この記事では油性ペンと水性ペンの違いについてみていきます。油性ペンは紙やビニールなど何でも書けるが、水性ペンは紙に使うもの、くらいに思っている人が多いんじゃないか?そもそもどんな違いがあるのかあまり考えてこなかった人も多いでしょう。2つのペンの違いは「インク」によるものですが、単純に水か油ということだけではなさそうです。
今回は油性ペンと水性ペンについて会社員ライターのミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。油性ペンと水性ペンを使い分けており、ペンケースには油性ボールペンを入れている。

油性ペンと水性ペンの3つの違い

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油性ペンと水性ペンの1番大きな違いは「インク」です。インクが違うことで何に使えるのか「書ける対象」や「書きあじ」も変化します。

違い1.インクの成分「溶剤」

インクは主に「着色剤」「溶剤」「樹脂」の3つの成分からできています。油性ペンと水性ペンの大きな違いは「溶剤」です。溶剤とは、さまざまな物質を溶かすものの総称をいい、ペンの場合は溶剤がインク全体を均一に混ぜ合わせる役割を担っています。

油性ペンの溶剤には油を溶かす作用のある”有機溶剤”が使用されていて、これが油性ペン独特のツンとした香りの素です。有機溶剤には、除光液でおなじみのケトンやアルコールなどがあります。一方、水性ペンの溶剤には”水”が使用されていて、油性ペンのような香りはしないです。

着色剤として使われているのは「顔料」や「染料」です。顔料は水や油には溶けず、均一に混ざり合うことで対象の表面を着色します。大昔に顔に塗ってお祈りや装飾として使用されていたことから「顔料」と名付けられたようです。塗料やインクの他に化粧品や食品にも使用されます。

染料は水や油に溶けて、使用する対象に染み込む性質です。布や紙、食品にも使用されます。溶けやすいので色のバリエーションが作りやすいですが、色あせもしやすいです。

違い2.書ける対象材質

インクに使用される溶剤の性質の違いで、ペンを何に使えるのか変わります油性ペンに使用されている有機溶剤は、乾きやすい性質です。そのため、缶やビンプラスチックなど様々なものに使うことができます。しかし、発泡スチロールなどのポリスチレンでできているものは有機溶剤で溶けてしまうので注意が必要です。

水性ペンは油性ペンに比べて乾くのが遅く紙などに使用します。裏移りすることも少なく、さまざまな色があるので絵をかいたり広告や店内ポップに使用したりするのにも使いやすいです。

\次のページで「違い3.書きあじ」を解説!/

違い3.書きあじ

油性ペンと水性ペンは、書きあじに違いがあります油性ペンは筆先のすべりが悪く重めの書き心地、水性ペンはさらっとした書き心地のものが多いです。ただ、メーカーが書きやすい対策などをしており、商品によるというのが書きあじの現状でしょう。

ボールペンで言うと、油性ボールペンは乾きが早い分重めの書き心地で、水性ペンは軽く書けます。ペン先にインクがたまってしまうことで、手や紙が汚れた経験のある方が多いと思いますが、これは油性ボールペンならでは。ペンの向きを変えながら書いたりある程度の速度を保って書いたりすることでインクだまりを防げます。

油性ペンと水性ペンの見分け方

油性ペンなのか水性ペンなのか分からなくなった時は、ビニールに書いて確認してみましょう。スーパーの袋やお菓子の袋など何でもOKです。袋に書けて消えなければそれは油性ペンでしょう。ボールペンの場合も同じようにビニールでチェックできますが、油性でもビニールに書きづらいためゆっくり書いてみてください。

また、太ペンの場合は香りでチェックすることもできます。アルコールのようなツンとするにおいがすれば、油性ペンでしょう。ペン自体に油性・水性と書いてあれば一目瞭然ですが、分からない時は試してみてくださいね!

