今回は「陶器」と「陶磁器」の違いを見ていきます。この2つ、まったく同じ意味を指すと思っているやつも多いんじゃないか。ですがそれは違う。結論から言うと、陶器は陶磁器の一種です。陶器、それに磁器(じき)という焼き物があり、この2つをまとめて陶磁器と呼ぶ。有名な産地も多いから、どれか1つくらいは聞いたこともあるでしょう。この先は雑学好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。食事のおいしさは盛り付けや食器にも宿っていると気づき、陶磁器に興味を持ちはじめた。

陶器と陶磁器の違いとは?

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お皿や鉢、壺など、様々な種類と産地がある「焼き物」。それを指す言葉として「陶器」や「陶磁器」がありますね。その違いは焼き物の一種か総称か。陶器は焼き物の一種で、同じように「磁器」という種類も存在します。陶磁器は、この陶器と磁器を合わせて呼ぶときの名称です。

陶磁器は、いずれも粘土などの材料を成型して様々な工程を経てから焼き上げたもの。種類によって使用する材料や工程、焼成に違いがあります。次から陶器と磁器の違いについて詳しく見ていきましょう。

陶器とは?

陶器は、磁器と比べると厚みがあり、素朴な雰囲気が感じられます。陶器の代表格である土鍋を想像すると分かりやすいかもしれませんね。その風合いは使用する材料によってもたらされるもの。陶器と磁器はともに「長石(ちょうせき)」・「珪石(珪石)」・「粘土(ねんど)」と呼ばれる3種類の材料から成り立っており、その割合が変わることで風合いや性質に差が出ます。

陶器は、長石:珪石:粘土をおおむね1:4:5で混合。粘土の割合が多いことで素地に色が付いて素朴な印象となり、また同時に目に見えない無数の穴が発生することで、その空気の層によって熱いものを入れても器の外に熱が伝わりにくい性質になります。

磁器とは?

磁器は、長石:珪石:粘土を3:4:3で混合します。長石と珪石はガラスの材料となるもの。その割合が多いことで、焼成の間にガラス成分が溶けだしてがっちりと固まった頑丈な焼き物に仕上がります。ガラス成分をしっかり溶かすため、磁器は1200~1400℃という超高温での焼成が必要です。

また、粘土の割合が少ないぶん穴も多くないため、空気の層ができずに熱が伝わりやすく、熱いものを入れた磁器はとても持てません。ですから、磁器の代表格であるティーカップなどは取っ手がついているのですね。

陶器と磁器の見分け方

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陶器と磁器の違いは材料と焼成温度にあることが分かりました。では、完成したこの2種類の焼き物はどう見分けたらよいのでしょうか?ここでは、陶器と磁器を見分ける3つのポイントをご紹介します。ご自宅にある焼き物で試してみてくださいね。

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1.たたいたときの音

1つ目のポイントは音。陶器と磁器では、たたいたときの音に違いがでます。これは厚みやガラス成分の量の違いによるもの。指先で弾くようにして優しくたたくと、陶器は鈍く響きのない音がし、磁器はキン、と金属のような澄んだ音がします

2.光にかざしたときの透光性

2つ目のポイントは透光性。陶器と磁器では、光にかざしたときの透け具合に差が出ます。これも厚みとガラス成分の量の違いによるものです。陶器は全く光が透けない一方、薄くてガラス質の磁器は、持っている手の影が透けて見えるはず。この違いは一目瞭然です。

3.高台の色と質感

3つ目のポイントは高台の色です。高台とは、器の本体の下についている台の部分のこと。その台がテーブルに接する面を確認してください。この部分は、釉薬(うわぐすり)と呼ばれる色付けの素材がかかっていないため、素地の色を見ることができます。ここが茶色やベージュのような土を感じる色合いで、手触りがざらざらとしていれば陶器。白に近い色で、すべすべしていれば磁器です。

陶器と磁器のお手入れ方法は?

