漢字辞書や文字入力ソフトで目にする言葉「当用漢字」と「常用漢字」。
どちらも似たように思える言葉ですが、いったいどんな違いがあるんでしょうな。
今回は「当用漢字」と「常用漢字」の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

当用漢字と常用漢字の違い

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漢字のカテゴリ分けである「当用漢字」と「常用漢字」。この2つの違いを説明できる人はほとんどいないはず。「国語の授業で習ったような気がするけれど、はっきり覚えていない」という人も多いのではないでしょうか。ここではまず「当用漢字」と「常用漢字」の違いについて解説していきます。

当用漢字:かつての日本で使われていた漢字の範囲

「当用漢字」とは1946年から1981年の間、一般社会で使用できる漢字の範囲として定められていた1850字の総称です。現在では廃止されているため、出版物はもちろん、ネットニュースやテレビなどのマスメディアでも「当用漢字」が適用されることはありません。

常用漢字:現在の日本で使われている漢字の範囲

「常用漢字」は1981年から適用されている、一般社会で使用できる漢字の範囲として定められた1945字の総称です。「効率的で共通性の高い漢字を納め、分かりやすく通じやすい文章を書き表すための漢字使用の目安」という内容の内閣告示によって制定されています。

\次のページで「なぜ当用漢字から常用漢字に変更されたのか」を解説!/

なぜ当用漢字から常用漢字に変更されたのか

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「当用漢字」がかつての範囲で、「常用漢字」が現在の範囲であることはおわかりいただけたと思います。ここで気になるのはなぜ「当用漢字」から「常用漢字」に変更されたのかですよね。ここでは「常用漢字」への変更理由について解説していきます。

一般社会で使われる漢字が多すぎたことに問題があった

実は戦前の日本では5万字以上の漢字が使われていました。当然、意思疎通を図る上での問題が多発していました。戦後になると新たな国づくりの一環として、一般社会で使用する漢字の範囲に制限を設けようという運動がおこりました。そして1946年に新聞や雑誌で扱うべき漢字を1850字に限定しました。これが「当用漢字」のスタートです。

当用漢字では表現できない言葉があった

国民に新聞や雑誌、テレビなどのマスメディアが普及するにつれて、「当用漢字」では表現できない言葉が散見されるようになります。漢字というのは表意文字ですので、ひらがなに置き換えては表現できない言葉もあるのです。そこで1981年に「当用漢字」に95字を追加し、1945字の「常用漢字」が生まれました。

また2010年にはさらに漢字が追加され、現在「常用漢字」は2136字となっています。

教育漢字、人名用漢字との関係

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「当用漢字」や「常用漢字」について調べていると、一緒に目につく言葉が「教育漢字」と「人名用漢字」。ここでは関連する言葉として、この2語について解説していきます。

\次のページで「教育漢字:小学校で教える漢字」を解説!/

教育漢字:小学校で教える漢字

「常用漢字」の中でも特に使用頻度が高い漢字については、義務教育の初等課程、つまり小学校6年間のうちに学習する必要があります。これが「教育漢字」です。「教育漢字」は文部科学省の「小学校学習指導要領」の付録「学年別漢字配当表」として告示されています。

人名用漢字:人名に使える漢字

人名に用いることのできる漢字として内閣により告示された漢字の総称が「人名用漢字」です。たまに珍しい漢字が名前の人を見かけることはありませんか。そのような人は「常用漢字」外の「人名用漢字」が適用されている人です。

また「人名用漢字」においては、新生児の名前としてふさわしくない漢字は除外されています。新生児の人権や公序良俗に反するような漢字は人命にふさわしくありませんよね。

当用漢字は昔の、常用漢字は現在の社会で使用できる漢字の範囲

ここまで「当用漢字」と「常用漢字」の違い、「当用漢字」から「常用漢字」に変更された理由、そして関連する言葉として「教育漢字」と「人名用漢字」について解説してきました。それぞれどのような目的で制定されているのか理解できたのではないでしょうか。

あまりにも多すぎる漢字はコミュニケーションにおいて問題を生じますが、漢字1字1字に個性や歴史があるのもまた事実です。

一般社会におけるコミュニケーションを重視する価値観と、独自の文化を守ろうという価値観。この2つを同時に維持していくことが、日本の漢字文化を守る重要な要素と言えるのではないでしょうか。

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言葉雑学

3分で簡単にわかる当用漢字と常用漢字の違い!数はどれくらい?教育漢字や人名用漢字との違いも雑学好きライターがわかりやすく解説

漢字辞書や文字入力ソフトで目にする言葉「当用漢字」と「常用漢字」。
どちらも似たように思える言葉ですが、いったいどんな違いがあるんでしょうな。
今回は「当用漢字」と「常用漢字」の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

当用漢字と常用漢字の違い

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漢字のカテゴリ分けである「当用漢字」と「常用漢字」。この2つの違いを説明できる人はほとんどいないはず。「国語の授業で習ったような気がするけれど、はっきり覚えていない」という人も多いのではないでしょうか。ここではまず「当用漢字」と「常用漢字」の違いについて解説していきます。

当用漢字:かつての日本で使われていた漢字の範囲

「当用漢字」とは1946年から1981年の間、一般社会で使用できる漢字の範囲として定められていた1850字の総称です。現在では廃止されているため、出版物はもちろん、ネットニュースやテレビなどのマスメディアでも「当用漢字」が適用されることはありません。

常用漢字:現在の日本で使われている漢字の範囲

「常用漢字」は1981年から適用されている、一般社会で使用できる漢字の範囲として定められた1945字の総称です。「効率的で共通性の高い漢字を納め、分かりやすく通じやすい文章を書き表すための漢字使用の目安」という内容の内閣告示によって制定されています。

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