簡単でわかりやすい!レーヨンとポリエステルの違いとは?生地や用途についても理系ライターが詳しく解説
レーヨンとポリエステルの具体的な違い
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レーヨンとポリエステルとでは、製法・原材料が異なります。よって両者には、大きく4つの違いが存在するのです。以下レーヨンとポリエステルの、性質・用途について掘り下げていきます。
違い1.見た目や質感
レーヨンは絹に似た、上質な光沢となめらかな手触りをもつ繊維。その生地にはゆったりとした、たるみ(ドレープ感)がみられます。またレーヨンの生地は染色との相性も抜群。しばしば鮮やかな柄がプリントされます。
それに比べてポリエステルは地味。その生地は光沢・手触りこそレーヨンに似ますが、ドレープ感がありません。こちらはより強い弾力をもつのです。さらに染料が定着しづらく、柄物には向きません。
違い2.耐久性と扱い方
紙と同じパルプから作られるレーヨンは、非常にデリケートな繊維です。その弱点は、紙同様に水。レーヨンは一度水に濡れただけで、劣化します。繊維の強度が下がり、縮み・シワが生じてしまうのです。加えて濡れた箇所は、乾いた後も「水染み」として目立ちます。よって自宅での洗濯は、原則おすすめしません。やむを得ない場合は、「手洗い」をしましょう。
対してポリエステルは耐摩耗性にすぐれた、タフな繊維。その性質はプラスチックと同様です。よって縮みやシワ、型崩れの心配はありません。さらに水を吸わないポリエステルは、繰り返しの洗濯にも耐えます。カビや虫を寄せ付けないため、保管も簡単です。そんなポリエステルがもつ、唯一の弱点は熱。ラフなアイロンがけは、生地の「テカり」のもとです。ポリエステル製品には「当て布」をして、低温でアイロンをかけましょう。
違い3.その他の特徴
レーヨンは、耐久性こそありませんが、肌にやさしい素材です。ポリエステルなど多くの化学繊維と異なり、レーヨンは帯電しにくい繊維。冬場の静電気とは無縁です。さらにレーヨンの生地は水分をよく吸うため、夏場でも蒸れません。また化学繊維でありながら、環境にやさしいのも長所。植物由来のレーヨンは生分解性をもち、土に還るのです。
一方ポリエステルには、丈夫さゆえの弱点があります。それは毛玉がつきやすいという点。一度毛羽立ったポリエステルの繊維は、切れることなく頑固な毛玉となってしまいます。またポリエステルには、生分解性がありません。洗濯機から放たれた糸くずは、「マイクロプラスチック」として自然界にとどまり続けるのです。
違い4.用いられる衣服
触り心地のよいレーヨンはパジャマなど肌着や、スーツの裏地に適した素材。レーヨン生地は汗をよく吸い、静電気を抑えてくれます。そして丈夫なポリエステルは、スポーツウェアや仕事服にうってつけ。インナーやシャツ、ズボン、防寒着など幅広い用途に適します。
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