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陶器と磁器は異なる性質をもつため、それぞれに合ったお手入れ方法が必要となります。また、使い方にも注意すればより長く愛用することができますので、陶器・磁器の性質に適した扱い方を理解して大切に使いましょう。

陶器のお手入れ方法

陶器には目に見えない小さな穴が空いているため、その穴に水がしみ込んで傷んだり、においが付着する原因になります。そこで、初めて使う時には「目止め」の処理がおすすめ。米のとぎ汁に浸して30分ほど弱火で煮込むと、陶器に穴に米の成分が入り込み、蓋代わりになって傷みを防いでくれます。

目止めが面倒な場合は、使用前に30分ほど水に浸しておくだけでも調味料やにおいのしみ込みが軽減されますよ。使用後はすぐに洗い、しっかり乾かしてから収納しましょう。

磁器のお手入れ方法

磁器は陶器に比べて穴の数が少ないので、水分やにおいのしみ込みは少なめ。ですが全く心配ないわけではありません。使用後にすぐ洗ったり、よく乾かしたりする必要があるのは陶器と同じです。また、磁器は急激な温度変化に弱いため、熱くなった磁器に急に冷水をかけると割れることがあります。洗う際はしばらく冷ますか、ぬるま湯ですすぐようにするのがいいでしょう。

\次のページで「日本の代表的な陶磁器の産地」を解説!/

日本の代表的な陶磁器の産地

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日本各地には有名な陶磁器の産地が数多く存在します。その数、なんと150以上。発祥や歴史はさまざまですが、今回は特に歴史の深い「日本六古窯(にほんろっこよう)」を北から順にご紹介します。日本六古窯は長い歴史を誇る代表的な6つの産地で、日本遺産に指定されています。

1.福井県:越前焼(えちぜんやき)

1つ目は、福井県丹生郡越前町で生産される「越前焼」で、発祥は平安時代末期と考えられています。材料となる土には鉄分が多く含まれ、釉薬のかかっていない部分は黒灰色から赤褐色に。土の風合いをいかした温かな雰囲気が魅力です。非常に頑丈な焼き物で、食器以外に甕や壺などの日常の道具が作られたといいます。

2.愛知県:瀬戸焼(せとやき)

2つ目は、愛知県瀬戸市を中心として生産される瀬戸焼です。「瀬戸もの」とも呼ばれ、いつの頃からか「瀬戸もの」は陶磁器全般を指す言葉として定着しました。様々な種類の焼き物が焼かれ、食器や装飾品、建築用材、車の部品に至るまで、現在でも幅広い活用がされています。

3.愛知県:常滑焼(とこなめやき)

3つ目は、愛知県常滑市を中心として生産される常滑焼で、日本六古窯で最大の産地です。代表的なのが「朱泥」と呼ばれる赤茶色の急須。この色は土に含まれる鉄分からくるもので、それを均一に表現しています。また、2012年12月に復元工事が終了した東京駅の丸の内駅舎には、赤レンガの様相を再現するために常滑焼のタイルが使用されています

\次のページで「4.滋賀県:信楽焼(しがらきやき)」を解説!/

4.滋賀県:信楽焼(しがらきやき)

4つ目は、滋賀県甲賀市信楽を中心に生産される信楽焼です。古くは鉢や亀、土瓶、火鉢、そして近代では建築用材も製造されています。もっとも有名なのは狸の置物ですが、その歴史はまだ浅く、明治期に作られたのが初め。そして昭和26年に昭和天皇が行幸された際、沿道に並べられた狸の置物に興味を持たれ、後に作られた詩で全国に知れ渡ったといわれています。

5.兵庫県:丹波焼(たんばやき)

5つ目は、兵庫県丹波篠山市今田地区を中心に生産される丹波焼で、丹波立杭焼(たんばたちくいやき)とも呼ばれます。窯で長時間焼かれるため、窯の中で降りかかった灰が独特の色合いや模様をもたらし、同じものが二度とできないのが魅力。昭和期には、丹波焼が民芸品として高い評価を得ました。

