簡単でわかりやすい!空想と妄想の違いとは?漢字の意味や使い分けも現役塾講師がわかりやすく解説
ライター/空野きのこ
大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。
空想と妄想のざっくりした違い
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まずは空想と妄想のおおまかな違いについて説明しましょう。「空想」とは「現実的にありえそうもないことや、実現しそうにないことをあれこれ想像すること」を意味します。
それに対し「妄想」は、同じように「現実的にありえそうもないことや、実現しそうにないことを根拠もなくあれこれ想像すること」を意味しますが、「空想」よりも、より病的なニュアンスがあるのです。「空想」と「妄想」の漢字の意味や、なぜそのような違いがあるのか。今回はそれをていねいに説明していきたいと思います。
漢字で見る空想と妄想
「空想」と「妄想」、それぞれの言葉の意味を説明するために、まずはそれぞれの漢字に着目して説明していきたいと思います。
「空」の漢字をくわしく説明
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まずは「空想」の「空」の字を説明しましょう。「空」は部首が「穴(あなかんむり)」に分類されているように、上の「穴」は「あな」を意味します。そして下の「工」はノミなどの工具を表しているのです。ですので、「空」という形はもともと「工具によって貫いた穴」を表し、その穴には「何もない・からっぽ」というところから、「から」や「そら」という意味や読みを持つ字になりました。ですので「空」の読みである「から」「そら」「くう」などといった言葉の根底には「何もない」といったニュアンスが共通しているのです。
また、私たちの頭上に広がる空間を「空(そら)」と呼ぶようになった経緯については、詳しいことはわかりませんが、「空」には太陽や月をはじめとする星々や、雨を降らせる雲などはあるものの、昔の人々にとって実体として感じられるものが存在しなかったことから「空」になったのかもしれませんね。
「想」の漢字をくわしく説明
次に妄想と空想に共通する「想」の字を説明しましょう。「想」の字の上方の「相」という字は、「人相」や「手相」などといった単語で使われるように、「ものの外見や様子」といった意味があります。ですので、その下に「心」をそえた「想」という字は「ものの姿や形を心に思い浮かべること」を意味するのです。
漢字で見る「空想」とは?
「空」という漢字には、「何もない・からっぽ」という意味があり、「想」という字は「ものの姿や形を心に思い浮かべること」を意味するのでしたね。ですので、「空想」とは「実体や根拠のないことを思い浮かべること」、つまり「現実的にありえそうもないことや、実現しそうにないことをあれこれ想像すること」を意味するのです。
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