この記事では「守る」と「護る」の違いについてみていきます。どちらも「まもる」と読み、意味もほとんど同じなだけに、これらの言葉は使い分けに迷う人もいて当然でしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

守ると護るのざっくりした違い

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まずは「守る」と「護る」のおおまかな違いを説明しましょう。それは、「守る」が単に「外からの刺激や攻撃などによって害されることを防ぐ」ことを意味するのに対し、「護る」「自分より弱いもの、あるいは大切な人やものをかばって守ること」を意味する点です。今の時点ではまだ違いがはっきりわからないかもしれませんが、それをていねいに解説していきたいと思います。

漢字で説明する「守る」と「護る」

ここからは「守る」「護る」の漢字の違いに着目し、両者の違いを説明していきたいと思います。

「守る」の漢字を説明

まずは、「守る」の漢字について説明しましょう。「守」の部首は「宀(うかんむり)」ですね。この「うかんむり」は家や屋根などといった意味です。そして、その下の「寸」はウデやヒジといった手のパーツを表しています。

つまり、これらを組み合わせることによって成り立っている「守」という字は、屋根の下を、手を使って「まもる」ことを表しているのです。ですので、「守る」という字には、防衛的な意味での「まもる」が一番根底にあります。

広がっていった「守る」

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しかし、私たちが「守る」という言葉を使うのは、防衛的な意味での「守る」に限りませんね。例えば、

彼との約束は死んでも守る

\次のページで「「護る」の漢字を説明」を解説!/

といった文における「守る」は、さきほどのような、何かから防衛するという意味ではなく、「大切にする」といった意味合いで使われますね。また、「お守り」「子守り」などの単語は、もちろん大切な子どもを害するものから「守る」という意味合いも含まれてはいるでしょうが、それ以外にも「面倒を見る」というニュアンスが含まれています。

このように、一口に「守る」といっても、じつに多様な意味があることがわかっていただけたのではないでしょうか。

「護る」の漢字を説明

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つぎに、「護る」の漢字を説明しましょう。右側の「蒦(カク)」は「収穫」の「穫」の字や、「捕獲」の「獲」の字にも使われるように、「ものを手にとる、手にいれる」といった意味を表します。

そして、なぜ「言(ごんべん)」という部首が使われているのか、はっきりはわかりませんが、「言」という漢字は、上の四つの点が「入れ墨に使う大きな針」を表し、下の「口」は「くち」ではなく「誓いの文書を入れる器」を表していて、「神様に誓いをたて、もしもそれを破ったときには入れ墨の刑罰を受ける」というところから成り立っているという説があるため、「手に入れたものをまもることを神様に誓う」ところから、「護」の字になったのかもしれません。

ただひたすら攻撃から「護る」

「護る」は「守る」と違い、何か外部や他者から防衛する意味合いでしか使われません。そのため、「約束をまもる」などという「まもる」は「守る」の方しか使われず、「護る」を書くのはふさわしくないので気を付けましょう。

「護る」は常用外

「守る」と「護る」を使い分ける上で、「護る」という字は日常で使われる漢字の目安とされる常用漢字の中には入ってないことも注意です。「あれ、「護」の字は小学生の時に習ったくらいなのに?」と意外に思われる方もいるでしょう。それも無理はありません。というのも、「護」の字はたしかに小学生の課程で教わる漢字ですが、それは「護衛」「看護」「弁護士」など、「ゴ」という音読みでの使い方であり、たしかにその場合は常用漢字にも入っています。

しかし、「護る」と送り仮名をおくって「まもる」と読ませる使い方は常用外の使い方とされているのです。ですので、公的な文章や、何か特別な事情やこだわりでもない限り、「まもる」を漢字で表記するときには「守る」の字を使うように心がけましょう。

\次のページで「漢字で書くには「守る」が無難!」を解説!/

漢字で書くには「守る」が無難!

「守る」という言葉が単に防衛的な意味合い意外でも使われることや、逆に「護る」外部や他者から防衛する意味合いでしか使われないことなどをわかっていただけたかと思います。そして、さきほど説明したとおり、「護る」という使い方は常用外とされているので、「まもる」を漢字で書くときにはとりあえず「守」の字の方を使うことを心がけましょう。

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雑学

簡単でわかりやすい!守ると護るの違いとは?漢字の意味から使い分けまで現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「守る」と「護る」の違いについてみていきます。どちらも「まもる」と読み、意味もほとんど同じなだけに、これらの言葉は使い分けに迷う人もいて当然でしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

守ると護るのざっくりした違い

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まずは「守る」と「護る」のおおまかな違いを説明しましょう。それは、「守る」が単に「外からの刺激や攻撃などによって害されることを防ぐ」ことを意味するのに対し、「護る」「自分より弱いもの、あるいは大切な人やものをかばって守ること」を意味する点です。今の時点ではまだ違いがはっきりわからないかもしれませんが、それをていねいに解説していきたいと思います。

漢字で説明する「守る」と「護る」

ここからは「守る」「護る」の漢字の違いに着目し、両者の違いを説明していきたいと思います。

「守る」の漢字を説明

まずは、「守る」の漢字について説明しましょう。「守」の部首は「宀(うかんむり)」ですね。この「うかんむり」は家や屋根などといった意味です。そして、その下の「寸」はウデやヒジといった手のパーツを表しています。

つまり、これらを組み合わせることによって成り立っている「守」という字は、屋根の下を、手を使って「まもる」ことを表しているのです。ですので、「守る」という字には、防衛的な意味での「まもる」が一番根底にあります。

広がっていった「守る」

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しかし、私たちが「守る」という言葉を使うのは、防衛的な意味での「守る」に限りませんね。例えば、

彼との約束は死んでも守る

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