この記事ではレーヨンとポリエステルの違いについてみていきます。この2つはどちらも化学繊維(化繊)の一種。しかしレーヨンとポリエステルとでは、素材が大きく違うぞ!レーヨンはなんと、天然由来の化学繊維なんです。今回はそんな人工の繊維の違いを、性質や用途も含めて高校・大学と理系一筋のライター2scと一緒に解説していきます。

ライター/2sc

理系の大学院に通うかたわら、ライターとして活動。技術から生活までさまざまな知識を、科学の視点で解説する。この記事では化繊の一種である、レーヨンとポリエステルの違いについてわかりやすく解説していく。

レーヨンとポリエステルを大まかに比較

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レーヨンとポリエステルはどちらも「化学繊維」の仲間。ここではまず、化学繊維の定義と種類について説明します。レーヨン・ポリエステルの大まかな違いを、その定義からみていきましょう。

「人工の繊維」はすべて化学繊維

化学繊維(人造繊維)は、人の手によって作られた繊維素材です。天然繊維以外の繊維は、すべて化学繊維。その材料は石油だけに限られません。化学繊維のなかには、ガラスや牛乳に由来するものもあるのです。ですが多様な化学繊維のなかで、衣類に用いられるものはごくわずか。それが以下紹介する、再生繊維と合成繊維です。

レーヨンなどの再生繊維

草木の破片・綿くずなどの天然繊維(パルプ)は一度薬品に溶かすことで、一本の糸へと生まれ変わります。これは「再生繊維」という、化学繊維の一種。代表的なものとして、レーヨン・キュプラ・リヨセルの3つが挙げられます。この3つはすべて、綿や麻と同じセルロース繊維。その性質も植物繊維そっくりです。

ポリエステルなどの合成繊維

一方多くの人が想像する化学繊維は、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維でしょう。こちらは化学反応によって、石油由来の小さな分子から合成されます。そんな合成繊維は、天然繊維とは全くの別物。その種類ごとに、特有の機能をもち合わせているのです。

この記事で紹介するのは「ポリエステル」とよばれる合成繊維の一大グループ。なかでも主流のポリエチレンテレフタラート(PET)に焦点を当てて解説していきます。

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レーヨンとポリエステルの具体的な違い

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レーヨンとポリエステルとでは、製法・原材料が異なります。よって両者には、大きく4つの違いが存在するのです。以下レーヨンとポリエステルの、性質・用途について掘り下げていきます。

違い1.見た目や質感

レーヨンは絹に似た、上質な光沢となめらかな手触りをもつ繊維。その生地にはゆったりとした、たるみ(ドレープ感)がみられます。またレーヨンの生地は染色との相性も抜群。しばしば鮮やかな柄がプリントされます。

それに比べてポリエステルは地味。その生地は光沢・手触りこそレーヨンに似ますが、ドレープ感がありません。こちらはより強い弾力をもつのです。さらに染料が定着しづらく、柄物には向きません。

違い2.耐久性と扱い方

紙と同じパルプから作られるレーヨンは、非常にデリケートな繊維です。その弱点は、紙同様に水。レーヨンは一度水に濡れただけで、劣化します。繊維の強度が下がり、縮み・シワが生じてしまうのです。加えて濡れた箇所は、乾いた後も「水染み」として目立ちます。よって自宅での洗濯は、原則おすすめしません。やむを得ない場合は、「手洗い」をしましょう。

対してポリエステルは耐摩耗性にすぐれた、タフな繊維。その性質はプラスチックと同様です。よって縮みやシワ、型崩れの心配はありません。さらに水を吸わないポリエステルは、繰り返しの洗濯にも耐えます。カビや虫を寄せ付けないため、保管も簡単です。そんなポリエステルがもつ、唯一の弱点は熱。ラフなアイロンがけは、生地の「テカり」のもとです。ポリエステル製品には「当て布」をして、低温でアイロンをかけましょう。

違い3.その他の特徴

レーヨンは、耐久性こそありませんが、肌にやさしい素材です。ポリエステルなど多くの化学繊維と異なり、レーヨンは帯電しにくい繊維。冬場の静電気とは無縁です。さらにレーヨンの生地は水分をよく吸うため、夏場でも蒸れません。また化学繊維でありながら、環境にやさしいのも長所。植物由来のレーヨンは生分解性をもち、土に還るのです。

一方ポリエステルには、丈夫さゆえの弱点があります。それは毛玉がつきやすいという点。一度毛羽立ったポリエステルの繊維は、切れることなく頑固な毛玉となってしまいます。またポリエステルには、生分解性がありません。洗濯機から放たれた糸くずは、「マイクロプラスチック」として自然界にとどまり続けるのです。

違い4.用いられる衣服

触り心地のよいレーヨンはパジャマなど肌着や、スーツの裏地に適した素材。レーヨン生地は汗をよく吸い、静電気を抑えてくれます。そして丈夫なポリエステルは、スポーツウェアや仕事服にうってつけ。インナーやシャツ、ズボン、防寒着など幅広い用途に適します。

\次のページで「より身近なポリエステル」を解説!/

より身近なポリエステル

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ポリエステルはレーヨンなど他の化学繊維にくらべ、より幅広い用途に適します。ここではそんなポリエステルの、個性豊かな用途について解説。身近な化学繊維、ポリエステルについて理解を深めていきましょう!

