この記事ではCSとスカパーの違いについて掘り下げていきます。といっても実は明確な違いがなく、日本で提供されている唯一のCS放送サービスがスカパーであるようです。今回はCS放送を含む衛星放送の特徴や、スカパーのサービスの種類について、学生時分からスカパーを視聴している工学院卒ライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。四半世紀近くスカパーを視聴している経験を活かし、CSとスカパーの違いについて解説していく。

衛星放送の種類と特徴

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ドラマやアニメ、音楽にスポーツと、さまざまな分野の専門チャンネルを数多く提供してくれる衛星放送のCS。同じ衛星放送サービスとしてスカパーがありますが、両者の違いに踏み込む前に、まずは衛星放送がどういうものかを解説しましょう。

衛星放送とは

衛星放送は、赤道上空約36,000kmの静止軌道にある静止衛星を介し、電波を送るものです。まず地上から静止衛星に電波を送信アップリンク、衛星で異なる周波数に変換した後、地上に向けて再送信ダウンリンク)して、各家庭に届けます。アンテナは皿状のパラボラアンテナです。

静止衛星は地球の約1/3の範囲をカバーできるため、広範囲での受信が可能です。地形や建物による影響は地上波放送より少ないですが、地上波のアンテナと比べパラボラアンテナは角度の調節が非常に厳しいため、周囲の状況によっては受信できないことも。また、大雨や雷、大雪などの荒天時に電波が弱くなる傾向にあります。

衛星放送はBS放送とCS放送の2つありますが、その違いは使用している人工衛星です

一方、地上波放送(または地上放送)は、地上にある放送局から送られた電波を、同じく地上にある送信所を介して各家庭のアンテナで受信するものです。送信所から離れると電波が弱くなるため、受信可能な地域は送信所の近くに限られ、また地形や建物の影響により受信障害が発生することがあります。

BS放送とは

BS放送放送衛星(Broadcasting Satellite)を利用するものです。放送衛星は衛星放送専用に設計・製作されています。電波の出力が大きいことから、小型のアンテナでも受信することができ、直接放送衛星Direct Broadcast Satellite)とも呼ばれます。現在運用されているのは、東経110°にある衛星です。

地上波同様、2011年7月24日にデジタルに完全移行しています。

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CS放送とは

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CS放送は通信衛星(Communications Satellite)を使っています。通信衛星は、無線通信を目的としたもので、前述の放送衛星も通信衛星の1つです

以前日本では、不特定多数に向けた発信を「放送」、特定の受信者を対象とした発信を「通信」とし、厳密に区別していました。そのため用いる人工衛星もそれぞれ専用のものを使用し、通信衛星を使った放送は主に企業や事業者に発信されていたのです。しかし1989年に放送法が改正されたことで、企業向けだった通信衛星の放送を一般視聴者にも発信できるようになり、1996年日本初のCSデジタル放送「パーフェクTV!」が始まりました。

通信衛星は放送衛星に比べて電波の出力が小さく、CS放送開始当初はBS放送よりも大きなアンテナが必要でしたが、現在では小型のアンテナも登場しています。

CSとスカパーの違いは

スカパーは感嘆詞「!」が付くスカパー!が正式名称ですスカパーJSAT株式会社が運営する有料多チャンネル放送サービスのブランド名であり、サービスの1つである東経110度CSデジタル放送のことでもあります。

かつて日本には、ディレクTVなど複数のCS放送サービスがありました。しかし撤退や再編、統合が繰り返された結果、テレビ放送に関してはスカパー!が日本で唯一のCS放送となっています。そのため、日本においては「CS放送=スカパー!」としても差し支えはないでしょう

スカパー!の種類

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スカパー!の魅力は豊富なチャンネル数で、チャンネルごとに契約するほかにも、さまざまなパックやセットが選べます。プロモーションや通販のチャンネルを除きほとんどが有料ですが、「スカパー!無料の日」と銘打たれた毎月第1日曜日は多数のチャンネルを無料で視聴でき、録画も可能です。

スカパーJSATが現在提供しているのは、110°CSデジタル放送「スカパー124/128°CSデジタル放送「スカパー!プレミアムサービス」、光回線を利用した「スカパー!プレミアムサービス光」です。

以降、ブランド名としてはかぎかっこなしのスカパー!、110°CSとしては「スカパー!」と表記します。

110°CS放送「スカパー!」

東経110°にある通信衛星を使ったCSデジタル放送ですBS放送の衛星も同じ東経110°にあることから、BSと110°CS両方に対応したアンテナがあればどちらも受信できます。最近のテレビやレコーダーにはBS/110°CSチューナー内蔵のものも多く、この場合アンテナを設置するだけで視聴できますが、契約はBS・CSそれぞれに行わなくてはなりません。

