この記事では「天気」と「天候」の違いについてみていきます。それぞれ何となく意味は知ってるつもりでも、違いは何かと聞かれると説明に困るこれらの言葉。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

天気と天候のざっくりした違い

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まずは「天気」と「天候」のおおまかな違いを説明します。それは、「天気」数時間から数日間における気象の状態を指し示す言葉であるのに対して、「天候」5日から1ヵ月といったある程度の期間の平均的な気象の状態を指し示す言葉だということです。

とはいえ、「天気」と「天候」はそれ以外の観点からも使い分けられる場合もありますので、そういう点も含めてこれから丁寧に説明していきたいと思います。

気象庁が定める天気と天候

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まずは、日本における気象業務をつかさどっている気象庁はどのように定義しているかを確認したいと思います。気象庁ホームページによりますと「天気」については、

天気  気温、湿度、風、雲量、視程、雨、雪、雷などの気象に関係する要素を総合した大気の状態。

(出典:気象庁)

としており、「天候」については

天候  天気より時間的に長い概念として用いられ、5日から1か月程度の平均的な天気状態をさす。

(出典:気象庁)

\次のページで「週間「天気」予報なのはなぜ?」を解説!/

としています。このように気象庁が定める定義においては、さきほど説明したように、短い期間における気象の状態のことを「天気」と言い、より長い期間における平均的な気象の状態のことを「天候」と呼ぶことにしていることがわかっていただけたでしょう。

週間「天気」予報なのはなぜ?

「天気」よりも長い期間における平均的な気象の状態のことを「天候」と呼ぶことを説明しました。しかし、「それならテレビやネットで紹介される気象庁の予報ではよく週間『天気』予報って言うけど、正しくは週間『天候』予報じゃないの?」などと思ったりしませんでしたか?

そう思うのも無理はありません。しかし、注意していただきたいのが、「天候」はあくまで長い期間における平均的な気象の状態のことだということです。「週間天気予報」は、1日ごとの気象の状態を1週間ぶん予報している形ですので、気象庁としては「週間『天気』予報」としています。

漢字で見る天気と天候の違い

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次は「天気」「天候」の漢字に着目し、それぞれの意味を説明していきたいと思います。

「天気」の漢字を説明

まずは天気の「天」の字について説明します。人を真正面から見た姿を象形文字にしたのは「大」という漢字ですが、その頭の部分を大きく強調したのが「天」という漢字です。そして、それがやがて頭上に広がる空などを指ししめす意味も持つようになりました。

つぎに「気」の字についてですが、下の方の「メ」はもともと「米」と書いていました。「气」の形は雲の流れを表しており、この2つを組み合わせてごはんを炊く様子を表し、その時にふたをカタカタ動かす目に見えない力(蒸気)を「気」と言ったとも言われています。ですので、「天気」という単語にあてられた漢字二字は、空に存在している目に見えない力というような意味を表していると言えるかもしれません。

「天候」の漢字を説明

次に「天候」の漢字について説明しましょう。まず、「天」という字は、「天気」でも説明したように、頭上に広がる空などを指ししめす意味でしたね。

そして「候」の字についてですが、「候」の右側は弓矢を射つために的をうかがう様子をあらわしています。それを人べんと組み合わせることで、「候」とは偉い人の機嫌や様子をうかがう意味を持つようになりました。ですので、「天候」という言葉は、空模様が気になり、その様子をうかがうことから当てられた漢字なのでしょう。

また、中国の古い時代には、天気に変動が起こると考えられていた5日ほどの短い期間「候」と言いました。ですので、「天候」が単なる「天気」とは違い、ある程度の期間の平均的な気象の状態を指し示すのは、そのニュアンスが残っているからかもしれませんね。

\次のページで「天気をかしこまった言い方にすると天候?」を解説!/

天気をかしこまった言い方にすると天候?

これまで、「天気」と「天候」の違いは対象とする期間の違いなどであることを説明してきました。しかし、私たちの日常においては、そういった違いとは関係なく「天気」と「天候」が使い分けられる場合もあります。

それは「天気」の、よりかしこまった言い方、あるいは硬い言い方として「天候」が使われる場合です。このときの「天候」には、5日から1ヵ月といったある程度の期間の平均的な気象の状態といった意味はないので注意しましょう。

天気と天候は対象とする期間が違う!

「天気」と「天候」には、「天気」数時間から数日間における気象の状態を指し示すのに対し、「天候」5日から1ヵ月といったある程度の期間の平均的な気象の状態を指し示すといった違いがあります。しかし日常においては、そういった厳密な定義とは別に「天気」の単なる硬い表現やかしこまった表現として「天候」という言葉が使われることもあると説明しましたね。

ですので、言葉の厳密な意味や定義もたしかに重要ですが、あまりそこに固執しすぎず、柔軟に対応して使い分けるのが一番かと思います。

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雑学

簡単でわかりやすい!天気と天候の違いとは?気象庁の定義から漢字まで現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「天気」と「天候」の違いについてみていきます。それぞれ何となく意味は知ってるつもりでも、違いは何かと聞かれると説明に困るこれらの言葉。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

天気と天候のざっくりした違い

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まずは「天気」と「天候」のおおまかな違いを説明します。それは、「天気」数時間から数日間における気象の状態を指し示す言葉であるのに対して、「天候」5日から1ヵ月といったある程度の期間の平均的な気象の状態を指し示す言葉だということです。

とはいえ、「天気」と「天候」はそれ以外の観点からも使い分けられる場合もありますので、そういう点も含めてこれから丁寧に説明していきたいと思います。

気象庁が定める天気と天候

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まずは、日本における気象業務をつかさどっている気象庁はどのように定義しているかを確認したいと思います。気象庁ホームページによりますと「天気」については、

天気  気温、湿度、風、雲量、視程、雨、雪、雷などの気象に関係する要素を総合した大気の状態。

(出典:気象庁)

としており、「天候」については

天候  天気より時間的に長い概念として用いられ、5日から1か月程度の平均的な天気状態をさす。

(出典:気象庁)

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