この記事では土木と建築と建設の違いについてみていきます。どれも工事に関する言葉のようです。違いはずばり工事を行う対象にあるようです。土木、建築、建設のそれぞれの言葉の定義から確認しつつ、建設業界の仕事の流れや会社の種類まで、工事会社勤務の現役OLライターyukoと一緒に解説していきます。

ライター/yuko

工事会社勤務9年目。入社から現在まで、現場踏査や設計業務など幅広く経験。地下埋設物には少々くわしい。専門用語が飛び交う職場で自分の言葉に置き換え、理解しなおす言語化作業に日々奮闘中の現役OLライター。

建設は土木+建築、土木と建築の違いは工事の対象

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土木と建築を含めたものが建設。わかりやすく語尾に「工事」をつけて説明すると「土木工事」と「建築工事」を合わせて「建設工事」になるということです。土木工事とは人が生活するのに必要なものをつくる工事のこと、建築工事とは人が生活する施設や空間をつくる工事のことをさしています。ここからさらに詳しくみていきましょう。

土木:人が生活するのに必要なものをつくる

土木工事とは生活インフラなど人が生活するために必要なものをつくる工事のこと。具体的には、土石や木材などの材料を使用して、道路や橋、トンネル、鉄道や港湾、ダムなどの施設をつくる工事のことをさしています。

道路の下にある地下構造物の工事、造成工事、ガス管や水道管、下水道管など生活インフラを整備するための管工事や埋設工事も土木工事に含まれますね。土木工事は、人やものを運ぶための建設物をつくる工事といえるでしょう。

建築:人が生活する施設や空間をつくる

建築工事とは人が生活する施設や空間をつくること工事です。具体的には、ビルや住宅、家屋、商業施設などの建物の工事のことをさしていますね。建物の中の工事に含まれる基礎や土台の工事、ガス、水道、電気などの設備工事も建築工事に含まれます。つまり、建築工事とは人が集まって活動するための場所をつくる工事ともいえるでしょう。

建造との違いは?

建造とは建物や船などの大きな構造のものをつくることをさしています。建造物とは建物や橋、塔、船など建造したものをさしていますね。建設に含まれる施設や橋などの他に、船、具体的には船舶や潜水艦などにも使われる言葉になるんだそう。

また、インフラ整備のための配管工事など、建設には含まれますが建造には含まれない小規模な工事もありそうですね。つまり建設に該当するものすべてが建造にはならないということです。

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建設業界の特徴:下請け構造

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建設業界ときくとゼネコン企業を想像することもあるでしょう。ゼネコンとは土木工事一式、建築工事一式の許可を持ち、元請け業者として各種土木工事や建築工事全体を請け負っている企業のことです。

ゼネコンの下請けにはサブコンといわれる二次下請けがいたり、またさらにサブコンの下請けである三次下請けがいたりと、下請け構造が建設業界の特徴でもあります。ここからくわしくみていきましょう。

ゼネコン会社の役割

ゼネコンとは「ゼネラルコンストラクター」の略で、総合建設業を営む企業のこと。ゼネコンは発注者から元請け業者として、土木一式工事や建築一式工事を請け負います。

一式工事とは複数の下請け業者が施工にあたる複雑で大規模な工事のことです。これらの一式工事のマネジメントや管理をする役割をゼネコンが担っていますね。サブコンといわれる二次下請け、あるいは三次下請けのように何重かに下請け構造を設けるのも建設業界の特徴です。

サブコンや工事会社の役割

ゼネコンから工事を下請けするサブコントラクター、略してサブコンは専門工事を担う業者のことをさしています。具体的には、大工工事、左官工事、設備工事、塗装工事などになりますね。

実際に施工作業にあたるのは職人のように高い専門性を持った方たちや土木作業員、建築作業員を抱える企業や業者になります。このような職人や企業、業者はサブコンのような工事会社のさらに下請けとなりますね。サブコンにあたる工事会社では実際に施工をおこなう人たちへ指示を出したり、工期や現場の安全を管理したりと、それぞれの工事に対して監督を行うことが求められているんだそう。

ゼネコンとデベロッパーの違いは?