また、エリアは限定されますが、光回線を利用中かつ光回線テレビの契約をしていれば、アンテナを設置しなくても視聴が可能です。

2023年2月現在、テレビチャンネルが約80あります。ラジオチャンネルはありません。

もとは「プラット・ワン」というCS放送サービスでしたが、スカパーJSATの前身会社と合併し、「スカイパーフェクTV!2」→「スカイパーフェクTV!110」→「e2 by スカパー!」→「スカパー!e2」→「スカパー!」と変遷しています。

\次のページで「124/128°CS放送「スカパー!プレミアムサービス」」を解説!/

124/128°CS放送「スカパー!プレミアムサービス」

東経124°および128°にある通信衛星を使っています。こちらがもともとのスカパー!で、128°CS放送「パーフェクTV!」が124°CS放送「JスカイB」と合併し、1998年に「スカイパーフェクTV!」になったのが始まりでした。

110°CS「スカパー!」に比べ、チャンネル数の多さと専門性の高さ、テレビの全チャンネルがハイビジョン画質であるのが大きな魅力です。2023年2月現在、約140のテレビチャンネル100のラジオチャンネルがあります。

視聴には専用アンテナと専用チューナーが必要ですが、アンテナに関しては124/128°CSのみならずBS/110°CS、4K8K衛星放送にも対応しているマルチアンテナがあり、1つのアンテナですべての衛星放送が受信可能です。

光放送「スカパー!プレミアムサービス光」

こちらも衛星ではなく光回線を使うものです。光回線テレビの契約および専用チューナーが必要になりますが、現在は衛星/光どちらのプレミアムサービスに対応しているチューナーがあります。チャンネル数はプレミアムサービスとほぼ同じでテレビチャンネルが約140ラジオチャンネルが100です。

「BSスカパー!」BS放送およびスカパー!のチャンネルで、スカパー! 契約者は無料で視聴できました。音楽ライブやスポーツのほか、チャンネル独自の番組を提供していましたが、2022年10月に放送を終了し、閉局しています。

日本においては「CS=スカパー!」

スカパー!が日本で唯一のCS放送であることのほかにも、スカパー!が提供するサービスについて解説しました。

今ほどネット環境が充実していない1999年、地上波放送にめったに出ないアーティストを見たいがために、筆者はスカパー!に加入しました。音楽専門チャンネルを片っ端から契約し、懸命に撮りだめた番組やPVは今でも手元に残っています。配信が主流になった現在でも、スカパー!は地上波ではしないような専門的なチャンネルを提供し、私たちを楽しませてくれるのです。

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雑学

簡単にわかるCSとスカパーの違い!110度CSやプレミアムサービスについても工学院卒ライターがわかりやすく解説!

この記事ではCSとスカパーの違いについて掘り下げていきます。といっても実は明確な違いがなく、日本で提供されている唯一のCS放送サービスがスカパーであるようです。今回はCS放送を含む衛星放送の特徴や、スカパーのサービスの種類について、学生時分からスカパーを視聴している工学院卒ライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。四半世紀近くスカパーを視聴している経験を活かし、CSとスカパーの違いについて解説していく。

衛星放送の種類と特徴

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ドラマやアニメ、音楽にスポーツと、さまざまな分野の専門チャンネルを数多く提供してくれる衛星放送のCS。同じ衛星放送サービスとしてスカパーがありますが、両者の違いに踏み込む前に、まずは衛星放送がどういうものかを解説しましょう。

衛星放送とは

衛星放送は、赤道上空約36,000kmの静止軌道にある静止衛星を介し、電波を送るものです。まず地上から静止衛星に電波を送信アップリンク、衛星で異なる周波数に変換した後、地上に向けて再送信ダウンリンク)して、各家庭に届けます。アンテナは皿状のパラボラアンテナです。

静止衛星は地球の約1/3の範囲をカバーできるため、広範囲での受信が可能です。地形や建物による影響は地上波放送より少ないですが、地上波のアンテナと比べパラボラアンテナは角度の調節が非常に厳しいため、周囲の状況によっては受信できないことも。また、大雨や雷、大雪などの荒天時に電波が弱くなる傾向にあります。

衛星放送はBS放送とCS放送の2つありますが、その違いは使用している人工衛星です

一方、地上波放送(または地上放送)は、地上にある放送局から送られた電波を、同じく地上にある送信所を介して各家庭のアンテナで受信するものです。送信所から離れると電波が弱くなるため、受信可能な地域は送信所の近くに限られ、また地形や建物の影響により受信障害が発生することがあります。

BS放送とは

BS放送放送衛星(Broadcasting Satellite)を利用するものです。放送衛星は衛星放送専用に設計・製作されています。電波の出力が大きいことから、小型のアンテナでも受信することができ、直接放送衛星Direct Broadcast Satellite)とも呼ばれます。現在運用されているのは、東経110°にある衛星です。

地上波同様、2011年7月24日にデジタルに完全移行しています。

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