年休とか有給って言葉を聞いたことあるよな。どちらも休みだし、会社によってもどちらをよく使うかが違う場合もある。ネットの記事によっては同じものという説明もありますが、厳密には少し違う。ただ、同じものと思ってしまう背景もある。そもそも年休や有給とは何かや、会社によって休暇の制度が違うことなどを長年会社に勤めていたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。年休は未消化が多かった。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

年休と有給は違う?定義から確認

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年休と有給の説明としてよくある説明が「年次有給休暇を省略したもので、どちらも同じもの」というもの。でも、本当にそうなのでしょうか。この説明自体は必ずしも間違ってはいません。確かに年次有給休暇を略して年休や有給と呼ぶことは事実です。

ただ、実際にはその先があります。ざっくり言えば有給というものの一種が年休です。ただ、会社によっては年休=有給というケースがあります。だから、同じものという説明も間違いではないですが、常に正しいわけでもないのです。今回は年休と有給の違いを説明します。

年休:毎年一定の日数がもらえる有給

年休=年次有給休暇とは、毎年一定の日数の休日を会社からもらえる制度です。「有給」というのは休んでいる時も給料が有るということ。この日数は法律で決まっており、半年以上会社にいれば10日以上毎年年休を取得可能法律上は勤続年数によって細かく日数が決まっています。

ただ、法律で決めているのはあくまで最低基準です。それ以上にすることは会社しだい。実際、入社してすぐに年休を取ることのできる会社もあります。また、勤続年数と関係なくすべての人が同じ日数の会社も多いです。

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有給:給料がもらえる休暇全般

一方、有給は「有給休暇」の略です。年休と同じように見えますね。違いは「年次」の有無です。年次とは年休で説明したように「毎年もらえる」ということ。つまり、「給料をもらえる休日」=有給であって、その中でも毎年もらえるものが年次有給休暇(年休)なのです。

ただ、有給の多くが年休なのも確か法律で決まっている年休以外の休暇制度は会社が独自に決めます。そのため、年休以外の有給にどんなものがあるかは会社しだい。それどころか、年休しか有給がないケースも多いのです。だから、一般的には年休と有給は同じものという説明がされています。そのほうがわかりやすいためですが、厳密に言えば違うものです。

実は会社によっても違う休暇制度

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休暇制度は会社がそれぞれ独自に決めるもの。そのため、会社によって内容が違います。ただ、なんでも自由に決めて良いとなると、休暇を与えないブラック企業が出てくるかもしれませんよね。そのため、国として最低限のものを法律で決めています。それが法定休暇です。

その法定休暇の中でも代表的なのが年次有給休暇。ここでは法定休暇とそれ以外の休暇や、年休の疑問について説明していきます。

年休は国公認?法律の上での年休

法定休暇である年休はどの会社も制度に入れなくてはいけないもの。つまり、国公認の休暇制度です。法律では最低レベルを決めているだけなので、年休を取得できる条件や日数は会社ごとに決めます。そのため、細かいことは会社で違ってきますが、年休がないという会社はないわけです。

ただ、法律で決めているのは年休は休んだ日も給料が出るということだけ。多くの会社で午前だけや午後だけ休む半休というものがありますが、法律上は半休というものはありません。会社によっては半日に満たない時間休という制度もあります。これは定時が17時まででも、15時以降を休みにすることができる制度。柔軟な働き方を取り入れるために半休や時間休を取り入れる会社もありますが、これは法律ではなく会社独自の制度です。

年休の他には?法律で決まっている休暇

法定休暇の代表が年次有給休暇です。そのほかにどんなものがあるのでしょう。法律で決まっているのは次にあげるものになります。ただ、これらの休暇をとっている場合に給料が出るかどうかや、どの程度の給料が出るのかは会社しだいです。つまり、法定休暇≠有給休暇。もちろん、給料や何かの手当の出る会社もあるので、これらの休暇が有給休暇かどうかは会社しだいです。

・年次有給休暇(年休)
・生理日の就業が著しく困難な女子に対する休暇(生理休暇)
・産前産後の休業(下の育児休業と合わせて育休と呼ばれることが多い)
・公民権行使休暇(選挙権、被選挙権の行使、裁判員制度裁判への参加)
・育児休業
・介護休業

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年休に理由は必要?必ず取るの?年休の疑問

法定休暇と年休の違いがわかったところで、よくある年休に対する疑問についても説明します。まずは、年休に理由は必要かです。多くの会社では年休を申請する際に理由を書く欄があります。なんとなく、休むための立派な理由を書かないといけないという気持ちになりがちですよね。しかし、法律上は理由を書く必要はありません休みたいからで休むことが可能です。

また、年休が余ってしまうこともあります。年休は使い切る必要があるのでしょうか。実は2019年以降は10日以上の年休がある場合は5日以上の年休を取ることが義務となりました。ただし、これも法律で定める最低基準です。会社や労働組合によっては持っている年休の半数を取ることになっている場合もあります。詳しくは会社の制度を確認してください。

年休ではない有給とは?