デベロッパーとは不動産業において企画や開発を主に行う開発事業者のこと。開発事業とは、街の再開発や商業施設の開発、リゾート開発、マンションや大規模宅地開発などがありますね。デベロッパーが土地開発の計画をし、それをもとにゼネコンが施工して建設物をつくっていくという関係になっています。

こんなにも違う土木工事と建築工事

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建設業界を大きくけん引する土木工事と建築工事。各々の違いについてさらに詳しくみていきましょう。

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違うポイント1.お金の出どころ

土木と建築の違いはお金の出どころにもありますね。土木は公共性が高い工事がメインになってくるため官公庁が発注元となることが多いです。そのため資金源は私たちの納める税金が使われることも。

反対に建築は民間の企業や施主といわれる発注者になることが多いですね。皆さんが実際に住んでいる住居も建築工事によって建てられているでしょう。デベロッパーなどがここでいう民間の企業にあたります。また、学校のような国立、都道府県立の施設を建てるための建築工事については、土木工事と同じく税金が資金源になることもあるでしょう。

違うポイント2.生活必需性とデザイン性

土木工事は公共工事が多いということもあり、生活に密接した工事になります。具体的には道路工事や、トンネル工事、ダム、橋梁(きょうりょう)工事、河川工事などで、生活インフラの整備という意味合いや利便性のようなものが高く求められるでしょう。

建築工事ももちろん生活に密接にかかわってきていますが、特にビルやマンション、美術館、博物館、商業施設など、人が集まる場所をつくる工事も建設工事に含まれるため、利便性のみならず目を惹くデザインやアートの要素が成果物、つまり建築物自体に強く反映されることもあります。

生活インフラから建物まで私たちの生活を支えている土木と建築

建設工事において、建築工事が人が集まる空間つまり点であるとすると、土木工事はそれをつなぐ道路や鉄道などのインフラ整備、つまり線といったイメージをもつと両者の違いは理解しやすくなります。日常に溢れる建設に支えられて、私たちの生活は創造されて豊かに過ごせているという一面もあるでしょう。土木、建築、建設の言葉の使い分けを理解すると同時に身近にあふれる建設物にもぜひ目を向けてみてください。

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簡単でわかりやすい!土木・建築・建設の違いとは?建造との違いや建設業の種類も工事会社勤務現役OLライターがくわしく解説

この記事では土木と建築と建設の違いについてみていきます。どれも工事に関する言葉のようです。違いはずばり工事を行う対象にあるようです。土木、建築、建設のそれぞれの言葉の定義から確認しつつ、建設業界の仕事の流れや会社の種類まで、工事会社勤務の現役OLライターyukoと一緒に解説していきます。

ライター/yuko

工事会社勤務9年目。入社から現在まで、現場踏査や設計業務など幅広く経験。地下埋設物には少々くわしい。専門用語が飛び交う職場で自分の言葉に置き換え、理解しなおす言語化作業に日々奮闘中の現役OLライター。

建設は土木+建築、土木と建築の違いは工事の対象

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土木と建築を含めたものが建設。わかりやすく語尾に「工事」をつけて説明すると「土木工事」と「建築工事」を合わせて「建設工事」になるということです。土木工事とは人が生活するのに必要なものをつくる工事のこと、建築工事とは人が生活する施設や空間をつくる工事のことをさしています。ここからさらに詳しくみていきましょう。

土木:人が生活するのに必要なものをつくる

土木工事とは生活インフラなど人が生活するために必要なものをつくる工事のこと。具体的には、土石や木材などの材料を使用して、道路や橋、トンネル、鉄道や港湾、ダムなどの施設をつくる工事のことをさしています。

道路の下にある地下構造物の工事、造成工事、ガス管や水道管、下水道管など生活インフラを整備するための管工事や埋設工事も土木工事に含まれますね。土木工事は、人やものを運ぶための建設物をつくる工事といえるでしょう。

建築:人が生活する施設や空間をつくる

建築工事とは人が生活する施設や空間をつくること工事です。具体的には、ビルや住宅、家屋、商業施設などの建物の工事のことをさしていますね。建物の中の工事に含まれる基礎や土台の工事、ガス、水道、電気などの設備工事も建築工事に含まれます。つまり、建築工事とは人が集まって活動するための場所をつくる工事ともいえるでしょう。

建造との違いは?

建造とは建物や船などの大きな構造のものをつくることをさしています。建造物とは建物や橋、塔、船など建造したものをさしていますね。建設に含まれる施設や橋などの他に、船、具体的には船舶や潜水艦などにも使われる言葉になるんだそう。

また、インフラ整備のための配管工事など、建設には含まれますが建造には含まれない小規模な工事もありそうですね。つまり建設に該当するものすべてが建造にはならないということです。

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