雑学

簡単でわかりやすい!RCCとRBCの違いとは?輸血が必要な時や副作用も元看護師が詳しく解説

よぉ、桜木健二だ。輸血では、献血された血液をもとに検査や製造作業を経て、血液製剤として保管されているものを使用している。その中でも赤血球製剤、血漿製剤、血小板製剤、全血製剤、免疫グロブリンなどの血漿分画製剤があり、RCCやRBCと呼ばれるのは赤血球製剤のことだ。両者の違いは何なのか、元看護師で実際に輸血にも関わったこともあるWebライターの近野チカと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/近野チカ

元看護師のWebライター。赤十字社の車両が鳴らす、緊急走行時のサイレンを割と遠くから聞き取れる自信あり。

RCCとRBCの違いとは?

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RCCは赤血球濃厚液、RBCは赤血球液のことであり、どちらも血液から血漿、白血球、血小板の大部分を除いた輸血用の血液製剤です。

血液製剤の表記で、照射赤血球濃厚液-LR(Ir-RCC-LR)のIrは、放射線照射済みであることを意味します。放射線を当てるといっても照射量は少なく、血液製剤に放射性物質が残ることはありません。赤血球液(RBC-LR)、照射赤血球液-LR(Ir-RBC-LR)といったLRは白血球除去済みであることを意味します。

輸血とは

人間の血液は細胞成分である赤血球、白血球、血小板と血漿成分からできています。病気などにより体内で十分な血液を作ることができない場合や、事故や手術で大量に出血した場合、生命の危機にさらされることがあり輸血により補う必要があるのです。

以前は全血輸血といって、献血などで採取された血液をそのまま用いていました。現在は、患者にとって必要な成分だけ輸血する成分輸血が主流です。成分輸血には赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤、血漿分画製剤(アルブミン製剤、免疫グロブリン製剤など)があり、全血輸血とは違って輸血量を少なくすむため、患者の心臓にかかる負担が軽減され、副作用を防ぐメリットがあります。

RCCとRBCの違いは名前のみ、その理由は?

輸血用血液製剤を供給している赤十字社は、平成26年8月1日より赤血球製剤の販売名をRCC-LR(赤血球濃厚液-LR)「日赤」からRBC-LR(赤血球液-LR)「日赤」に、Ir-RCC-LR(照射赤血球濃厚液-LR)「日赤」からIr-RBC-LR(照射赤血球液-LR)「日赤」に変更したものを順次、供給開始しました。成分の組成や性状の変更はなく、取り扱い方法も変更はありません。

名称だけ変更した理由は、平成25年9月12日の「生物学的製剤基準の一部改正に伴う医薬品製造販売承認申請等の取扱いについて」という厚生省からの通知にあります。赤血球製剤を指す一般名は人赤血球濃厚液でしたが、欧米では「濃厚」は含まないため、人赤血球液に変更した等の内容です。これに合わせ、日本赤十字社も販売名を変更しました。

輸血が必要になる時と副作用

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白血病などの血液の病気や抗がん剤などの副作用、交通事故などで大量に出血した場合などに輸血が必要です。

献血された血液は血液製剤を製造する過程で、感染症などの検査や輸血時に起こる副作用移植片対宿主病(GVBD)予防のため放射線照射が実施されています実際に患者に輸血する前に採血を行い、患者の血液と血液製剤が適合するかの検査をするほか、輸血する血液製剤の血液型が間違っていないか看護師2人以上でチェックするなど十分に対策がなされていますが、実際に輸血を行った際の副作用発現がゼロになるわけではありません。輸血は他人の血液を体の中に入れる行為であり、臓器移植の一種です。輸血開始後すぐに起こる副作用、輸血終了後、時間が経過してから起こる副作用を知っておきましょう。

輸血が必要になるケースとは

輸血が必要になるケースは、病気や薬の副作用で赤血球などの血液成分を作ることができない場合や病気によって血液成分を大量に消費する場合、血液成分が破壊される場合などがあります。

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