豆もやしと黒豆もやしには栄養面であまり違いがありませんが、豆もやしは先ほどのような栄養素が2倍前後も多く含まれています。さらにイソフラボンやサポニンも含まれているので、からだに嬉しい野菜といえますね。

「もやし」と「スプラウト」の違いは?

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豆類の種子を暗いところで発芽・成長させたものの総称である「もやし」。広義ではスプラウトの一種でもあります。この2つが仲間であるとは驚きですね。ただし栽培方法が明確に異なります。もやしとスプラウトの違いを確認していきましょう。

もやし:日光に当てずに育てたもの

もやしは、豆類を水につけて日光に当てずに発芽させます。そうすることで葉緑素が作られず、真っ白のまま成長。これは「軟化栽培」と呼ばれる栽培方法で、白くて柔らかい食感に育つのが特徴です。もやしの原料として使われる豆が特別に白くなるのではなく、植物は光に当たらなければおおむね白や黄色に育ちます。

スプラウト:日光に当てて育てたもの

一方のスプラウトは穀類、豆類、野菜の種子を人工的に発芽させた新芽野菜の総称です。広義の場合はもやしもスプラウトの一種といわれますが、一般的には日光を当てて育てるもの。よく耳にするスプラウトには、かいわれ大根(大根の新芽)や豆苗(エンドウ豆の新芽)、ブロッコリースプラウト(ブロッコリーの新芽)などがあります。

\次のページで「もやしはどうやってできる?」を解説!/

もやしはどうやってできる?

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改めて見ると不思議な形をしたもやし。いったいどうのようにしてできるのでしょうか。また、どれくらいの期間で成長するのでしょうか。もやし工場で採用されている一般的な栽培方法と、自宅でもできるもやしの育て方をそれぞれご紹介します。

もやしの一般的な栽培方法

もやし工場での栽培は、大きなコンテナの中で大量のもやしを発芽させる方法が一般的です。まずは原料となる豆をきれいに洗浄し、コンテナの中で温水に浸します。一度水を抜き、温度管理や給水を繰り返すことおよそ8日で、コンテナいっぱいのもやしのできあがりです。

その体積は、豆の時点に比べるとおよそ8倍。とても大きくなりますね。これを洗浄、袋詰めして、スーパーで見かけるもやしになります。

もやしは自宅でも栽培可能!

もやしは自宅でも育てることができます。用意するものは、もやし栽培用として売られている豆、口の広い大きめの瓶、ガーゼ、輪ゴム、アルミホイルの5点。次の手順で栽培します。

1. 豆を瓶に入れ、5倍以上の水に浸す。もやしが伸びることを考慮し、瓶の上側は半分ほど空間を空ける。瓶の口にガーゼを当て、輪ゴムで止める。
2. 水が濁ってきたら、1日2回を目安に新しい水に取り替える。ガーゼと輪ゴムはつけたまま、ガーゼを通して水を入れ替える(瓶を振って豆を洗うようにする)。
3. 3日目をめどに水が濁らなくなったら、しっかりと水を切り、瓶の周りをアルミホイルで覆う。光が入らないように完全に覆うのがポイント。
4. 1日2回を目安に水ですすぐ。光が入らない場所でアルミホイルを外し、ガーゼを通じて水を入れてすすぎ、またしっかり水を切って再びアルミホイルで覆う。
5. 4の手順を繰り返すと、8日目前後で5cmほどに伸び、収穫が可能となる。よく洗い、火を通して食べる。

もやしの人気レシピ

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もやしはお手頃な価格の上に味も良く、どんな料理にも使いやすい魅力的な食材です。今回は豆もやし・もやしを味わえる3種類のレシピをご紹介します。どれも短時間で簡単に作れるものばかり。ぜひ一度試してみてくださいね。

1.豆もやしのナムル

豆の食感が味わえる、おつまみにぴったりの一品です。

【材料】2人分
豆もやし…1袋
中華スープの素…小さじ1
ごま油…大さじ1
ニンニクのすりおろし…小さじ1
しょうゆ…小さじ1

【作り方】
1.豆もやしを多めのお湯で3分ほど茹でる。
(補足:豆もやしは豆の部分に火が通りにくいため、緑豆もやしに比べて長めに茹でる)
2.お湯を切り、豆もやしをボウルに入れてすべての調味料を和える。
3.しっかり味が混ざったら完成。

\次のページで「2.もやし炒め」を解説!/

2.もやし炒め

シャキシャキとした食感で、ごはんによく合うおかずです。

【材料】2人分
緑豆もやし(もしくは黒豆もやし)…1袋
ごま油…小さじ2
醤油…小さじ2
こしょう…少々
塩・砂糖…お好みで

【作り方】
1.フライパンにごま油を入れ、強火で温める。
2.強火のままもやしを入れ、あまり混ぜないようにしながら1分ほど炒める。
3.醤油を加え、さっと混ぜる。
4.味が物足りなければ、塩・砂糖をお好みで加える。
5.最後にこしょうをふり、さっと混ぜたら完成。