書く材質に合わせたペンの選び方

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油性と水性のペンの大きな違いとなる「インク」ですが、着色剤の「顔料」や「染料」の組み合わせで4種類のインクに分類することができます。それぞれのインクと相性の良い材質を見てみましょう。

油性×顔料…ペイントマーカーなど。紙・プラ・金属・ガラスなど様々な場面で使用可能。カラーも豊富。裏移りしにくい。
油性×染料…マッキーなど。紙・プラ・金属・ガラスなど様々な場面で使用可能。すぐ乾くが裏移りしやすい。軟質塩化ビニルは溶けることがあるので注意。
水性×顔料…プロッキーやポスカなど。紙・プラ・金属・ガラスなど様々な場面で使用可能だが、乾くのに時間がかかる。水に弱い。
水性×染料…一般的なカラーサインペンや蛍光ペン。基本的に紙に使用。カラーバリエーション豊富で書き心地も良く使いやすいが色あせしやすい。

\次のページで「インクが付いてしまったときの落とし方」を解説!/

インクが付いてしまったときの落とし方

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インクが漏れたり間違ってついてしまったりした経験のある方も多いでしょう。インクの種類と場面ごとに、落とし方が違います。

その1.油性ペンの落とし方

油性ペンの汚れは水と洗剤で洗っても落ちません。同じような性質を持つ油性のものを使用することがおすすめです。クレンジングオイル・除光液・消毒用アルコールなどを使いましょう。材質によってはメラミンスポンジも効果があるようです。

服などの布製品についてしまった汚れは、すぐに対処すれば落ちるかもしれません。ペンが付いた個所にアルコールをしみこませてその場所にあて布をして、裏側からたたいて汚れを移動させるイメージです。ただ、布に付いた油性ペンを落とすのはかなり難しいでしょう。

ホワイトボードに油性ペンを使ってしまったときは、同じ油性ペンであるボードマーカーで上から重ねることでも落とすことができます。

その2.水性ペンの落とし方

水性ペンは洗濯洗剤や食器洗剤で落とすことができます。インクの付いた部分に洗剤を付けて水でよく洗いましょう。水性でも時間がたつと落ちづらくなるので、早めに対処することが大切です。

油性ペンと水性ペンの特徴を知って使い分けよう!

油性ペンと水性ペンの違いが分かりましたね。ペンは油性と水性だけでなく着色料が「顔料」か「染料」でも違いがあります。使うものや場面に合わせてペンの種類を選び、活用していきましょう!

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油性ペンと水性ペンの違いはインクの成分!見分け方や落とし方も会社員ライターが簡単にわかりやすく解説

この記事では油性ペンと水性ペンの違いについてみていきます。油性ペンは紙やビニールなど何でも書けるが、水性ペンは紙に使うもの、くらいに思っている人が多いんじゃないか?そもそもどんな違いがあるのかあまり考えてこなかった人も多いでしょう。2つのペンの違いは「インク」によるものですが、単純に水か油ということだけではなさそうです。
今回は油性ペンと水性ペンについて会社員ライターのミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。油性ペンと水性ペンを使い分けており、ペンケースには油性ボールペンを入れている。

油性ペンと水性ペンの3つの違い

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油性ペンと水性ペンの1番大きな違いは「インク」です。インクが違うことで何に使えるのか「書ける対象」や「書きあじ」も変化します。

違い1.インクの成分「溶剤」

インクは主に「着色剤」「溶剤」「樹脂」の3つの成分からできています。油性ペンと水性ペンの大きな違いは「溶剤」です。溶剤とは、さまざまな物質を溶かすものの総称をいい、ペンの場合は溶剤がインク全体を均一に混ぜ合わせる役割を担っています。

油性ペンの溶剤には油を溶かす作用のある”有機溶剤”が使用されていて、これが油性ペン独特のツンとした香りの素です。有機溶剤には、除光液でおなじみのケトンやアルコールなどがあります。一方、水性ペンの溶剤には”水”が使用されていて、油性ペンのような香りはしないです。

着色剤として使われているのは「顔料」や「染料」です。顔料は水や油には溶けず、均一に混ざり合うことで対象の表面を着色します。大昔に顔に塗ってお祈りや装飾として使用されていたことから「顔料」と名付けられたようです。塗料やインクの他に化粧品や食品にも使用されます。

染料は水や油に溶けて、使用する対象に染み込む性質です。布や紙、食品にも使用されます。溶けやすいので色のバリエーションが作りやすいですが、色あせもしやすいです。

違い2.書ける対象材質

インクに使用される溶剤の性質の違いで、ペンを何に使えるのか変わります油性ペンに使用されている有機溶剤は、乾きやすい性質です。そのため、缶やビンプラスチックなど様々なものに使うことができます。しかし、発泡スチロールなどのポリスチレンでできているものは有機溶剤で溶けてしまうので注意が必要です。

水性ペンは油性ペンに比べて乾くのが遅く紙などに使用します。裏移りすることも少なく、さまざまな色があるので絵をかいたり広告や店内ポップに使用したりするのにも使いやすいです。

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