簡単でわかりやすい!阿呆と馬鹿の違いとは?語源やどっちが上かまで現役塾講師がわかりやすく解説
ライター/空野きのこ
大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。
阿呆と馬鹿のざっくりした違い
image by iStockphoto
まずは「阿呆」と「馬鹿」のおおまかな意味について説明したいと思います。「阿呆」と「馬鹿」はどちらも、愚かな人やもの、行為などを意味する言葉で、正直意味的には大きな違いはありません。しかし、「馬鹿」は主に関東圏で、「阿呆」は関西圏で、相手をののしるというより、親しい間柄における気軽なツッコミ言葉などとしても使われることが多いという違いがあります。
阿呆と馬鹿の語源
「阿呆」と「馬鹿」は、どちらも愚かな人やもの、行為などを意味する言葉であることを説明しましたが、ここからはそれぞれの言葉の理解を深めるために、その語源について着目して説明したいと思います。
「阿房」は宮殿の名前が語源?
image by iStockphoto
まずは「あほ(あほう)」の語源を紹介しましょう。「あほ」の漢字表記といえば「阿呆」を思い浮かべる方が多いかと思いますが、「阿房」と書かれることもあるのです。そして、この「阿房」という言葉は古代中国の宮殿の名前「阿房宮(あぼうきゅう)」が由来ではないかと言われています。阿房宮は秦の始皇帝の時代に建設が進められたのですが、その宮殿は皇帝の力や権威を示すため、東西約700m、南北約120mほどもある非常に巨大なものでした。
この阿房宮はやがて項羽という人物によって焼かれたのですが、建物が全焼するまで3カ月もかかり、あきれるくらい馬鹿でかい建物だということから、あきれたり馬鹿げたことに対して「阿房」というようになり、それが「あほ」になったというのが一番多く語られる説です。また、このような大きな建物を建てたことで財政難におちいり、国が滅びたところから生まれたという説もあります。
こちらの記事もおすすめ
3分で簡単「秦の始皇帝」なぜ万里の長城を建設した?初めて中華を統一した皇帝を歴史オタクがわかりやすく解説
「阿呆」は中国の方言?
つづいて、「阿呆」という字にまつわる語源について説明しましょう。 中国の江南地方には「まぬけ」や「馬鹿」を意味する言葉で「阿呆(アタイまたはアータイ)」という言葉があり、これを禅僧が日本に伝え、その過程で発音も「アタイ」→「あはう」→「あほう」と変化したのではないかという説があります。
また、違った説も紹介しますね。「あほ」の漢字表記について近代以降は「阿呆」の方が多いものの、それ以前は「阿房」と書かれていることが多いのです。ですので、さきほど紹介した「阿房」に、「ぼんやりすること」や「あきれる」や「おろか」などの意味を持つ「呆」という字をあてたのではないかという説もあります。ここまで説明した語源の説の中では、阿房宮を燃やした逸話を語源とした説が語られることが一番多いですが、決定的な証拠となるものはないので、残念ながら正確な語源ははっきりしていません。
こちらの記事もおすすめ
【慣用句】「阿呆の一つ覚え」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!
\次のページで「「ばか」の語源はサンスクリット語?」を解説!/