3.もやしと小松菜のスープ

手軽にできて彩りが美しいスープです。

【材料】2人分
緑豆もやし(もしくは黒豆もやし)…1/4袋
小松菜…150g
水…400㏄
中華スープの素…小さじ1と 1/2
塩…小さじ1/4
こしょう…少々

【作り方】
1.小松菜を食べやすい長さに切る
2.鍋に水と中華スープの素を入れて火にかけ、沸騰したらもやし・小松菜を入れて2分ほど煮る。
3.塩・こしょうを入れて完成。

もやしを使い分けて楽しもう

緑豆もやし、黒豆もやし、豆もやしの違い特徴をご紹介しました。もやしのシャキシャキ感を味わいたい場合は緑豆もやしを使ってさっと調理したり、しっかりした豆の風味と歯ごたえを感じたい場合は豆もやしを使ったりと、気分や味付けによってもやしを使い分けるのも楽しいですよ。ぜひたくさん活用してみてくださいね。

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雑学食べ物・飲み物

簡単でわかりやすい!「豆もやし」と「もやし」の違いとは?スプラウトとの違いやもやしの人気レシピも野菜好きライターが詳しく解説

今回は「豆もやし」と「もやし」の違いを見ていきます。どちらもスーパーで売っているのは見たことがあるでしょう。袋にたくさん入っているのに、価格は数十円程度と非常に手ごろな野菜です。この2つ、実は違う原料からできているのを知っているか?豆もやしの方は少し値が張るが、その理由もちゃんと存在する。この先は野菜好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

野菜が大好きな主婦ライター。1日に5種類以上の野菜を食べている。野菜料理のおいしいお店をリサーチすることが日課。

「豆もやし」と「もやし」の違いは?

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「豆もやし」と「もやし」の最も大きな違いは原料です。この原料の違いにより、スーパーで購入する際の価格や、もやし自体の栄養価に差が生まれています。実は「もやし」という名称は野菜の固有名詞ではなく、穀類や豆類の種子を暗いところで発芽・成長させたものの総称。知っているようで知らないもやしの種類や違いについて詳しく確認していきましょう。

違い1.原料

1つ目の違いは原料。スーパーで「もやし」と名のつく野菜は、大きく分けて3種類存在します。見た目はよく似ていますが、それぞれ違う豆から発芽・成長したもやしです。

もっともよく見かけるのは「緑豆もやし」。日本の流通量の約9割を占めているメジャーな種類で、一般的にもやしといえば緑豆もやしを指します。次に、西日本を中心に流通している「黒豆もやし」。「ブラックマッペもやし」とも呼ばれ、緑豆もやしに比べて少し細いのが特徴です。

そして「豆もやし」。大豆を発芽させたもので、粒の小さい大豆を使う場合は「小粒大豆もやし」、大粒を使う場合は「大粒大豆もやし」です。韓国料理のもやしナムルは、存在感のある大粒大豆もやしを使用します。緑豆・黒豆も「豆」であることから、厳密には全て豆もやしと呼ぶこともできますが、大豆がついているもやしを豆もやしと呼ぶのが一般的です。

違い2.価格

2つ目の違いは価格です。販売店によって異なるものの、豆もやしは1袋60~80円程度、もやしは20~40円程度と、およそ2~4倍の価格差。この価格の違いは原料原価の差によるものです。緑豆や黒豆よりも大豆の方が原料として高価なため、それがもやしとしての価格差にもつながります。

違い3.栄養価

3つ目の違いは栄養価です。もやしは、実はとても栄養豊富な野菜。カリウムやカルシウム、ビタミンC、葉酸、食物繊維、アルギニン酸など、多種多様な栄養素が含まれています

緑豆もやしと黒豆もやしには栄養面であまり違いがありませんが、豆もやしは先ほどのような栄養素が2倍前後も多く含まれています。さらにイソフラボンやサポニンも含まれているので、からだに嬉しい野菜といえますね。

「もやし」と「スプラウト」の違いは?

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豆類の種子を暗いところで発芽・成長させたものの総称である「もやし」。広義ではスプラウトの一種でもあります。この2つが仲間であるとは驚きですね。ただし栽培方法が明確に異なります。もやしとスプラウトの違いを確認していきましょう。

もやし:日光に当てずに育てたもの

もやしは、豆類を水につけて日光に当てずに発芽させます。そうすることで葉緑素が作られず、真っ白のまま成長。これは「軟化栽培」と呼ばれる栽培方法で、白くて柔らかい食感に育つのが特徴です。もやしの原料として使われる豆が特別に白くなるのではなく、植物は光に当たらなければおおむね白や黄色に育ちます。

スプラウト:日光に当てて育てたもの

一方のスプラウトは穀類、豆類、野菜の種子を人工的に発芽させた新芽野菜の総称です。広義の場合はもやしもスプラウトの一種といわれますが、一般的には日光を当てて育てるもの。よく耳にするスプラウトには、かいわれ大根(大根の新芽)や豆苗(エンドウ豆の新芽)、ブロッコリースプラウト(ブロッコリーの新芽)などがあります。

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