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年休≠有給であるならば、年休ではない有給にはどんなものがあるのか気になりますよね。ただ、これは会社しだい。会社が独自に決めるものなので「法定外休暇」と呼ばれます。ただ、一般的には「特別休暇」と呼ぶことが多いかもしれません。注意点としては、これも有給と無給の両方あること。ここではそんな特別休暇について説明します。

年休だけではない?特別休暇(法定外休暇)とは

法律で決まっている休暇については上で説明した通り。それ以外に会社がそれぞれ独自に決めているものが法定外休暇です。民間企業の場合には特別休暇と呼びます。特別と言っても法律にはないという意味の特別なだけ。特に変わった休暇というわけではありません。

例えば、上で説明したように半休というのは法律にはないもの。そのため特別休暇になります。また、病気で療養する場合の病気休暇は公務員は法定休暇です。しかし、民間会社では法定外休暇になります。これは、元となっている法律が違うためです。

どんなものがある?特別休暇の色々

特別休暇は会社が決めるもの。そのため、ここに網羅しきれないほどあります。一般的なのは慶弔休暇(忌引休暇)。主に家族や親戚に不幸があった場合の忌引休暇ですが、結婚式などの慶事で取ることができる場合もあるので慶弔休暇と呼びます。ケースによって慶弔休暇と年休のどちらをとった方がよいかが違う場合も。

他には長い間勤務していると長期の休暇がもらえるリフレッシュ休暇や、将来的な介護や病気療養のために休暇を積み立てる制度など、会社によってさまざまな休暇制度を用意している場合があります。ボランティア活動に参加するための休暇など、会社の魅力を出すために工夫しているのです。

会社しだい?特別休暇は会社の制度

これらの特別休暇は会社がそれぞれ独自に決めているもの。多くの会社で採用されているようなものもあれば、変わったものもあります。それらが給料がもらえる有給か、休みになるだけで給料が出ない無給なのか、扱いも会社によって違うのです。そのため、自分の会社、入りたい会社にどのような休暇制度があるのか、それが有給なのか無給なのかはよく確認してください。

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一般的には同じとされているが、会社の制度をよく確認しよう

年休と有給はどちらも年次有給休暇の略語です。そのため、略語としては同じ意味になります。しかし、有給休暇の略語も有給です。その場合は年休(年次有給休暇)=有給(有給休暇)とは限らないことも。年休の他にも有給制度が色々ある会社では年休と有給を区別することが多くなります。一方、年休以外に有給がない会社では区別する必要もないので、同一のものと考えることが多いです。

このように会社によって休暇の制度は異なります。そのため、自分の会社や入りたい会社の休暇制度はよく確認する必要があるのです。

" /> 簡単でわかりやすい!年休と有給の違いとは?法律から実例までプログラマーがわかりやすく解説 – Study-Z
ビジネス雑学

簡単でわかりやすい!年休と有給の違いとは?法律から実例までプログラマーがわかりやすく解説

年休とか有給って言葉を聞いたことあるよな。どちらも休みだし、会社によってもどちらをよく使うかが違う場合もある。ネットの記事によっては同じものという説明もありますが、厳密には少し違う。ただ、同じものと思ってしまう背景もある。そもそも年休や有給とは何かや、会社によって休暇の制度が違うことなどを長年会社に勤めていたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。年休は未消化が多かった。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

年休と有給は違う?定義から確認

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年休と有給の説明としてよくある説明が「年次有給休暇を省略したもので、どちらも同じもの」というもの。でも、本当にそうなのでしょうか。この説明自体は必ずしも間違ってはいません。確かに年次有給休暇を略して年休や有給と呼ぶことは事実です。

ただ、実際にはその先があります。ざっくり言えば有給というものの一種が年休です。ただ、会社によっては年休=有給というケースがあります。だから、同じものという説明も間違いではないですが、常に正しいわけでもないのです。今回は年休と有給の違いを説明します。

年休:毎年一定の日数がもらえる有給

年休=年次有給休暇とは、毎年一定の日数の休日を会社からもらえる制度です。「有給」というのは休んでいる時も給料が有るということ。この日数は法律で決まっており、半年以上会社にいれば10日以上毎年年休を取得可能法律上は勤続年数によって細かく日数が決まっています。

ただ、法律で決めているのはあくまで最低基準です。それ以上にすることは会社しだい。実際、入社してすぐに年休を取ることのできる会社もあります。また、勤続年数と関係なくすべての人が同じ日数の会社も多いです。

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