保温性にすぐれた「フリース」

冬に活躍する「フリース」は、ポリエステルからなる起毛素材。天然のウールと並んで、高い保温性をもちます。このフリースはもともと、登山向けの衣服に用いられていました。フリースはポリエステルなのに、通気性も抜群。汗で蒸れることはなく、すぐに乾いてくれます。さらに軽量かつ安価であるため、スポーツウェアの素材にうってつけなのです。

今や街着にも多用されているフリースですが、弱点が2つ存在します。まずひとつは静電気を生じやすいという点です。ダウンジャケットなど、ナイロン製品と組み合わせると静電気が生じます。そしてフリースのもうひとつの弱点は火。生地の表面は毛羽から引火すると、一瞬で燃え上がります。ガスコンロのそばでは、フリースの服を着てはいけません。

耐久性にすぐれた「T/Cツイル」

ポリエステルは綿と組み合わせると、より丈夫な「T/Cツイル」となります。具体的にT/Cツイルとは、ポリエステルと綿の混紡糸を綾織りにしたもの。ポリエステル由来のシワ・縮みの起きにくさに加えて、綿由来の通気性と耐火性を兼ね備えています。そんなT/Cツイルが用いられるのは、ワークパンツやテント。T/Cツイルはあらゆる状況に耐えるタフな素材なのです。

レーヨンは植物から、ポリエステルは石油から

レーヨンとポリエステルはともに、化学繊維の一種です。しかし両者は、素材が異なる別物。レーヨンは人工の繊維ですが、天然の植物に由来します。そのため天然繊維と同じく、肌にやさしい素材です。一方でポリエステルは、石油から作られる化学繊維の代表格。天然繊維にはない、丈夫さが長所です。性質が異なる両者は、まったく別の用途に用いられます。化学繊維は「適材適所」なのです。

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雑学

簡単でわかりやすい!レーヨンとポリエステルの違いとは?生地や用途についても理系ライターが詳しく解説

レーヨンとポリエステルの具体的な違い

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レーヨンとポリエステルとでは、製法・原材料が異なります。よって両者には、大きく4つの違いが存在するのです。以下レーヨンとポリエステルの、性質・用途について掘り下げていきます。

違い1.見た目や質感

レーヨンは絹に似た、上質な光沢となめらかな手触りをもつ繊維。その生地にはゆったりとした、たるみ(ドレープ感)がみられます。またレーヨンの生地は染色との相性も抜群。しばしば鮮やかな柄がプリントされます。

それに比べてポリエステルは地味。その生地は光沢・手触りこそレーヨンに似ますが、ドレープ感がありません。こちらはより強い弾力をもつのです。さらに染料が定着しづらく、柄物には向きません。

違い2.耐久性と扱い方

紙と同じパルプから作られるレーヨンは、非常にデリケートな繊維です。その弱点は、紙同様に水。レーヨンは一度水に濡れただけで、劣化します。繊維の強度が下がり、縮み・シワが生じてしまうのです。加えて濡れた箇所は、乾いた後も「水染み」として目立ちます。よって自宅での洗濯は、原則おすすめしません。やむを得ない場合は、「手洗い」をしましょう。

対してポリエステルは耐摩耗性にすぐれた、タフな繊維。その性質はプラスチックと同様です。よって縮みやシワ、型崩れの心配はありません。さらに水を吸わないポリエステルは、繰り返しの洗濯にも耐えます。カビや虫を寄せ付けないため、保管も簡単です。そんなポリエステルがもつ、唯一の弱点は熱。ラフなアイロンがけは、生地の「テカり」のもとです。ポリエステル製品には「当て布」をして、低温でアイロンをかけましょう。

違い3.その他の特徴

レーヨンは、耐久性こそありませんが、肌にやさしい素材です。ポリエステルなど多くの化学繊維と異なり、レーヨンは帯電しにくい繊維。冬場の静電気とは無縁です。さらにレーヨンの生地は水分をよく吸うため、夏場でも蒸れません。また化学繊維でありながら、環境にやさしいのも長所。植物由来のレーヨンは生分解性をもち、土に還るのです。

一方ポリエステルには、丈夫さゆえの弱点があります。それは毛玉がつきやすいという点。一度毛羽立ったポリエステルの繊維は、切れることなく頑固な毛玉となってしまいます。またポリエステルには、生分解性がありません。洗濯機から放たれた糸くずは、「マイクロプラスチック」として自然界にとどまり続けるのです。

違い4.用いられる衣服

触り心地のよいレーヨンはパジャマなど肌着や、スーツの裏地に適した素材。レーヨン生地は汗をよく吸い、静電気を抑えてくれます。そして丈夫なポリエステルは、スポーツウェアや仕事服にうってつけ。インナーやシャツ、ズボン、防寒着など幅広い用途に適します。

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