6.岡山県:備前焼(びぜんやき)

6つ目は、岡山県備前市周辺で生産される備前焼です。備前焼は釉薬を使用せず、絵付けも行わないためとてもシンプル。そのぶん使い込むほどに味が出るといわれる焼き物です。「ひよせ」と呼ばれる地下から掘り出す粘土と、山土や黒土をブレンドすることで、特徴的な茶褐色の素地が生まれます。

味わい深い焼き物の世界を楽しもう

古くから受け継がれ、現代にも様々な表情を残す陶磁器。日本各地で特徴的な焼き物も多いうえ、海外にも著名な産地やブランドがあり、楽しみ方が多いアイテムです。自分のお気に入りの陶磁器で食卓を彩るのは楽しいもの。お出かけや旅行の際には陶磁器のショップを覗き、心惹かれる一品を購入してみてはいかがでしょうか。

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簡単でわかりやすい!陶器と陶磁器の違いとは?見分け方や陶磁器の代表産地も雑学好きライターが詳しく解説

今回は「陶器」と「陶磁器」の違いを見ていきます。この2つ、まったく同じ意味を指すと思っているやつも多いんじゃないか。ですがそれは違う。結論から言うと、陶器は陶磁器の一種です。陶器、それに磁器(じき)という焼き物があり、この2つをまとめて陶磁器と呼ぶ。有名な産地も多いから、どれか1つくらいは聞いたこともあるでしょう。この先は雑学好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。食事のおいしさは盛り付けや食器にも宿っていると気づき、陶磁器に興味を持ちはじめた。

陶器と陶磁器の違いとは?

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お皿や鉢、壺など、様々な種類と産地がある「焼き物」。それを指す言葉として「陶器」や「陶磁器」がありますね。その違いは焼き物の一種か総称か。陶器は焼き物の一種で、同じように「磁器」という種類も存在します。陶磁器は、この陶器と磁器を合わせて呼ぶときの名称です。

陶磁器は、いずれも粘土などの材料を成型して様々な工程を経てから焼き上げたもの。種類によって使用する材料や工程、焼成に違いがあります。次から陶器と磁器の違いについて詳しく見ていきましょう。

陶器とは?

陶器は、磁器と比べると厚みがあり、素朴な雰囲気が感じられます。陶器の代表格である土鍋を想像すると分かりやすいかもしれませんね。その風合いは使用する材料によってもたらされるもの。陶器と磁器はともに「長石(ちょうせき)」・「珪石(珪石)」・「粘土(ねんど)」と呼ばれる3種類の材料から成り立っており、その割合が変わることで風合いや性質に差が出ます。

陶器は、長石:珪石:粘土をおおむね1:4:5で混合。粘土の割合が多いことで素地に色が付いて素朴な印象となり、また同時に目に見えない無数の穴が発生することで、その空気の層によって熱いものを入れても器の外に熱が伝わりにくい性質になります。

磁器とは?

磁器は、長石:珪石:粘土を3:4:3で混合します。長石と珪石はガラスの材料となるもの。その割合が多いことで、焼成の間にガラス成分が溶けだしてがっちりと固まった頑丈な焼き物に仕上がります。ガラス成分をしっかり溶かすため、磁器は1200~1400℃という超高温での焼成が必要です。

また、粘土の割合が少ないぶん穴も多くないため、空気の層ができずに熱が伝わりやすく、熱いものを入れた磁器はとても持てません。ですから、磁器の代表格であるティーカップなどは取っ手がついているのですね。

陶器と磁器の見分け方

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陶器と磁器の違いは材料と焼成温度にあることが分かりました。では、完成したこの2種類の焼き物はどう見分けたらよいのでしょうか?ここでは、陶器と磁器を見分ける3つのポイントをご紹介します。ご自宅にある焼き物で試してみてくださいね。

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